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第73話

Author: 酔夫人
last update publish date: 2026-09-07 11:17:34

女性は娘の病室で小さな手を優しく握っていた。

「ママ、どうしたの?」

不思議そうに首を傾げる娘に、女性は微笑む。

その笑みは弱弱しい。

「小春先生って覚えてる?」

「うん!」

娘は嬉しそうに頷いた。

「お花のお姫様のお話しをしてくれた先生だよね」

女性は思わず笑った。

「そうね。いつもお花のお話をしてくれたものね」

「うん。小春先生大好き」

娘は無邪気に笑う。

その笑顔に、女性の胸が締めつけられる。

小春がやってくれたことは、病気の診察でも治療でもない。

ただ疲れている自分の話を聞いてくれた。

娘を気にかけてくれていた人。

――お母さんが笑うだけで、娘さんは安心するんですよ。

夫を亡くした自分の大変さを、言葉にしなくても娘は分かっている。

だから、娘は何が欲しいとは言わないだろう。

そういう優しい子に、ありがたく甘えてもいいのだと。

その代わり、その優しさに笑顔で答えるべきだ、と。

あの日掛けられた言葉に、何度救われたか分からない。

(小春先生……)

ベッドにいる娘を見ると、やはり院長の話を信じたくなる。

でも、これまでの小春とのやり取りが胸の奥に違和感を残す。

「ママ?」

娘が心配
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