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第278話

Author: 青ノ序
役所の前で湊を見かけたとき、綾は安堵した。

すべてがうまくいくはずだ。

「湊、おはよう」

綾は別れる間柄であることも忘れ、旧友に会ったかのような自然な口調で挨拶した。

湊は物思いに耽っていたが、声をかけられると綾に向かって微かな笑みを浮かべた。

綾のひどいくまを見て、湊は心配そうに尋ねた。「昨夜は眠れなかったのか?」

もしかして、自分のことで悩んでいたのか?

湊はわずかな望みを抱いていた。綾もこの結婚に名残惜しさを感じているのではないか、と。

「ええ。でも昨日はちょうど美羽さんと泊まり込みで話していて。楽しすぎて、ついつい夜更かししちゃった」

その言葉で、湊の中にあった最後の期待は消え去った。

「綾……」

「手続きをしよう」

湊が何か言おうとするのを、綾は即座に遮った。

今となっては、もう何の言い訳も聞きたくない。

必要ないし、意味も感じないからだ。

綾の冷たさに愕然とした湊は、引き止めようとした言葉を飲み込み、重苦しい沈黙が彼を支配した。

結局、二人は一言も交わさず、事務的に書類へ署名し、離婚の手続きを終えた。

綾の心は複雑だったが、その奥底では、こ
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