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第 79 話

Author: 柏璇
「ママ、おやすみ!」と陽翔が無邪気に笑った。

彩乃は涙をこらえながら、「ええ、おやすみ」と答える。

子どもたちが眠りについたのを見届け、彩乃はそっと通話を切った。

――胸に残るのは名残惜しさ。しかし蒼司に気持ちを抱く権利はあっても、真理と張り合う資格など自分にはない。

けれども、彩乃も子どもたちも知らなかった。部屋の外では、蒼司がずっと立ち尽くしていたのだ。

夜更けの廊下は静まり返り、二人のやり取りはすべて彼の耳に届いていた。

子ども部屋のドアは防音されていない。万が一のときすぐに気づけるようにしてあるからだ。

彩乃が子どもたちに語り聞かせる声――その優しい響きは、蒼司にかつての彼女を思い出さ
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