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第2話

Penulis: 開運招福
午前2時。あまりの痛みに耐えられず起き上がると、隣にいるはずの隼人がいなかった。

水を飲もうと階下へ降りたら、隼人がソファに座って電話しているのが見えた。

リビングに灯るランプの光が、隼人の横顔をいっそう険しく見せている。

物音に気づいたのか、隼人がちらりと私を見た。それから電話の向こうに低い声で言う。

「分かった。待ってて。すぐ行くから」

電話を切ると、隼人は車のキーを手に取って出ていこうとした。私はとっさに駆け寄り、彼の手を掴む。

「ひとりにしないで」

身体が本当に痛むのだ。冷や汗が頬を伝って流れ落ち、全身がぶるぶると震える。

「美羽が心臓の発作を起こしたらしい。様子を見に行かないと」

植田美羽(うえだ みう)は、平野家と昔から付き合いのある植田家の娘で、隼人の幼なじみでもあった。

隼人は私に視線を投げかけ、眉をきつく顰める。

「篠、我儘を言うのも大概にしろ」

そう言い、隼人は私の手を振り払った。私はよろけたが、ドアノブに掴まり、なんとか倒れずにすんだ。

「隼人、私も具合が悪いの。そばにいてもらえないかな?」

俯きながら呟く私の頬を、一筋の涙が音もなく伝う。

「篠、お前みたいな性格の悪い女が病気になるわけないだろ?子どもがいなくなっても、平気な顔でふらふらしてたくせに。芝居はやめろ。吐き気がする」

頭の上から降ってくる、隼人の嫌悪に満ちた声。その冷たい言葉はナイフのように私の胸に突き刺さり、耐えがたい痛みが走る。

私が顔を上げたときには、もう隼人は立ち去った後で、その背中が見えるだけだった。

ついに私は立っていられなくなり、その場に崩れ落ちた。痛みを和らげようと身体を丸めたが、どうにもならない。全身が引き裂かれそうだ。

私は無意識に下腹部に手を当てていた。そこには、かつて小さな命が宿っていた。

しかし会える前に、あの子は私のもとからいなくなってしまったのだ。

最後の望みをかけて、私は隼人に電話をかける。

コール音が長く鳴り続けた後、隼人がようやく電話に出た。

「隼人。戻ってきてそばにいてもらえないかな?すごく痛いの……」

電話の向こうで隼人は少し黙り、それから冷たく鼻で笑った。

「篠、お前みたいな女に痛みが分かるはずがない。それに、たとえ死にそうでも、俺には関係ないことだ。二度と電話してくるなよ」

彼が私を憎んでいることは、ずっと前から知っていた。

私は妊娠をきっかけに平野家へ嫁いで来たが、結婚して3ヶ月も経たないうちに事故で死産してしまった。

その時、お腹の子はもう妊娠6ヶ月だった。

階段から落ちたとき、私はこのまま死ぬんだとさえ思った。

真っ赤な血が階段を流れ落ちる光景は、まるで赤い滝のようで恐ろしかったのを覚えている。

誰が私を階段から突き落としたか、私は知っている。しかし、誰も私を信じてはくれなかった。皆私を疑い、自分の子どもさえ利用する最低な女だと責めた。

その中には、隼人もいた。

隼人は死産したばかりの私を心配することもなく平野家から追い出し、郊外にあるこの家に住まわせた。

痛みが身体を蝕み、起き上がる力もない。でも、まだ死にたくない。ちゃんと、生きたい。

私は死に物狂いで床を這い、なんとかソファまでたどり着いた。鞄の中から痛み止めを見つけると、躊躇わずに瓶の半分以上を飲み干す。

ようやく朝になった。体に朝日が当たったときは、まだ生きているのだと実感し、少しだけ安心することができた。

簡単に身支度をすませ、朝食を食べていると、携帯に最新ニュース速報が届く。

【#植田美羽氏、深夜に病状悪化。海外の病院へ緊急搬送。平野隼人氏、全仕事をキャンセルし付き添う。二人は復縁か?】

ニュースの写真に写る、隼人の心配そうな顔を見て、私は自嘲の笑みを浮かべた。

突然、電話が鳴った。画面の相手の名前を見た私は、すぐに電話を切る。

しかし、その電話はまるで死神の呼び声のように何度も鳴り続けた。仕方なく、私は通話ボタンを押す。

「篠、ずいぶん偉くなったみたいね。私の電話を切るなんてさ」

電話の向こうからは、継母の甲高い声が聞こえてきた。

「言いたいことがあるなら、はっきり言って」

彼女と長話をする気にはなれない。

「なによ、その態度は?男一人繋ぎ止めておけないあなたが、私たち小林家にとって、何の価値があるっていうの?

小林家の資金繰りがうまくいってないのを知らないわけじゃないでしょ?産業開発の件で通報もあって、お父さんは頭を抱えているの。早く平野家にお願いして助けてもらって」

それはほとんど命令に近かった。

「私に何の関係があるの?」
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