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第9話

Author: 涼木
【美羽もね】

12月、朔也に誘われて市街地のクリスマスマーケットへ行った。

通りはイルミネーションに彩られ、ホットワインの香りが漂っていた。

朔也が買ってくれた熱々のグロギを受け取った。カップには「Hyvää Joulua」と書かれていた。

「意味、分かる?」

「メリークリスマス」

「正解」

朔也は自分のカップからひと口飲み、白い息を吐いた。

「詩織、メリークリスマス」

私はカップを両手で包んだ。立ち上る湯気が頬に触れた。

「朔也も。メリークリスマス」

その夜、寮に戻り、美羽から届いたダウンジャケットをクローゼットに掛けた。

紺や濃いグレーの服が並ぶ中で、深い赤色だけが少し浮いて見えた。

けれど、暖かかった。

それだけで十分だった。

……

冬休みも故郷へは戻らなかった。

年越しの夜、寮の共同キッチンで年越しそばを作った。

向かいに座った朔也は、二口ほど食べて眉を寄せた。

「このつゆ、正直いまひとつだな」

「文句があるなら食べなくていいよ」

「食べないとは言ってない。いまひとつだって言っただけ」

朔也は七味を私のほうに押した。

「これ入れたら
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