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第4話

Auteur: サトエ
どれくらい待ったのか分からない。後ろのドアが突然開いて、私は思わず振り返り、目を輝かせて見つめた。

「曜、来てくれたんだね」

でも、現れた曜の顔は険しく、怒りを宿した目で私をにらみつけ、数歩で私の前に立った。

「真優、お前さ、俺が送らなかったことと芽依と一緒にいたことに腹を立てて、うちの両親にチクったって本当か?分かってんのか、あいつら芽依に電話して怒鳴りつけたんだぞ。そのせいで芽依は気が動転して、道路を渡る時に交通事故に遭った。今、出血がひどくて命が危ないんだよ……それで満足か?」

私はその場に立ち尽くし、呆然としていた。

前世の芽依も、交通事故に遭って大量出血し、血液が足りなくて手遅れになって死んでしまった。

もしそれまでの曜の態度がただの皮肉や嫌味だったのなら、この出来事がきっかけで、彼は私を本気で憎むようになったんだと思う。

でも、本来ならこれは、結婚して一か月後に起きるはずの出来事だった。それがなぜこんなにも早く――

私は曜の三つ目の願いをどうやって叶えるか、ずっと考えていた。それが今、まるで運命のように、自分からやってきたのだ。

曜を見つめながら口を開いた。

「つまり、芽依のために私の血が必要で、来たってことよね?」

その言葉に曜は一瞬驚いたものの、すぐに怒りを押し殺した冷たい笑みを浮かべた。

「俺ができないとでも思ったか?これはもともと、お前が芽依に償うべきことだ」

そう言うと、私の手首を掴み、病院へと急いで連れて行った。

病院に着いてすぐ、私は400mLの献血をした。体から力が抜けていくようで、ほとんど動けなくなった。

看護師たちは眉をひそめながら言った。

「献血量が全然足りません。血液センターから届くまでには、あと10分はかかります。患者さんがそれまで持ちこたえられるかどうか……」

私は曜を見上げた。彼の視線は病床の上の芽依に注がれていて、彼女の青ざめた顔を見た瞬間、抑えきれない悲しみがその目に浮かんだ。

看護師が私の手首の駆血帯を外そうとしたとき、私はそっとその手を押さえた。

「看護師さん、お願いします。もう400mL、献血させてください」

看護師は驚いて慌てて止めに入った。

「ダメですよ!一度に献血できるのは最大で400mLまでです!」

私は笑って答えた。

「大丈夫です。あとでちょっと休めば元気になりますから。それより、彼女を助ける方が先です」

その時、救急室から医者が飛び出してきて、叫んだ。

「輸血が足りない!血液はまだか!?このままじゃ患者が持たないぞ!」

私は看護師に急かすように頼んだ。彼女は困惑しつつも、感謝の気持ちを込めて言った。

「お嬢さん……本当に優しい方ですね。患者さんが目を覚ましたら、きっと感謝すると思います」

「真優、お前……」

曜が口を開きかけたが、言葉に詰まりながらも続けた。

「後で……ちゃんと報酬はする」

細い針が血管に刺さる。私は微笑んで曜に言った。

「気にしないで。これは私の意思だから」

曜が命懸けで私を助けてくれた。だから、彼の大切な人を守るくらい、何でもない。

ただ、献血の影響を甘く見ていたのが失敗だった。その場で意識が遠のき、私は倒れてしまった。

次に目を覚ましたとき、私は病室のベッドに横たわっていた。さっきの献血の針跡には、もう綿が当てられていた。

曜の姿はどこにもなく、周囲の人たちは皆忙しく動き回っていて、私が目を覚ましたことに気づく人はいなかった。

顔を上げると、壁の時計が目に入った。残された時間はあと1時間。それが過ぎたら、私はまた過去に戻る。

病院の小さなテレビには、昨夜の「百年に一度の流星群」の映像が再放送されていた。

流星は本当に綺麗だった。ただ、またしても私は見逃してしまった。

やっぱり、私の願いはいつも叶わないんだと、そう感じた。

ぼんやりしている私の隣で、足音が響いた。曜の疲れているけど、どこか嬉しそうな声が聞こえた。

「目、覚ましたんだな。芽依も目を覚ましたよ。昨晩、お前がすぐに血を提供してくれたおかげだ」

私は振り返って、彼に言った。

「……そう」

曜は私の青ざめた顔に気づいた瞬間、はっとしたような表情になり、どこか気まずそうに口を開いた。

「昨日の夜は……言いすぎた。でも、両親にチクるのはさすがにダメだろ。関係のない芽依を俺たちの問題に巻き込むべきじゃないだろ……」

その言葉を聞いて、胸の奥が少し締めつけられるような気がした。

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