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危篤の息子より、夫は彼女を優先しました

危篤の息子より、夫は彼女を優先しました

By:  桃乃すずCompleted
Language: Japanese
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息子がラーメンを食べている時、なんと夫の愛人の会社の広告看板が倒れてきて、息子に直撃した。急いで近くの病院―夫のいる病院へ運び込んだの。 診察室の外で私は十数分も膝をつき、必死にドアを叩いて呼びかけた。でも、ようやく夫が不機嫌そうにドアを開けると、冷たい視線を投げてきた。 「悠馬、息子が重傷なの!手術して......!」 私が泣きそうな顔で訴えると、悠馬は冷笑しながら言った。 「千影、お前さぁ、そんなひどい嘘ついてまで身内を横入りさせようとするのか?病気なんじゃないか? お前、分かってる?怜奈の足もこのままじゃ感染が進むんだぞ?」 バタン!と、悠馬はそのままドアを閉め、私の懇願を無視してしまった。息子のために何度も叫んだのに......無駄だった。 仕方なく、他の病院へ転院させたものの、救急車の中で息子は息を引き取ってしまった。悠馬が葬儀に駆けつけたと思ったら、なんと怜奈をかばい、私に示談書にサインするよう迫ってきた。 その時、私は決めた。こんな男とは離婚してやる。怜奈も法に訴えた。 その後、悠馬が私の足元にひざまずいて、息子の埋葬場所を教えてくれと頼んできたけれど、私はただ冷たく笑うしかなかった。 「教えるもんですか」

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Chapter 1

第1話

息子がラーメンを辛そうに食べていたから、私は隣のお店でアイスクリームを買ってあげようと店を出た。

戻ろうとしたとき、店の入り口で人だかりができていた。煙が立ちのぼっていて、嫌な予感が胸をよぎる。

「嘘でしょ!」

走り寄ると、息子がいたラーメン屋の上に巨大な広告看板が崩れ落ちていた。周りでは「なんてことだ!中に子どもがいるらしい!このままじゃ......」と叫び声が上がっている。

血の匂いが漂ってきて、気が遠くなりそうだったけれど、私は必死で看板を掻き分け、血まみれになりながらも看板の下を探った。

指先がずたずたに切れて、血だらけになったころ、ようやく救急車と消防隊が到着した。看板が取り除かれると、そこには血の海に倒れている息子の姿があった。小さな体に、鋭い鋼のピンが後頭部に刺さっているのを見て、私は膝が崩れ落ちた。

青白い唇で痛みに歪む息子を前に、私は泣き叫び、救急隊に「病院に…早く、近くの病院へ!」と懇願した。

悠馬のいる病院なら、彼の腕があれば息子を救える―そう思って必死に悠馬に電話をかけたけれど、一度も応じてくれない。

仕方なく、彼の同僚に連絡するも、その日は事故に巻き込まれた患者が多く、医師たちはみな現場に出払っていた。

幸運なことに、夫の同僚が「九条さんはまだ病院に残っている」と教えてくれた。

まるで光が差し込むように希望が見えてきて、息子を急診に送り込むと、私はすぐに悠馬のいる外科診察室へ走り込んだ。ドアを力任せに叩き、廊下に響くほどの声で泣き叫んだ。

でも、悠馬は私の声なんて聞こえないかのように、平然と十数分も待たせてから、ようやくドアを開けた。目つきはどこまでも冷たく、嫌悪感さえ浮かべている。

「千影、お前......何の病気だ?

重要な手術中に邪魔するなって何度言った?今日は怜奈がわざわざ休みを取って足の治療に来てるんだ。あんまり待たせられないんだよ。

騒ぎたいなら家でやれ」

怜奈......あの白川怜奈!?心がズキリと痛んだ。でも、すぐに息子のことを思い出し、再び懇願するように声をかける。

「悠馬......勇太が......事故に遭って、急診も手が足りないから、あなたにしか手術ができないの......!」

涙で顔がぐしゃぐしゃになるのも構わず、息子のけがの様子を必死に説明した。でも返ってきたのは、彼の冷笑だけ。

「ナースから電話もらったぞ。千影、お前さぁ、親戚のためにそんなデタラメ吹き込んでるのか?吐き気がするわ。

お前の親戚の傷なんか、怜奈の足より大事なのか?怜奈の足だって、処置しないとすぐに感染が悪化するって分かってんのか?」

そう言うと、悠馬は力強くドアを閉めた。とっさに私はドアを押さえようと手を伸ばしたけれど......

「パキッ!」

骨が鳴る音とともに激痛が腕を走った。あまりの痛みで冷や汗が吹き出し、体をかがめながらもう一度お願いしようとしたとき、視界に白くて美しい足がすっと現れた。

その足の持ち主が、甘えた声で驚いたように言う。

「悠馬......あなた、どうしてこんな奥さんをもらったの?」

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