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15.嘘でもいいから①

Author: 鷹槻れん
last update Huling Na-update: 2025-11-13 03:36:43

「あのね、なおちゃん。お母さんに私たちのこと、バレちゃったの」

実家からの呼び出しがあった夜。

私はアパートに戻るなりなおちゃんに電話をかけた。

コール数回。

いつものようになおちゃんは私からの電話にすぐに応答してくれた。

***

なおちゃんは年老いた盲目のお母さんと、奥さん、息子さん二人と一緒に住んでいる(らしい)。

なのに、私にはいつでも電話してきて構わないって言うの。

実際いつかけても彼は問題なく電話に出てくれて、そればかりか別段コソコソした様子もなく受け答えしてくれる。

以前なおちゃんが自嘲気味に「家族は俺のことなんて興味持ってないからね」って話してくれたことがあるけれど、こんな風に電話がいつでも通じてしまうたび、あの言葉は真実なのかなって思わされて切なくなった。

私にとって、掛け替えのない人になってしまったなおちゃん。

そんなに興味ないなら、必要ないなら私にちょうだい?って思ってしまう。

私が全身全霊かけて彼の寂しさを埋めるから、大切にするからお願い!って愚かなことを考えてしまう。

私はお馬鹿さんだから、なおちゃんが私に付き合おうって言ってきた時、最初に何て言ったか、つい忘れてしまいそうになるの。

あの時なおちゃんは「妻に対して恋愛感情はないけれど家族としての情はある。それを分かって欲しいんだ」って言った。

それをわきまえた上で付き合って欲しい、って。

そんななおちゃんが、彼が言うところの〝自分に無関心な家族〟を捨てて、健気けなげに自分だけを想う愚かな小娘のことを選んでくれる日なんて、決して訪れやしないって分かってるのに。

世間一般で言うところの〝コソコソとした不倫〟とは違う自分の境遇に、少しだけ。

そうほんの少しだけ。

もしかしたら明るい未来が拓けるかも? なおちゃんの気持ちが告白時あのときとは変わっているかも?と、有り得ない期待をしてしまう、恋に溺れた哀れな自分おんなが私。

その浅はかさが、ズルズルとなおちゃんとの実りのない関係を引き伸ばしてしまっていたのだけれど、それも今日でお終いにするの。

私は……私を大切にしてくれる家族をこれ以上裏切れない。

だから――。

***

『親に……バレた? 原因は?』

私にとっては一大事の告白だったの
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