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第4話

Autor: 清多納言
瑛太の瞳には怒りの炎が宿っていた。

「茜、何のつもりだ?!」

内心、少しだけ胸のつかえが下りた気がした。

「いらないゴミだから、捨てるのは当然でしょ?」

瑛太は表情を険しくさせ、命令口調で言った。

「拾え!」

相手にするだけ時間の無駄だ。無視して立ち去ろうとした瞬間、手首を強く掴まれた。

瑛太が私を強引に引き戻し、さらに語気を強める。

「拾えと言ってるのが聞こえないのか!」

不意に、彼がひどく滑稽に見えた。

「瑛太、私のこと心底嫌ってたんじゃないの?

たかが絵一枚にそこまで固執するなんて……もしかして、手放すのが惜しくなった?」

瑛太の表情が凍りつき、パッと私の手を離した。

彼は鼻で笑って誤魔化した。

「勘違いするな。言っておくが、出て行くならお前の物は全部持って行けってことだ!

残されると……目障りだからな!」

私は冷ややかな笑みを浮かべ、屈み込んで床の画用紙を拾い上げた。

ビリッ、ビリビリッ。

紙が裂ける音が響き、破片が宙を舞う。

瑛太の頬が引きつった。

「清水さん、後で掃除をお願いね。よろしく」

そう言い残し、私はスーツケースを引いて玄関を出た。

「茜!」背後で瑛太が怒鳴っている。

だが私はもう二度と振り返らなかった。

黒木邸を出た途端、母から電話がかかってきた。

「茜、今日、家を売ってきたの。私は、ここ数日は叔母さんの家に泊めてもらうわ。

叔母さんが荷造り終わったら、一緒に海外へ気晴らしに行ってくるから。

あんたも元気でやるのよ」

父が亡くなってから母はずっと塞ぎ込んでいたので、叔母さんが気分転換の旅行に連れ出してくれることになったのだ。

それにしても、家を売るなんて一言の相談もなしに。

私はため息をついた。

今夜泊まるあてもなく、どうしたものかと途方に暮れていると、一台のロールスロイスが音もなく目の前に止まった。

修だ。

「乗れ」

あまりに当然のような口ぶりに、断る言葉も見つからず、吸い込まれるように車に乗り込んだ。

「泊まるあてはあるのか?」

どうして私の状況を知っているのだろう。

呆気にとられている私を見て、修が説明した。

「お母さんから連絡があったんだ。

お前が路頭に迷う前に拾ってやってくれ、とな」

「……」

母の仕業だったのか。

黙っていると、修が提案してきた。

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