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第5話

Author: ピリ辛巾着
紙の端の文字が読まれそうになった、その時。

「ねぇ、樹くーん! 何してるの?」

背後から、夕奈の甲高い声が飛んできた。

樹はチッと舌を打ち、「うざいな……くそっ」と低く吐き捨てる。

彼はもう私の書類を見るのを諦め、作り笑いを浮かべて夕奈の方へと振り返った。

私は彼らの茶番劇になど、一切巻き込まれたくなかった。

手元にあった転校届を素早く制服のポケットにねじ込み、その場を立ち去ろうとする。

しかし、夕奈がわざとらしく私の行く手を塞いだ。

「ねぇ言葉ちゃん。さっきの生物の授業で、すごく面白いことを習ったんだけど知ってる?

先生が言ってたの。『人間の器官は、長い間使われないとどんどん退化して萎縮していく』って」

夕奈の顔に、底意地の悪い笑みが張り付く。

「ねぇ、喋れないあんたの舌も、退化して気持ち悪いことになっちゃってるのかなぁ? ほら、舌を出して私によく見せてよ」

私は彼女と争う気など微塵もなく、無言のまま彼女の横を通り抜けて教室へと向かった。

しかし彼女は執拗に追いかけてきて、私の席までしつこくついて来たのだ。

「いい加減にしろ、夕奈」

たまらず、樹が彼女の
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