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変わり者令嬢がやさぐれ勇者の嫁になりまして
変わり者令嬢がやさぐれ勇者の嫁になりまして
Author: 阿良春季

プロローグ

Author: 阿良春季
last update Last Updated: 2025-06-01 06:41:24

 一体自分の何が彼をそんなに怒らせてしまったのだろうか。

 幽霊島での初めての夜。部屋は暗く、ベッド脇のランプだけがほんのりと灯りを灯している。

 そこでミオ・エヴェーレンはベッドの上で荒々しく男に組み敷かれていた。その行為にミオは怯えを隠せない。それでも黄昏色の瞳を男から逸らすことはなかった。

 そんな自分を蔑むように黒い瞳で見下ろす男の名前はレイ・シュタインと言う。まだ年若い容貌だ。二十歳前後と言ったところだろうか。人形のように整っている訳でも精悍な顔立ちという訳ではない。

 ただ年若い青年特有の色気が冷たい視線やミオを組み敷くしなやかな身体の線から滲み出ていた。そしてこの世界ではとても珍しい、夜闇のような漆黒の髪と瞳を持つ青年だ。

 それも当然である。彼は異世界から召還された勇者であった。二年前、ミオの住むフロード王国の魔術師たちが総力を挙げて国を救う勇者を召喚した。それが彼である。

 そしてミオはその勇者の花嫁としてこの島に半ば無理矢理送り込まれた。

 かつて災厄と呼ばれた赤竜の棲処であったこの幽霊島は今は勇者とその仲間たちが住んでいる。

「……っ」

 一糸纏わぬ姿でベッドに組み伏せられたミオの白い乳房をレイは凝視している。

 その視線の熱さに咄嗟にミオは手でたわわに実った胸を隠す。

「なんだよ、嫁なんだから隠すなよ」

 その隠した手を無理矢理外しながらレイは笑う。その笑みは到底結婚相手に見せるとは思えない冷たく嘲るような笑みであった。

「あっ」

 ぐり、と爪で淡く色づいた胸の先端を摘まれる。ぐりぐりと優しさの欠片もなく淡い桃色の乳首を押し潰され、思わずミオは痛みに顔を顰めてしまう。しかし痛みの中にもチリチリとした僅かな快楽を感じてしまっているのも確かであった。ぐにぐにと乳首を引っ張られたり押し潰されている内にミオの呼吸が少し乱れてくる。

「ん……っ」

 乳首の頂点を爪でカリカリと弄られると自然甘い吐息が漏れてしまった。

「なんだ感じてんの?」

 そう嘲笑うとレイはその強引な愛撫で固く立ち上がったミオの乳首に吸い付く。

「やっ! あぁ!」

 チュッ、ズッ、ジュルッとわざと下品な音を立ててレイはミオの誰にも触れさせたことの乳首を嬲るように、強く何度も角度を変えて吸い尽くす。

 コロコロと舌で転がされ、強く押し潰されたかと思うと甘噛みされて引っ張られる。乳首もそうだが彼の肩まで伸びた漆黒の髪が首筋や鎖骨に落ちて、それもくすぐったい刺激になってしまっているのだ。

 くすぐったくて痛くて、気持ち良い。

 恥ずかしいのに気持ち良いのだ。

(こんなの嫌なのに……止めてほしくない……)

 その快楽にミオの全身、とりわけ触れられていない方の乳首と足の付け根にある蜜壺が触られてもいないのに甘くジンジンと疼き始めている。

「ほら見てみろよ、なんも触ってない方の乳首も固くなってる」

「ひ……っ!」

 ジュポッと一際強く吸って唇から離すとレイは吸われていないもう片方の乳房を軽く揉む。

 それだけでミオの口から甘い悲鳴が漏れた。

「舐めてほしいって言ってみなよ。ちゃんと自分で胸揉んで舐めてくださいっておねだりしてみな?」

「……っ」

 閨事に疎いミオにそんな恥ずかしい真似は出来ない。

「どうした? 何でもするんだろ? それとも逃げる?」

 しかしそう言われてしまえばミオは唇を噛むしか出来ない。

 自分に出来ることなら何でもするとレイに言ったのは確かにミオ本人なのだから。

 自ら両の乳房を下からぐいと持ち上げて、羞恥に震えながらミオはか細い声を出した。

「舐めて……ください」

「もう一回」

 羞恥を堪えて言った言葉だったのにしかし無慈悲なまでのやり直しを命じられてミオは羞恥で頭がぐらぐらしてしまう。

 ぐらぐらした頭で自分を組み敷く男を見上げた。

「舐めてください」

「だーめ、もっとやらしく」

「……っ舐めてください」

「もう一回」

 駄目出しをするレイはくつくつと嗜虐的な笑みを浮かべている。その笑みにミオの目尻からじわりと涙が滲んでしまう。

「舐めて、」

「駄目」

「お願い、おっぱい……舐めて……ください」

 無理矢理言わされているだけなのに、本当にせがんでいる錯覚がしてきた。先のように乳首を吸ってほしい。レイの指と舌で気持ち良くして欲しい。そんなはしたない欲求がミオから滲み出てきてしまうようだ。

 そんな色欲で潤んだ瞳で訴えたのが功を奏したらしい。レイは支配欲が満たされたように口元を三日月のように歪めた。

「いいよ」

「あっ!」

 言うや否やレイはジュウッと痛いくらいに強く乳首に吸いつく。瞬間ミオの口から一番大きな嬌声が漏れ出た。

「反対も自分で指ぐりぐりして」

「咥えたまま喋らないで……っんうっ」

 先まで吸われていた方の乳首を言われるがまま自身の指で撫でる。レイの唾液でぬるぬると滑る乳首はミオ自身の指で軽く撫でただけで快楽を拾ってしまう。

(やだ……気持ち良い……)

 片方の乳首を吸われもう片方の乳首を自分でコリコリと夢中で弄る。快楽で表情が蕩けていく。

 その姿は仮にも貴族の令嬢とは思えぬような淫らな姿であった。

「んああっ!」

 突然レイに下腹部を撫でられ、ミオは甲高い悲鳴を上げる。

 誰にも見せたことのない秘部の割れ目をレイの逞しい指が這う。

「いっいけませんそれは……」

「いけない訳ないだろ嫁なんだから」

 割れ目を何度もなぞられる度に背筋に甘い電流がぞわぞわと走り抜ける。恥ずかしいはずなのにもっと撫でてほしい。もっと奥を触れてほしい。

 未通のはずなのに体は男に貫かれる快楽を知っているかのように蜜壺を護る鮮やかな桃色の花弁をひくひくとひくつかせている。

 その花弁の割れ目から透明な蜜が滲んできていた。その蜜で濡れた指は更に良くぬるりと滑り込み、割れ目の中にある花芯を撫で上げた。途端に最高に強い快楽がミオを襲う。

「あっあ……あっ!」

「自分ばっかりヨガるなよ」

 脚を跳ね上げて悲鳴を上げるミオを嘲ると割れ目の中にある二枚の花弁を指が押し開き、その奥にゆっくりと中指が挿入ってくる。

「あああっ……」

 すっかり蜜で満たされた秘部はぬるぬると容易くレイの中指を呑み込んでいく。

 ずちょずちょぐちぐちと中指が蜜壺を掻き回す。最初はゆっくりと慣らすように、次第に激しく抽送を繰り返す。壺の中壁を抉るように擦られるとミオの口から甘い嬌声が勝手に迸ってしまう。

「こんなにびしょ濡れだ、犯されてるのにやらしい女だな」

「わ……私はレイ様の嫁ですから……」

 ミオの立場は嫁だ。お互い望まない結婚かも知れないがそれでも嫁は嫁だ。犯されているのではない。

 揶揄するレイにシーツの上で弱々しく息も絶え絶えな状態だが、それでもミオはそう返した。

 そんな口答えに勇者の漆黒の瞳が更に鋭く冷え切っていく。

「へぇ初夜なんだ、なるほどねぇ」

 レイの口元だけは酷薄な笑いを浮かべているが目は少しも笑ってはいない。

「じゃあさ」

 そう言ってレイは一度ベッドから降りると、勢いよく着ていた衣服を脱ぎ捨てる。英雄とは思えない程簡素なブリオー(チュニック)とブレー(長ズボン)とシェーンズ(肌着)を脱ぐと、鍛え上げられた筋肉に無数に痛々しい古傷が残る肉体が露わになった。

 痩身かと思ったが脱いでみれば成る程歴戦の勇者であることも頷けるような引き締まった見事な肉体をしている。

 いやそれだけではない。

 股間には硬く凶器のようにそそり立ったレイの剛直が隠されることなくミオの眼前に晒されていた。

(こんな大きいのが私の中に挿入っちゃうの……?)

 挿入る訳がない、とミオが剛直を見つめたまま凍りついてしまう。

「ほら、初夜なんだろ? さっきみたいに可愛くおねだりして受け入れてみろよ花嫁さん」

「な……」

 レイの言葉にミオは思わず絶句してしまう。

 さっきのおねだりよりも更に恥ずかしいことを要求されるとは思わなかった。

 しかしもうどうすることもできない。

 羞恥に震えつつも細い両足を自分で抱えるように曲げて、股を開く。

「い、挿入れて……ください」

「ダメ、ちゃんとどこに挿入れてほしいのか言え」

(そんなの……言えるわけない……!)

 しかし今更後戻りは出来ない。

 ここで嫁として不出来だと言われても、ミオには帰る場所などないのだから。

 諦念の色を浮かべたミオは股を開いたまま震える手で、恐る恐る自身の二枚の花弁を両手でくぱと広げた。

「ど、どうか挿入れてください……私の……ここに」

 恥ずかしさに今にも憤死しそうだ。だが頭がクラクラして体が自分のものではないかのように感じるのは決して羞恥のせいだけではないだろう。

「へえ、貴族の娘なのにそんないやらしいおねだりしちゃえるんだ」

「……っ」

 ミオの意思とは反して濡れぼそり雄を求めるようにひくつく花弁の奥を凝視しながらレイは冷笑する。

「恥ずかしい命令されるのが好きなの? それとも男のこれが好きなだけ? どちらにせよ淫乱だな」

「ひゃんっ!」

 そう言ってその花弁を剛直でぬるぬると愛撫されると電撃が走るような快楽が全身を駆け巡る。酷いことを言われているはずなのに、体は快楽を求めてきゅんきゅんと疼いていた。まるでミオの体がミオのものではないように、これではレイの言う通りに淫乱である。

「ちゃんとやらしくおねだりできたから、じゃあ挿入れてあげるね」

 舌舐めずりをしたレイがミオの足の間にその体を滑り込ませる。ピト、とレイの熱い剛直がミオの花弁の真芯に当てられた。

(挿入っちゃう……)

 羞恥の中にもこれから訪れるであろう深い快楽を期待してしまい、小さく背筋が震える。

「ああっ! ひゃう……っ!!」

 しかし予想とは裏腹にメリメリと生木を裂くような痛みと音を立てて、猛ったレイの熱がミオの中に侵入してくる。

 未通の狭路を無理矢理押し広げられる痛みに思わずミオの両眼から涙がはらりと溢れた。

「痛っ……痛い……っ!」

 痛みから逃れるためにミオは必死にシーツを掴む。

 苦痛に悶えるミオを冷たく見下ろしながらレイは吐き捨てるように告げた。

「誰も助けちゃくれないんだよこの世界は」

 一体どうしてこんなことになったのか。

 ミオは苦痛に耐えながらも口の中でもう一度そう反芻した。

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