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第364話

Author: 一燈月
星文は小夜の手をぎゅっと握りしめた。

「僕、ママと一緒にいるのが一番好き」

「私のことは嫌いなの?」

背後から幽霊のごとく響いた芽衣の声に、星文はびくっとして口を尖らせた。

「芽衣ねえ、また驚かした!」

「芽衣ママ」というのは、芽衣が自らそう呼ばせているのだ。

彼女の持論では、星文が小夜を「ママ」と呼ぶ以上、小夜と姉妹同然の自分は「芽衣ママ」で当然だという。芽衣は明るく人懐っこい性格で、小夜の口添えもあり、星文はすぐに打ち解けた。

今では小夜が少し席を外しても、芽衣がいれば星文は勝手にどこかへ行ったりしない。

随分と安心できるようになった。

部屋中を追いかけっこする二人を眺めながら――といっても一方的に芽衣が星文を追い回しているだけだが――小夜は思わず口元を緩め、満面の笑みを浮かべた。

ふと、思った。

この時間が永遠に続けばいいのに、と。

最近どうも感傷的になっていると首を振り、小夜はキーボードを叩き、マウスを操作して素材を整理し始めた。

今回の旅を経て、「山水」をテーマにしたデザインの構想はすでに固まっていた。

というより、自信は十分にある。

手の怪我で
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