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9話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-02-05 15:16:41

音羽は、自分の些細な行動で妊娠を言い当てられた事に驚いた。

驚きにあんぐり、と口を開けた音羽を見た女性は可笑しそうに笑う。

「あんた、素直だね。それに、善人そうだ。それなのに、どうしてこんな所にぶちこまれたんだい?」

「──私も、未だに分からないです……。悔しくてしょうがないんです……」

「……どう言う事だい?」

女性の片眉がぴくり、と跳ね、顰められた。

音羽は、話してもいいものか一瞬だけ悩んだが、それでも自分の心の中で燻る思いを吐き出したく、女性に話した。

どうせ、この刑務所内でだけの仲だ。

刑期を終えれば、もう2度と会う事はないのだから。

「……私は、身に覚えのない罪で逮捕されて、有罪判決を受けたんです」

「──は?」

音羽の言葉に、女性が目を丸くした。

◇◆◇

あれは、今から2ヶ月ほど前。

音羽は、短大卒業後に夫の樹の会社に務めた。

会社に務め始めて、1年近くが経った頃。

樹の会社に、インターンがやって来た。

そのインターンは秘書課に配属され、代表取締役社長──つまり、音羽の夫樹の専属秘書に抜擢されたのだ。

その秘書の名前が、崎山 裕衣。

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