Se connecter竜也が星のドレスを完全に引き裂いて脱がせようと手をかけた――まさにその時だった。パーンッ!!突然、密室の入口の方から、耳をつんざくような銃声が響き渡った。続いて、入口の近くで逃げようとしていた大輝の、悲鳴ともつかない激痛の叫び声が上がった。「ああっ……!」煙の立ち上る銃口を下ろし、すらりとした若い男が、蹴り破った扉の向こうから部屋へ踏み込んできた。男が、ベッドの上で星を強引に押さえつけている竜也の姿を見た瞬間、その漆黒の瞳に鋭い光が走った。彼は獲物を狩る獣のように、大股で一直線に星のところへ向かった。竜也は、突然現れた見知らぬ男に楽しみを邪魔され、悪態をつきながら向かってきた。「てめえ、誰だ!ここは俺の場所だぞ、勝手に入ってきやがって……!」だが、竜也が最後まで言い終えるよりも早く、男の恐るべき速度の蹴りが竜也の腹を捉え、大男の体を無様に床へ叩き倒した。男は床でくぐもった呻きを上げる竜也には見向きもせず、彼に乱暴に押さえつけられていた星の肩を優しく引き寄せた。「星野さん、大丈夫か?」意識が遠のき、視界がぼやけていた星は、間近に見慣れた美しい顔を見て、一瞬、自分が痛みの中で都合のいい夢を見ているのだと思った。「……仁志?」星は信じられない思いで、目の前の男の顔をじっと見つめた。「……本当に、あなたなの?」仁志は、無惨に引き裂かれた星のドレスを見た。その漆黒の瞳の奥底に、相手の命を奪うような極寒の光がにじむ。「ああ……僕だ。遅くなってすまない」仁志はすぐに自分が着ていたスーツの上着を脱ぐと、星の震える体をしっかり包むようにかけた。星の美しい頬は平手打ちで赤く腫れ上がり、服は引き裂かれてひどく乱れていた。仁志が彼女を抱き上げ、この不浄な部屋から連れ出そうとした時、床へ倒れていた竜也が怒りで顔を真っ赤にして立ち上がった。「ふざけんな!お前、いったい何者だ!俺の楽しみを邪魔しやがって、ただで済むと思うなよ!」まだその場を離れていなかった慎は、現れた仁志の姿を見て、不審そうに目をわずかに動かした。慎は仁志と面識がなく、その素性もまったく知らなかった。目の前の男は若く、顔立ちにはまだ少年のような雰囲気を残している。しかし、大輝の足を一撃で打ち抜き、屈強な竜也を蹴り一発で無力化したそ
竜也はベルトを打ちつけながら怒鳴り散らした。「まだ俺に逆らって引っかく気か!大人しくしろ!」星の目から、たまらず痛みの涙がこぼれ落ちた。肉が裂けるような激痛に、声を出さずに耐えるのも限界だった。それでも、星は大人しく殴られ続けるつもりはない。彼女は倒れ込みながらも手探りで近くにあった重いポットをつかみ取ると、立ちふさがる竜也の頭めがけて、力いっぱい振り下ろした。ゴンッ!鈍い音が響いてポットは大きくへこみ、竜也の額からタラリと赤い血が流れ落ちた。あまりの事態に逃げ出そうとしていた大輝と慎は、その凄絶な光景を見て身震いした。自分たちまで色香に迷って、この狂ったように抵抗する星へ直接手を出さなくて本当によかったと、二人は初めて心から安堵した。この女は、本気で命の危険を感じるほど追い詰められると、恐ろしすぎる。今のポットの一撃に、星が全身の力を込めていたことは明らかだった。もし彼女がこれまでの抵抗で体力を使い果たしておらず、竜也のベルトで全身を打たれて負傷していなければ、今の一撃で竜也を確実に殺していてもおかしくはなかった。竜也は額を流れる血を乱暴にぬぐった。女にこれほど反撃され、恥をかかされたことなど、彼の人生で一度もない。その目に、殺意にも似た凶暴な光が灯った。竜也は獣のように前へ飛び出し、星の頬を思いきり平手打ちした。パーンッ!乾いた破裂音が響き、星の華奢な体が床へ激しく叩きつけられた。殴られた頬は一瞬で赤く腫れ上がり、切れた唇の端からツッと血がにじむ。視界に火花が飛び、頭の中で激しい耳鳴りがガンガンと続いた。星は床に倒れたまま、長い間、身動き一つできず、立ち上がることもできなかった。竜也は彼女がようやく恐怖と痛みで大人しくなったと思い、勝ち誇ったように見下した。「チッ……女ってのは本当に、痛い目を見ないと分からない生き物だな」竜也はいやらしい笑みを浮かべて身をかがめ、床に倒れる星の顎を乱暴に持ち上げた。「さっきまであんなに威勢よく暴れて騒いでいたのに、どうした?もう声も出ないのか。雲井家のお嬢様ってのも、大したことないな」星の目がかすかに動いた。ぼやけていた視線が、ゆっくりと竜也の下劣な顔を捉える。やがて瞳の焦点がはっきりと戻り、その黒く清らかな目に、決して屈しない気高い光が戻っ
長い抵抗の末、星の美しい髪は乱れ、ドレスもひどく着崩れていた。それでも、その黒い瞳には氷のように鋭い光が残り、彼女の表情には微塵の屈服の色もなかった。大輝はどう手を出していいか分からず、途方に暮れた。「竜也さん、どうするんですか?これじゃあ手が出せませんよ」少し前に酒を飲んでいた竜也は、闘争心に火が付き。彼は無言で腰から革のベルトを抜き取ると、二つに折りたたみ、手の中でその重さを確かめた。それを見た大輝は、恐怖に目を見開いた。これまで彼と一緒に女を弄んできたからこそ、竜也がこれから何をするつもりなのかがすぐに分かった。言うことを聞かない女を暴力で懲らしめる時、竜也はベルトや鞭を使って、相手の心が完全に折れ、泣いて許しを乞うまで打ち続けるのだ。だが、星はこれまでの安い女たちとは違う。雲井家の令嬢を無理やり抱くだけなら、相手も家名の評判を守るために泣き寝入りする可能性はある。しかし、暴力による虐待まで加えれば、後で雲井家が黙っているはずがなく、話はまったく別だ。「竜也さん……」大輝は後々の報復を想像し、すぐに怖じ気づいた。「もうやめにしませんか。この女は本当に危険ですよ。これ以上傷をつけて暴れられたら、酷い目に遭いますよ」しかし、竜也は高慢な女を暴力で征服する時の快感を何より好む男だった。身分が高く、しかもこれほど気が強くて気高い女を前にすると、先ほどまでの迷いはすべて吹き飛んでいた。折りたたんだベルトで自分の手のひらをバンッと叩きながら、竜也はいやらしく鼻で笑った。「こういう気の強い女ほど、恐怖で従わせた時がおもしろいんだよ。見てろ。すぐに俺の足元へ這いつくばって、泣きながら許しを乞うようになるさ」慎もその常軌を逸した様子を見て、ためらいを隠せなかった。「でも竜也さん、彼女はあの雲井家の令嬢ですよ。そこまでのことをしたら……」竜也の目はすっかり血走り、そこには自分に反抗する星への執着と征服欲だけが映っていた。「心配すんな。後で問題になったら俺がこいつを引き取って、そのまま家に連れて帰って妻にしてやればいいだけの話だ」竜也は星へ、陰湿で下劣な笑みを向けた。「星野さん、今ならまだ大人しく謝れば許してやる。そうすれば、結婚した後も少しは優しくしてやるよ。だが、まだ俺に逆らって抵抗するって言う
星は決して屈することなく激しく抵抗し続けた。そのため、彼女を襲おうと詰め寄る男たちも、すぐには彼女を押さえ込めずにいた。部屋にいたのは三人だった。広瀬慎(ひろせ しん)、野沢大輝(のざわ だいき)、古田竜也(ふるた たつや)である。三人は裏社会でそれなりに名の知られたチンピラであり、星野星のように高嶺の花を一度でいいから味わってみたいと、以前からいやらしく狙っていた。当然、普通の令嬢たちは彼らのような下劣な人間を相手になどしない。だから、彼らも普段は名家の令嬢に直接手を出すような勇気はなかった。しかし今回は、「すべて準備してくれる人間がいる。あとは好きに楽しめ。後始末も任せておけ」という願ってもない話だった。三人は最初こそためらった。これが上流階級の令嬢同士の陰湿な争いに利用され、標的の純潔を無理やり奪わせるための計画だと、すぐに分かったからだ。だが、似たような汚れ仕事は、彼らもこれまで何度か請け負っている。ただで手に入る極上の相手を拒む理由はない。自分たちが直接計画したわけではなく、女の方から勝手に部屋へ入ってくるのだから、最悪事が露見しても、責任は裏で仕組んだ依頼者が負えばいい。しかも、三人は裏社会でそれなりの繋がりと力を持っていた。雲井家のような大きな名家には遠く及ばなくても、この土地においては、外から来た強者よりも、地元の裏事情に通じた人間の方がよほど厄介な存在だ。自分たちが明確な殺人のような重罪さえ犯さなければ、相手も彼らの命まで簡単には奪えない。だからこそ、これまで似たようなことをしても、大事には至らなかったのだ。今回も、どうせそのパターンだろうと同じように高をくくっていた。ただ、今回の標的があの雲井家の令嬢だと知った時には、さすがの彼らにも一瞬迷いが生まれた。雲井家の令嬢は、以前彼らが手を出したような小さな家の令嬢とは訳が違う。決して軽い気持ちで触れていい女性ではなかった。下手をすれば、彼ら自身の命まで失うことになる。しかし、事前に送りつけられた星の写真を見た三人は、彼女のその冷ややかで圧倒的な美しさに完全に目を奪われ、激しく心を動かされてしまった。連絡してきた男は、さらにいやらしく彼らを煽った。あれほど貞淑で堅そうな令嬢でも、一度その味を覚えさせてしまえば、裏で彼らと継続的な関係を持つように
彩香も、今回の星の失踪が仁志の仕業だなどとは微塵も思っていなかった。ただ、今の状況で仁志を連れて行けば、航平と仁志が確実にまたぶつかり合い、星を探すための貴重な時間が失われてしまうことは火を見るより明らかだった。仁志は黙って焦る三人を見つめ、それ以上は何も反論しなかった。航平は仁志を冷ややかに一瞥し、雅臣と彩香に言った。「雅臣、彩香さん、行こう」三人はすぐにその場から立ち去り、姿を消した。……時間を少し遡る。星が上の階へ上がって間もなく、廊下で雅臣と正面から鉢合わせた。雅臣が先に足を止めて声をかけた。「……星野さん」星は礼儀として小さく頭を下げただけで、それ以上話を続けるつもりはなかった。ここで彼と長話をして、また頭のおかしい清子に見られ、何か理由をつけて絡まれるのは絶対に避けたかったのだ。星が彩香から送られてきた部屋番号を探して廊下を歩いていると、ひとりの若い女性スタッフが近づいてきた。「お客様、何かお困りのことはございませんか?」高級ホテルの客室階には、客を案内するための専属スタッフが配置されていることが多い。「1103号室へは、どう行けばいいのかしら?」「1103号室は、この廊下の一番奥にございます。どうぞ、ご案内いたします」星は小さく頷いた。スタッフに連れられ、星は長い廊下の最奥にある扉の前までやって来た。そこには確かに、1103号室という表示が出ていた。スタッフが恭しく扉を開ける。「どうぞ、お入りくださいませ」星は入口に立ったまま、なぜかすぐには中へ入らなかった。明確な理由は分からないが、何かがおかしいという微かな違和感を覚えたのだ。星は念のためスマホを取り出し、彩香へ確認の電話をかけようとした。その瞬間――背後からドンッと強く背中を押され、星の体が無理やり部屋の中へ押し込まれた。ハッとして振り返った時には、すでに重い扉が外側からガチャリと施錠されていた。星は血の気が引くのを感じ、すぐに扉へ駆け寄って取っ手を回した。しかし、外から鍵をかけられた扉はびくとも動かない。密室となった部屋の空気には、どこか甘く重い、ねっとりとした香りが漂っていた。星は急いでスマホの画面をつけ、外部へ助けを呼ぼうとした。だがその時、画面には圏外と表示されており、電
声の主は、雅臣だった。彼は一同の前まで歩いてきた。彼はずっと友人の航平のただならぬ様子を気にかけており、こちらから言い争う声が聞こえたため、何事かと様子を見に来たのだ。雅臣の姿を見た航平の顔から、わずかに険が取れた。「雅臣」雅臣は焦っている彩香の顔を一度見てから、黙って立つ仁志へ視線を移した。「……いったい、何があったんだ?」航平は仁志を牽制するように冷たく答えた。「この二人が自分たちで星を見失ったくせに、私のところへ来て『彼女を出せ』と難癖をつけてきているんだ。私がわざと星を隠したと疑っているらしい」雅臣の無表情だった顔が、わずかに動いた。「星野さんのことか?彼女がいなくなったのか?」「ああ。星とは連絡が取れない。電話にも出ないから、彼女に何かあったのではないかと心配しているんだ」雅臣は少し記憶を探るように目を伏せた。「……だが、俺はさっき、この廊下で星野さんに会ったぞ」その言葉に、全員の緊迫した視線が一斉に雅臣へと集まった。航平の顔色は一気に変わった。「雅臣、お前……星に会ったのか!?」星の行方がまったく分からない今、航平が声を荒らげて食いついても、周囲には「心配しているだけ」と見え、不自然には映らなかった。彩香もすがるように急いで尋ねた。「星は、いったいどこにいたの!?」「航平と会う少し前、この廊下で星野さんとすれ違った。軽く挨拶を交わしただけで、彼女がその後どこへ行ったのかまでは分からないが」雅臣と星は、立ち止まって親しく長話をするような間柄ではない。星も雅臣と長く話そうとはしなかった。ただ、すれ違いざまに短い言葉を交わし、そのまま別れただけだったのだ。それでも、監視カメラがすべて壊され、星を探す手がかりが完全に途絶えていた一同にとって、その情報はとてつもなく大きかった。少なくとも、星が最後にいた場所と時間を絞り込むことができる。彩香は隣の仁志のことを考える暇もなく、雅臣にすがりつくように向き直った。「星は何か言っていなかった!?すれ違った後、彼女がどちらへ向かって歩いていったか見ていない!?」雅臣は記憶をたどった。「挨拶をしただけで、会話らしい会話はしていない。俺の方へ向かって歩いてきたから、すれ違った後、彼女が最終的にどちらへ進んだかも見ていない……あ







