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第818話

Author: かおる
星は、仁志のために買ってきた食事を提げて病室へ戻った。

「ごめん、少し遅くなっちゃったわ」

仁志はスマホを置き、彼女の表情をじっと観察した。

「......なんだか機嫌が良さそうですね。

何かいいことでも?」

星は自分の頬に触れた。

「そんなにわかりやすかった?」

仁志は笑みを含んだ瞳で頷いた。

「はい」

星は少し迷ったが、清子の件はいずれ彼にも話すことになると思い、隠さずに言った。

「清子が病気を装っていた証拠を手に入れたの。

それを公開すれば、清子はもう二度と立ち直れないわ」

仁志は驚いた様子を見せず、むしろ穏やかに言った。

「それは良かったですね。

小林さんを暴きたいと思ってる時に、ちょうど決定的な証拠が手に入るなんて」

星は、これが航平からだとは言わなかった。

仁志を信じてはいるが、こうした繊細なことは口外しない方が良い。

航平にも迷惑がかかる。

星は軽く頷き、テイクアウトしてきた食事を出した。

「まずは食べましょう」

仁志は彼女をじっと見つめてから、静かに食事に手をつけた。

……

翌日。

【清子は仮病だった】、【清子の難病は嘘】、【清子は詐欺師】などのタグが、次々とトレンドに躍り出た。

星のアカウントから、清子の仮病の動画と映像が公開されたのだ。

さらに、星は長文で、これまでの清子との因縁を丁寧につづった。

今の彼女の知名度とフォロワー数は桁外れだ。

投稿はわずか二時間でトップトレンド入りした。

その頃――

当の清子は、まだ自分が炎上していることを知らず、仁志と電話していた。

「仁志、私の音楽会のチケット、ずっと売れ残ってて......

何度も値下げしたのに全然売れないの。

あなたの提案が正しかったわ。

私には賑やかしが必要なの。

仁志、もう一度だけ協力してくれない?

あなたの部下や知り合いに来てもらって、会場を埋めてほしいの。

空席だらけなんて絶対に嫌」

仁志は何の迷いもなく答えた。

「いいだろう」

清子は胸をなで下ろし、ほっとしたように微笑んだ。

「仁志、本当にありがとう。

結局、私を支えてくれるのは、あなただけね」

仁志は意味ありげに微笑んだが、何も言わなかった。

目的さえ達してしまえば、彼にとって清子との会話はもう必要ない。

清子も、気まぐれで危ういこの男と長話
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Comments (1)
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pockykon
仁志はもう清子の音楽会がなくなることをわかってるからね!
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