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第972話

作者: かおる
裏庭まで歩いたところで、靖と澄玲は足を止めた。

澄玲は靖を見て言った。

「靖さん、お話があるなら、ここでどうぞ」

靖は問いかけた。

「志村さん。

あなたが星と同級生だった頃、彼女は雲井家のことを、あなたに話していましたか?」

澄玲は眉をわずかに上げ、その言葉の裏に含まれた意味を察した。

――星が自分の身分を明かしたから、自分と知り合ったのではないか。

そう言いたいのだろう。

胸の内に、かすかな嘲りが浮かんだが、表情には一切出さなかった。

彼女は微笑んで答える。

「いいえ。

私たちが星と知り合った頃、彼女の家柄など、何も知りませんでした」

靖は淡々とした表情で言う。

「......そうですか」

そう言いながらも、その顔には、信じている様子はまったくなかった。

澄玲は、小さく眉を寄せ、それでも穏やかな声で続けた。

「ただ、私たち自身が、自然と気づいただけです。

長期休暇になると、いつも私たちは、実家に帰っていました。

でも、星ちゃんだけは帰りませんでした。

いつも外でアルバイトをして、学費と生活費を、自分で稼いでいました」

澄玲は靖の目を見つめた。
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