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第182話

Auteur: つき酔
美月は、承也の目に少しでも気に障るようなまねはしたくなかった。

識子は助けを求めるように承也を見て、小声で探るように言った。

「椎名社長、桜井様を説得していただけませんか。テーブルで召し上がるとおっしゃっていて……でも、起き上がるとまた貧血でめまいがするはずです」

識子は、承也も美月の体を気遣い、ベッドで食べればいいと優しく言ってくれるものだと信じていた。

ところが、ソファで書類に目を通していた承也は顔も上げない。拳を口元に当てて低く数回咳き込み、淡々と言い放った。

「……いい習慣だ」

美月は目を伏せ、してやったりと唇の端をかすかに上げた。

やっぱり。この世に、承也に自分の決めたルールを曲げさせられる人間など存在しないのだ。

識子は渋々美月を抱き上げて車椅子に移し、テーブルのそばまで押していった。

美月が食事を始めようとした時、悠斗が電話に出るため病室を出た。美月はすかさず識子に目配せする。識子はすぐに察し、静かに病室を出てドアを閉めた。

そして、病室の会話が漏れないよう、得意げな顔で扉の前に立つ。

美月は春霞亭の、少し甘めのスープをスプーンで口に運んだ。

ただ
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