レイヴァンことは、気にすることなく、素早く着崩れした制服とズボンを直した。
「私は、もう行く。次の授業までには来い」
それだけ言うと、そのまま研究室から出て行ってしまった。
エルザも何とか起き上がるが、乱れた制服と髪型。汗もかいており、あそこも垂れたままだ。
「急がないと……」
エルザは、テーブルから起き上がると崩れた制服を直し、ハンカチで拭いた。
そして、そのままお手洗いに向かうと後処理をする。
しかし肝心な下着がダメになってしまった。汚れてベタベタ。
この時のために予備の下着を用意しているのだが、今日の日に限って忘れてしまった。仕方ない……恥ずかしいが穿かないでおこう。
エルザは下着を穿かずに、次の授業に出ることにした。教室である講義室に入るとクラスメイト達の視線がエルザに集中する。
それもそのはずだ。さっきまでエルザは、皇太子であるレイヴァンに公衆の前で叩かれたばかり。時間も止めていたから、そう経っていないが。
叩かれた頬は少し赤く腫れ、泣いた痕まである。どう見ても泣いていて遅れていたに過ぎない状況だろう。だから周りも冷ややかな目でエルザを見てきた。
「泣いて遅れてきたのね」
「まぁ、可哀想に。でも、よく授業に出て来られたわよね? 私なら恥ずかしくて早退しますわ」
「それだけ神経が図太いのではなくて? 悪役令嬢様ですもの」
クスクスと陰で笑われる始末。
しかしエルザは、そんなことは気にしてなかった。それよりもスースーする下半身が気になって仕方がない。
転んで見られたら丸見えだ。それこそ変な噂が流れかねない。
急いで空いてる席に座る。目を見ると四つ目の離れた席がレイヴァンだった。もちろん横にはレイナが当たり前のように座ってベタベタしていた。
するとレイヴァンはこちらを見てくる。するとクスッと笑っていた。
きっと今の状況を見て満足しているのだろう。
授業は普通通りに始まるが、まだコソコソお噂を言っている人達が居る。
しかしエルザは教師の声も噂を言っている声も耳には入らなかった。
それどころではない。スースーする下半身に、少しでも動かせば感触を思い出す。
まだレイヴァンのモノが入っているような感覚。数分前までの出来事だったので、記憶が鮮明に残っているからだろう。
お尻を少しでも動かしただけで、ピクッと反応して愛液が溢れてきてしまうため、キュッと太ももとお尻の穴を全て閉じるように座り直す。
そのため、意識がそちらに集中し、頭に入ってこない。次期皇太子妃になるにも関わらず。
結局、残りの授業も集中ができずに終わってしまった。何をやっているのだろう。
エルザは、教科書を片付けると早々とお迎えの馬車に乗り帰宅した。
現在の自宅はサファード家ではない。皇妃としての教育を受けないといけないため、皇宮に住んでいる。エルザが与えられたのは皇妃邸『ホワイトキャッスル』
大変名誉なことで、住むだけでも身が引き締まるようだ。
中に入るとたくさんの侍女と『ホワイトキャッスル』の管理を任せられている執事長のトムソンが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ。エルザ様」
「ただいま帰りました。今からお風呂に入りたいのだけど」
「すでにご支度が出来ております」
さすがトムソン。長年皇宮を使え、支えてきたので優秀だ。それに、エルザにも優しく接してくれる理解者でもあった。
ベタベタの体を洗い流したくて帰宅早々に湯船に浸かる。するとエルザ専属の侍女であるビビアンとルルが体を洗ってくれる。
皇宮への待遇も分裂していた。レイヴァンの住む『ルビーキャッスル』など始め一部の使用人達にもエルザへの噂が広まっている。
皇太子に愛想をつかされた婚約者。政略結婚だから仕方がなく置いているとかなど。
それに聖女をイジメているとなると、なおさら評判も悪い。
しかし、ホワイトキャッスルの使用人達は一切エルザのことを悪く言わない。
むしろ皇妃のように丁重に接してくれるので居心地がいい。
周りを見るといつの間にか能力が解かれていて元に戻っていた。とにかく朝になったら……それとなく謝ろう。 そう思い、とりあえずベッドから出ると衣服に着替えた。そして起こさないように寝室から出て行く。 一晩一緒に居たと噂になれば、レイナや聖皇庁に怪しまれるため避けないといけないと思って。 しかし、それが良くない事態になった。翌朝早起きして『ホワイトキャッスル』の玄関先の前で待ち伏せをする。アカデミーに行く前に謝りたかった。「すみません、殿下。今日エルザ様は体調不良で休まれるそうです。その……昨晩のが」「あっ……そうだったな。すまない」 トムソンに言われてハッとした。そうだった。 昨日初めて抱いたのだ。女性であるエルザの方が辛いはず。自分の配慮の仕方が甘かったと反省する。なら……せめてお見舞いでも。 そこで謝れば……と思い直す。「だったら、登校前に少しお見ま……ぐっ」 お見舞いはできるかと言おうとしたらレイヴァンは直前に激しい頭痛に襲われる。「殿下。大丈夫ですか!?」 トムソンが心配そうな顔をするが、レイヴァンは激痛が走って、まともに答えられない。そうしたら頭の中から声が聞こえてくる。『この馬鹿者。それとなく謝ってどうする気だ? せっかく計画通りに進めているのに台無しにするやつがあるか』 声の主はクリスだった。頭痛の原因も息子だろうと直感で分かった。「ず……頭痛を止めろ」 クリスの分かるように小声で言うが、本人は聞く耳を持たない。『貴様が父親として、ちゃんとやるなら止めてやる。天界と人間界では私のマナが届く範囲にも一人が限界だし、大きい力は使えない。だから貴様に頼んでいるのに……貴様ときたら情けない』(いや……それは頼む態度じゃないと思うが。それよりも頼むから止めて) あまりの激痛に意識が飛びそうになる。底知れぬ息子の能力が怖くなるほどだった。「わ、分かったから……」 そう言うと、 やっと頭痛から解放される。あぁ……死ぬかと思った。「本当に大丈夫ですか?」「あぁ、ちょっと頭痛がしただけで問題ない」 レイヴァンはトムソンに笑って誤魔化した。さすがに息子にやられたとは言いにくい。「それよりもエルザを頼む」「承知致しました」 レイヴァンは、それだけ言うとそそくさと馬車に乗った。これ以上居ると、またクリスが頭痛にさせられそう
いやいやと痛がるエルザは可愛いが辛そうだ。酷い男を演じないといけないと分かっている。しかし、そこまで痛がる彼女に、そんな事はできない。 本当はもっと先に進みたいのだが、ぐっと耐えながらエルザに声をかけた。「痛いならキスに集中しろ。ほら、首に手を回せ」「で、でも……」「心配するな。ゆっくりするから」 レイヴァンはエルザに優しく言い聞かせながらキスをする。最初は嫌がっていた彼女だったが、必死にキスに応えようしてくれた。 舌を絡ませてながら少しずつ腰を下ろしていく。何とか全部挿れる事はできた。お互いにはぁはぁっと息が荒くなり、大量の汗が出る。 少し動いただけでも膣内の中がギュッと締まり意識を持っていかれそうになる。それぐらいエルザの中は、あたたかく気持ちが良かった。 やっとエルザと一つになれた。思っていた以上に感情が高ぶる。しかし、ずっとこのままと言うわけにはいかない。「エルザ……動くぞ」「ま、待って」「怖がるな。ゆっくりするって言っているだろう」 余裕が無いのか口調が荒っぽくなるが、エルザが怖がらないように最善の注意を払いながらゆっくりと動かしていく。 少しずつギリギリのところまで抜くと、奥を目指して挿れていく。それを繰り返す。 最初は強張った表情をしていたエルザだったが、段々と痛みから柔いでいったのか甘い声が漏れるように。「あっ……んっ……ふっ……んんっ」 ゆっくりと上下に動かすと、声もそれに合わせるように喘ぎ出す。 その声を聞くとレイヴァンは、さらに余裕が無くなってくる。段々と腰を速く動かいていく。「あっ……んんっ……ダメ……速く……しないで」「無理だ……くっ……」 ずぶずぶと水音を立てながら、さらに速く出し入れする。 自分では分かっている。こんな事は良くないって。でも……。 もう自分でも、どうする事もできない。欲望のままひたすらエルザを攻め立てる。 そしてエルザの子宮に自分の精液を注ぎ入れるのだった。 はぁはぁっと荒い息を吐きながら、ゆっくりと陰茎を引き抜く。ドロッとした自分の精液と一緒にエルザの愛液も溢れ出てきた。 エルザはぐったりと意識を手放して眠ってしまっていた。目尻には涙が溢れている。 その姿を見ると、まだ興奮は収まっていなかったが、自分のしてしまった事に罪悪感を覚える。(私は……なんて事をしてしま
「ダメ……です。私達は……まだそんなこと」 恥じらいがあるのか、じわりと目尻に涙を浮かべていた。するとエルザの体がキラキラと光り出した。瞳が虹色に変わる。すると壁や周りのモノが石に変わってしまった。(これが……サファード一族の能力なのか!?) サファード一族だけが持つと言われている『時を止める』能力。初めて、その力を拝見した。だから皇族が手に入れたくなるのか。 エルザの一族の力は皇族を含めて一部の者しか知らない。世界を手に入れられるため、他国や悪用に使われたらいけないと隠されてきた。 でも裏では、その能力を独占したい皇族が隠したとも言われていた。その気持ちも分からなくはない。(あぁ……なんて美しんだ) こんな美しい姿を見たら独占したくなるのも頷ける。しかし能力だけではない。 彼女自身に恋をしたのだ。恥じらいの中に、こんな妖艶な美しさを持つ姿に。真っ直ぐとレイヴァンを見る姿は純粋で目が離せない。 レイヴァンは何も答えずに、また唇を塞いだ。我を忘れるような激しく。そして手で必死に抵抗するエルザを無視して無理やりネグリジェを剝ぎ取る。自分も衣服を脱いだ。 あらわになったエルザの胸を右手で丸く弄るように揉みながら乳頭を口に含む。吸ったり、舌で舐めたりするとさらに甘い声が漏れ出す。 その声に興奮してしまったのか、自分のたかが外れてしまった。「ダメ……あっ……吸わないで……あぁっ……」「これは、おしおきだと言っただろう。こんな事で感じているふりをしても無駄だ」 嫌がるエルザに対してそう言った。それでもレイヴァンは止める事はなかった。 首筋、胸、お腹、そして足にキスをしたり舐める。そして膣内に熱い舌をねじ込ませた。するとエルザはビクッと大きく反り上げると、悲鳴に近い声を上げた。「あぁっーやあぁ……んっ」 そうやら、そのまま達してしまったようだった。シーツの裾を掴みながら、はぁはぁっと肩で息を吐いている。その姿に自分の欲望が大きくなっていく。「まだ終わってはいない」 レイヴァンはエルザを犯し続けた。もう一度膣内に舌をねじ込ませると、出し入れする。「あぁ……んんっ……ダメ……またイッちゃう」「欲望まみれだな」「やぁ……レイヴァンさまあっ……お許しを……んあっ」 必死で抵抗するも、甘い声で鳴き続ける。頭を掴んでくるが弱々しい。 レイヴァ
「クリス。君はそれは、何を言っているのか分かっているのか? こういうのは、段階があるだろう。彼女の意思も」『グズグズするな、ヘタレ。貴様は父親の座に就きたいのではないのか? そんなくだらない事を言っている暇があるなら、さっさと孕ませて来い』 無茶難題な事を言ってくる我が息子。そもそも孕ませて来いとか、よく言えたものだ。そんな恥ずかしい台詞を。 レイヴァンも年頃の男だ。まったく考えてない訳ではない。 いずれエルザと……と夢を見た事は一度や二度ではない。しかし、それが違う形で実現しないといけないとは考えてもみなかった。 でもヤらないと、エルザの夫の座だけではなく父親の座も奪われてしまう。レイヴァン自身がヤらないと……。 そう思い直し、今夜それを決行する。名目は罰だ。 レイヴァンは夜になるとエルザが住んでいる『ホワイトキャッスル』に足を運んだ。事前に、そこの管理を任せてある執事長のトムソンには知らせてある。これからの事を考えて事実も。 父の代からずっと長く務めているためレイヴァンの事を仕えてくれる良き理解者だった。だから彼にエルザの事は任せていた。 彼女の専属侍女であるビビアンとルルは突然の訪問に驚いていたが気にする事なく、寝室に向かった。まだ寝ていないはず。 ノックもせずに荒々しく寝室に入って行く。罰を名目にしているからでもあるが、勢いをつけないと怖気づいてしまうからでもある。「レイヴァン様!? どうなさったのですか? こんな遅い時間に?」 エルザはネグリジェ姿だった。薄いネイビーブルー。まるで妖艶な美しさがあった。その姿に心臓がドキドキと高鳴って緊張してしまう。(あっダメだ。演技をしないと……) レイヴァンは,すぐに気を取り直してエルザを睨み付ける。「レイナから聞いたぞ。また君は彼女をイジメたらしいな? わざと転ばして嘲笑いのも腹立たしいのに、大勢居る中で私の婚約者だからと自慢して馬鹿にしてきたと」「わ、私はそんな事はしておりませんわ」 必死に否定するエルザ。そんな事は分かっている。 彼女は、そんなみっともない事はしない。そもそも、こんな遅い時間に言う事ではない。半場無理やりな設定だった。「だったら、彼女が噓を言ったと言うのか? 聖女である彼女が?」「で、ですが……」「そんなに私の婚約者である事が自慢か? もういい……そん
『貴様はアホか? そんなのは上手くやれば、いくらでも回避はできる。つまり父上の演技と対応力次第だ』「しかし……そうだ。エルザに事情を話して協力してもらえば」『貴様は無能か? そんな事をしてみろ。下手な大根演技に誰が引っかかると思うか? すぐに聖女達に、ばれてしまうだけだ。父上みたいな無能な演技力を活かすためにも、母上には何も言うな。少しでも信憑性を出すためにもだ。分かったか? ヘタレ』(大根演技とか、無能って……何気に酷くないか? 仮にも父親に対して) 我が息子は、かなりの毒舌家だった。本当に父親だと思っているのだろうか?『何だ? 不満なら辞退してもいいのだぞ? その代わりに父親の座を降りてもらうだけだからな。母上の代わりは居ないが父親候補は、いくらでも居る。そうだな、父上のイトコであるセインって男でもいいな。同じ皇族だし、元々母上を好いている。何ならいずれ皇帝に押し上げてやってもいい。それか母上の専属騎士の1人であるライリーって男でもいい。あれも伯爵家の長男だからな。それに聖女とは関わり合わないし、母上を慕っている。事情を話せば守ってくれそうだ』「ちょっと待て。セインでもどうかと思うのに、何でライリーが!? そ、そんなのは許される訳がないだろう。エルザの夫と父親の座も私以外には居ない」 そんなのは認めない。認めたくない。しかしクリスは鼻で笑った。『父上……いや、貴様は何か勘違いをしていないか? 貴様の事情なんてどうでもいい。大切なのは母上の身の安全と我々を産んでもらう事だ。それすらできないのなら黙っててもらおう』「な、何だと!? もう一度同じ事を言ってみろ」 レイヴァンはクリスの言葉にカッとなって文句を言ったが、それでも強気な彼は『何度でも言ってやるが?』と、返してくるので押し黙ってしまった。 下手に余計な事を言ったら、その話が無しになってしまうような気がしたからだ。 完全に信用はできた訳では無かったが、彼の実力は確かなものだと確信する。なら、そうなる前になんとかしないと……。「わ、分かった。協力する」 とにかく、その座は確保しないと。そう考えたら答えは決まっていた。『良かろう。なら、これから重要な事をいくつか教えてやる。それをどう生かすかは父上次第だ。だが、これだけは言っておく。私はあくまでもサポートするだけだ。それをやるのは父
「はっ? エルザを? まさか、エルザの命を狙っているなんて……そんな」 レイヴァンは、その言葉にショックを受ける。サッと血の気が引くような感覚がした。『サファード一族は時の神の加護を受けているのは知っているな? 聖皇庁は古くからあるから、この事実は知っている。だから邪魔なのだ。その能力を皇族が手にしてみろ、自分達の立場が危うくなる。その座が欲しくなった聖皇は、転生してきた聖女を使う事を思いついた。だが、母上を失う事はどうしても避けないといけない。母上はクリスティーナ……我が妹を産まないと、国……いや、世界が歪んでしまう』「世界が滅んでしまうって……どういう事だ!?」 レイヴァンはサファード一族は、古くから時の神のご加護があることは知っていた。その能力は時を止めること。 それがあれば、国全体を影響するほど強い。皇族は忠誠の証として、その能力を隠して守ってきた。守るってより、独占してきたに過ぎないが。 その能力が女性しか現れない。だから、レイヴァンの父である皇帝陛下はサファード公爵家との縁談を申し込んできたのだ。やっと産まれたエルザを息子であるレイヴァンの妻にするために。 もちろんレイヴァンは、そんな能力よりもエルザ自身に惹かれているのだが……。『言っただろう? クリスティーナは時の神の後継者だと。我が君主は、もうかなりの高年齢だ。神は死ぬことはないが、マナを安定のために長い眠りにつく。その間は能力が薄れていく。そうなれば、この世の時間が歪み、ざまざま悪影響を生む。場合に寄っては、父上達が居る世界もどうなるか分かったものではない。それを阻止し、安定させる役割を持っているのがクリスティーナだ』 そんな凄い事をする人物が子供になることにも驚きだった。『私もクリスティーナも人間ではなく生命体の存在だ。しかし生命体では、この現世に降りて来るのは不可能。それに、すでに大人の私なら、まだしもクリスティーナは、実際に産まれて日が浅く能力が安定していない。その状態では人間のマナに漂う悪臭で死んでしまう。そのためにも一度人間の身体に憑依してマナを安定させないといけない。だが、普通の人間では我々の莫大なマナを受け止めも発動する事はできない。クロノス様の加護を受けているサファード一族以外ではな』 サファード公爵家は、そんな重大な責任を持っていたのか……。 皇太子でも