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第8話

Auteur: 金の十七
「住所までバレて、事故物件扱いされてもおかしくないのに、誰が買いますか?」

渉は少し黙って、「それで、売りますか?」とだけ聞いた。

買い手の正体を教えたくないのか。

だがそれはもうどうでもよかった。

ただ一刻も早く、この場所と、この過去と、完全に決別したかった。

私は歯を食いしばり、決心した。「売ります」

電話の向こうで渉は安堵の息をつくと、手際よく手続きの時期と手順を教えてくれた。

手続きはあっという間だった。私は古い家に戻って鍵を替え、すべての資金を手に、憧れていた地方のリゾート地へ移住した。

そこで小さな古民家でカフェを開く準備をしていた時、渉から電話があった。

「カフェの改装、人手は足りてます?」彼は少し間を置いて続けた。「ちょうど近くで現場があるから、手伝えます」

彼はいつも絶妙なタイミングで現れる。

「佐藤さん、どうしてここまでしてくれるんですか?」

電話の向こうは長い沈黙に包まれ、もう切られたかと思った。

「言わないなら切りますよ」

「……覚えてないかもしれないけど、君は俺の後輩ですよ。入学式で新入生代表として壇上に立っていた君を見ました。白い
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