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2話

Auteur: 東雲桃矢
last update Date de publication: 2026-06-17 17:03:31

「そういや、お前も誰かに飲まされたって言ってたな。誰に何を飲まされたんだ?」

「新しい担当です。といっても、一時的なものなんですけどね」

「どういうことだ?」

「僕の担当、原因不明の高熱を出してしまって、入院しているんです。それで、彼が治るまで別の方が担当をしてくださることになったんですよ」

「その新しい担当って、30半ば過ぎのババアじゃなかったか? 黒髪巻いてる」

「いえ、20代後半の茶髪の女性です。彼女からエナジードリンクを受け取って、それを飲んだら眠くなってしまって……。はぁ、妙だと思ったんですよ。そのまま缶で渡せばいいのに、わざわざグラスに注いで来たんですから」

「それって、青かったりしたか?」

「いえ、ピンクオレンジでした。おそらく、飲み物の種類はそこまで関係ないのかもしれませんね。睡眠薬を入れたのでしょうし」

「睡眠薬……。それで俺が飲んだモクテル、青かったのか……?」

 バーで働き始めた頃、先輩から聞いたことがある。睡眠薬は悪用防止の為に、水に溶けると青くなると。当時は青いカクテルもあるから無意味だろうと思ったものだが、まさか自分がその罠に掛かるだなんて、思ってもみなかった。

「犯人は複数……。しかし、何故このようなことをしたのでしょう……?」

「さぁな。とりあえず、出口探そうぜ。こんなところ、長居してられっか」

「あ、待ってくださ……」

「うおっ!?」

 立ち上がった瞬間、目眩がして座り込んでしまう。頭がグラグラして気持ち悪い。

「う、なんだ、これ……」

「僕達は相当強力な睡眠薬を使われたようですので、もう少しじっとしていたほうがいいと思います」

「うへぇ、マジか……」

 目眩が収まってくると、なんとかベッドの上に這い上がる。朱音は既に横になっていた。

「お前、こんな状況でよく横になれるな」

「焦っても仕方ないでしょう? まずは体調を整えないと」

「呑気だな」

 ため息をつくが、朱音の言うことも一理ある。こんな状態では、出口もまともに探せない。

(野郎と同じベッドってのが気に食わねーが、床よりはマシか)

 朱音に背を向けて目を閉じると、睡眠薬が残っていたのか、深い眠りに落ちる。

 次に目を覚ますと、どこからか美味しそうなにおいがする。ゆっくり起き上がってみると、目眩はもうしない。横を見ると、朱音がいない。

「どこに行きやがった、あのチビ」

 ベッドからのっそり起き上がり、においをたどる。1度起きた時はロクに室内を見回さなかったため気づかなかったが、いくつかドアがあって、プレートがついている。プレートを見て回ると、浴室、トイレ、台所、リネン室の4部屋がある。

 台所のドアを開けると、食欲をそそるにおいが強くなった。細く短い廊下を進むと、ダイニングキッチンがあって、朱音が料理をしている。

「なにしてんだ、お前」

「アキトくん、起きたんですね。見ての通り、料理ですよ。腹が減っては戦はできぬといいますからね」

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