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第2話

Auteur: 水鏡月聖
last update Date de publication: 2025-07-03 15:16:49

ホテルに併設したチャペルでの式を終えたわたしたちはそのままホテルの披露宴会場へと移動する。披露宴会場の高座の中心には花嫁であるわたし悠里朋絵改め重光朋絵と、その隣には新郎重光正輝。そしてそのもう一つ向こうには学生時代からの親友である重光空良。五年前に結婚した彼女はコバルトブルーのカクテルドレスに身を包む。背中の大きく開いたそのシックなデザインは知的でスタイリッシュな彼女にぴったりのドレスだ。

だけど、今日の主役はわたしだ。純白のレースのドレスは主役であるわたしだけに許された特権。

昨今、二五を過ぎればすでに行き遅れだとか負け組だとか言われる最中、二八にしてようやくつかんだ主役の座。

結婚披露宴の司会進行役の女性は四〇代と思われるベテランな口調ではあるが、何分このような結婚式のスタイルは未だ不慣れな様子で、流暢な口調ながらも時々ではあるが信仰に戸惑う様子が見られる。

一方、わたしの主人(言って少し照れる)と共同経営者である折田さんという代表取締役は「新しい時代を担う若者たちの希望に満ちた未来を象徴したような結婚だ」と言葉詰まることなく乾杯の音頭を取った。

さすがに人とは違った目線でベンチャー企業を立ち上げる人物だと感嘆する。

披露宴が始まって初めて気づいたこと。それは結婚披露宴がこんなに忙しいなんて知らなかったということだ。次から次へとこなすイベントとあいさつに、お色直し。目の前に次々と出てきては、手をつける間もなくさげられてしまう料理に名残惜しさを感じてしまう。

彼の一つ向こうに座る親友の空には少しばかりの時間の余裕もあり、料理を楽しむ姿にまたしても嫉妬してしまう。わたしと言う女はつくづく人が持っている物に対してうらやましがるのだ。

照明が落とされ、スライドショーが始まる。

となりで旦那様(これも言ってみたかった!)は今こそチャンスと目の前に並べられた料理を次々とかきこむ。

わたしは無理をして閉めたコルセットがたたってあまり食べる気にもなれず目の前に映し出されるこれまでの新郎と新婦の半生を巡るスライドショーが映し出される。

まずは一枚目の写真。二八年前にこの世に多くの人の愛に囲まれてこの世に誕生したわたしと新郎の正輝さん。

今とは色々なものがちがったであろうこの時代ではあるが、いつの時代でも決して変わることのないもの。それはこの世に生まれてくる全ての命が両親に、そして世界に愛されているという普遍的な事実だ。

貧困ゆえにコインロッカーに子供を捨てられてしまう子も、無計画なセックスの末に生まれてくる子供にしたって、真実から言えば誰にも愛されていない命なんておそらくきっとないのだと思う。

全ての生命が、すべての生活行動を行う上での根底にあるもの。

理屈っぽい正輝さんならばきっとこういうのだろう

――すべての生物においてその生きる目的というものは、畢竟子孫繁栄だ。

愛だとか、恋だとか、結局のところはその先に子孫繁栄があり、そのための手段に過ぎない。

その過程であることを前提として人は愛だとか恋だとかに幸福を感じることができるのだ。

まったく。こんなめんどくさい子供に育つだなんて、目の前の写真に写る赤ちゃん時代の彼からは想像もできない。

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