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第5話

Auteur: 水鏡月聖
last update Date de publication: 2025-07-03 15:21:52

 そのころ、高校を卒業とともに就職した友人たちからは悲鳴のような声が聞こえてきた。

 出産軽減税率に伴う独身者の所得税負担額は想像を超えた額だった。ましてや新卒の少ない初任給から税金を引かれてしまうと残りの金額はすずめの涙だった。

 世間の流れは自然と学生結婚を推奨する流れに変わっていった。マスコミではこぞって結婚、出産をして重税から逃れる道を推奨。結果。なるべく学生時代に結婚相手をを見つけ、卒業とともに結婚、そして出産。少しでも早く独身の重税地獄から抜け出すために大学生は学業そっちのけで婚活を始めた。

 新卒の大学生の女子は就職を選ばないものも多い。新卒の初任給よりも結婚、出産した場合の育児給付金の方が多い。それに新卒女子社員はなるべく早くに結婚、出産して退職しようとするものが多く、そのため男女間の就職の不平等化はより深刻になった。

 世のフェミニストたちの多くは声高らかに政治批判を行ったが、世間の目はフェミニストに対し、『結婚できないことに対する僻み』という目で見た。声をあげればあげるほどに負け犬感の強まる状態に、次第にフェミニストたちの声は小さくなっていく。本質を突けば、フェミニストの多くは男女不平等に声を上げることによって『弱者たる女性の代弁者』あるいは『デキるオンナ』を装って自己満足を味わいたいだけのものが多く、『負け犬』とみられることを良しとはしない。そんなことに心血を注ぐ暇があるならば一刻も早くいい相手を見つけなくてはならないと感じるだけだ。

 『女性はなるべく早く出産し、育児を終えてから就職した方が有利だ』という見出しが雑誌の紙面の多くを飾った。育児を終えた宣言をしてからの方が就職には有利というのが一般的な認識になっていった。新卒すぐに結婚、出産をした場合、その子が育児給付金がもらえる未就学児を終えるのが大体三十歳前後。それから第二の人生を歩み始めるとしてもまだ十分に若いと言える。一方、新卒で就職の道を選ばない女性が増える分、新卒男性の就職のライバルが減り、比較的恵まれた環境での就職が可能となった。

あるいはここまですべてが政府の計画だったのかもしれない。就職氷河期はいとも簡単に終わりを告げ、同時に早くから結婚、出産することを意識させることにより少子化に対する歯止めが急速的に進むことになる。さらに言えば若くして子を産めば、その子もまた早く大人になる。このままいけば五十を待たずして二世代進む。子にとって母が若いことは当然嬉しいし、やがては若いおばあちゃんが町中にあふれ、孫の面倒だって若いし元気だからいくらでも見られる、協力だってできる。上手くいけばひ孫の面倒だって見られるだろう。女性は人生を何度も繰り返すことができる。そう考えることだって可能だろう。しかし、そのためにはまず最初に、自分がいかに早く結婚するかと言うことが一番重要だ。

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