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第347話

Author: 墨香
しかし、岳が言い終わらないうちに、湊は目を上げて彼を見つめ、唇の端に極めて淡い弧を描いた。しかしその笑みは目までは届かず、冷たい声で遮った。

「霧島弁護士は自分の結婚のことで頭を悩ませたほうがいい。聞くところによると、藤崎家に婿入りするそうじゃないか?」

この言葉は針のように、正確に岳の痛いところを突いた。

彼の顔色は一瞬で険しくなり、顎のラインが強張り、陰鬱な目つきで湊を見た。

二人の男の視線がぶつかり合い、無言の硝煙が立ちこめた。

岳は湊の「婿入り」という言葉に顔を青ざめさせ、こめかみの青筋が波打った。

彼は結局それ以上は何も言い出さず、ただ陰鬱な目で湊をひどく睨みつけると、向きを変えて大股で去っていった。

湊は彼に一瞥さえ与えなかった。

彼にとって、岳はこれまで一度も脅威になったことはない。以前もそうだったし、今はなおさらだ。

今の彼の心はすべて、先ほど明乃が明らかに見せた避けるような動作に囚われていた……

彼はわずかに眉をひそめ、無意識に加奈子のいる病室の方を見た。明乃がさっき「今は一人でいたいの」と言い出したのを思い出し、先に医者のオフィスへ行って義男の今
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