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10.死にたがりの二人

ผู้เขียน: 望月 或
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-03-15 15:40:05

「ん……?」

 意識が覚醒し、ヴィクタールはゆっくりと目を開けると、そこは何処かの部屋の中のようだった。

「――あ、目が覚めましたか?」

 すると、近くで掠れてしわがれた声が聞こえてきた。

 老婆がいるのかと思い、聞こえてきた方に目を向ける。

 そこには茶色の腰上まである真っ直ぐな髪に、前髪で目が隠れた若い女性が椅子に座り、微笑みながらこちらを見ていた。

 声の主は、この女性のようだ。

 どうやら自分は、ベッドの上に横たわっている状態のようだった。

「どこか痛いとか、気持ち悪いとかありますか?」

 掠れた声音で、続けて訊かれる。

「……オレは……」

 何故こういう状況になっているのか、額に手を当て、今までの事を思い返してみる。

(――そうだ。オレはスタンリーに深く斬られて崖から落ちたんだ……!)

「おい……! 何でオレは生きてんだっ!?」

 そう叫び、勢い良く起き上がったヴィクタールは、突然の目眩にクラクラし、耐え切れず再びベッドに沈み込んだ。

「くっ……」

「あっ……駄目ですよ、急に起き上がっては。傷が塞がっても、出血した分の血は完全に戻っていないのです。貴方は今、貧血状態なんですよ。ですが、栄養のあるものを食べれば直に回復しますよ」

 ヴィクタールに毛布を掛け直し、女性――リシュティナは優しい口調でそう言った。

「傷が塞がっても……?」

 ヴィクタールは毛布をめくり、己の身体に目を向ける。

「……っ?」

 自分が全裸な事にまず驚いた。

「あ……す、すみません。貴方の服が海水に浸されびしょ濡れだったので、脱がして洗濯して今干しています。男性用の替えはここには無くて……。緊急だったので、買いに行く時間も無く……。身体はあまり見ないようにしたので……」

「……あぁ、そういう事か。いや、いい。別に見られても構わない」

 リシュティナが頬を染めながら説明をすると、ヴィクタールは首を振って答えた。

 彼は続いて胸元と腹を見る。あんなに深く斬られた筈の傷がすっかり癒えている事に、更に驚いた。

「……お前がオレを助けたのか?」

「え? ……えぇ、まぁ……」

(回復魔法を使ったのか? あの大傷をここまで完全に治すには、強力な回復魔法でないと無理だ。そんなに魔力のある上級魔導士には見えないが……)

 ――しかし、それよりも。

「……何故助けた……」

「え?」

 ボソリと呟かれた言葉が聞き取れず、リシュティナが聞き返すと、ヴィクタールは途端怒りの形相になり、上半身を起こして叫んだ。

「どうしてオレを助けたんだ!? オレはあのまま死んで楽になりたかったのに……! 余計な真似すんじゃねぇよっ!!」

「……っ!?」

 リシュティナは驚き、自分をきつく睨みつけるヴィクタールを見た。

「……そう……ですか、貴方も……。――すみません、余計な事をしてしまいました。死を決意した貴方の覚悟は相当なものだったのでしょう? その覚悟を無駄にしてしまい、本当に申し訳ございません……」

「………へ」

 八つ当たりとも言えるヴィクタールの言葉に、素直に頭を下げ謝るリシュティナに、彼の顔がポカンとなる。

「せめてものお詫び……と言っては何ですが、私が作ったスープを召し上がっていって下さい。昔、母に絶賛されたので、きっと味は食べられるものだと思います。野菜も沢山入れたので栄養もありますよ」

 リシュティナは小さく微笑むと席を立ち、奥にある台所へと歩いていった。

 その時、「いたっ」と声が聞こえた。どこかにぶつかったらしい。

 それに誰も返答を返さないという事は、どうやら彼女はここで一人で住んでいるようだ。

 ヴィクタールはそこで、このベッドは彼女の使っているものだと気付く。

「…………」

 彼女のベッドに全裸で寝そべっている自分の状況に何となく落ち着かない気持ちになり、考えないよう再びベッドに沈み込んだヴィクタールなのだった。

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