リシュティナ・キャンベラは、リントン侯爵家で働く使用人だ。
茶色の真っ直ぐな髪を腰上で切り揃えており、前髪は目元まで掛かり両目が見えない。 声は掠れてしわがれた声色をしていて、その声を聞くとまるで老婆が喋っているようだった。 そんなリシュティナの見た目と声は、リントン侯爵家の次女であるシャーロットの苛めの対象になっていた。 彼女は、赤茶色の巻き毛の髪と同じ色の瞳を持つ、二十歳だ。自由奔放で我が儘で、毎日使用人達の手を焼いていた。 「ほら、ココも汚れてるわよ? 早く掃除しなさいよっ」 シャーロットに、床清掃用に置いてあった水が入ったバケツを思い切り蹴られた。 バケツがガランと音を立てて転がり、水が飛び出る。 「あーもうやだぁ! アタシの足が汚れたじゃないの! 何やってんのよこのグズ! ノロマッ!」 「……あっ」 シャーロットに足を蹴られ、リシュティナがよろめき地面に倒れ込んだ。 「根暗がいるだけで空気が悪くなるのよ! さっさとアタシの視界から消えていなくなりなさいよっ!」 倒れたところにまたシャーロットの足が襲い掛かり、リシュティナは身体を丸めて耐える。 「――まぁたやってんのぉ、シャーロット? あんたも飽きないわねぇ」 そこへ、リントン侯爵家長女のヘビリアが呆れ顔でやってきた。 「あっ、お姉様! だってコイツ苛めるの面白いんだもん。この顔でババァの声を出して呻くんだよ? もう可笑しくてさー! キャハハッ」 「見える箇所はダメよぉ。やるなら見えない場所にしなさい?」 「分かってるわよ、お姉様♡ キャハハハッ」 ニタリと嫌な笑みを作り、リシュティナの腹部を蹴るシャーロット。 「ホンット不細工な顔と声ねぇ。不快だわぁ」 ヘビリアは嫌そうに吐き捨てると、その場から歩いて去って行った。 「あっ、待って下さいお姉様~!」 苛めに飽きたのか、シャーロットは蹴りを止めてヘビリアの後ろに付いて行った。 リシュティナが長い息を吐いてそろそろと起き上がると、そこに男性の手が差し伸べられた。 「大丈夫かい? 相変わらずシャーロットお嬢様は酷い事をするね……。助けられなくてゴメンよ? ボクが君を助けると、余計にシャーロットお嬢様の暴力が増してしまうから……」 彼の名はロッゾ・バートル。リントン侯爵家の使用人で、焦げ茶色のくせ毛の髪と瞳を持った青年だ。 「大丈夫です、そんなに強くない蹴りだから……。気遣ってくれてありがとうございます」 微笑み、掠れた声音でそう言うと、リシュティナはロッゾの差し出された手を掴む。 引っ張られて立ち上がると、彼はリシュティナの身体に付いた埃を払ってくれた。ロッゾは一年前にリントン侯爵家で働き始めてから、シャーロットやヘビリアに苛められるリシュティナを度々気に掛けてくれていたのだ。
「そんな事……。リシュティナにはずっとボクの傍にいて欲しいから当たり前だよ」 「えっ?」 ロッゾを見上げると、斜め横を向く彼の頬がほんのり赤くなっている。 「その……リシュティナ。ボクとお付き合いして欲しいんだ。前からキミの事が気になっていたんだ……。い、いいかな……?」 「……っ!」 突然の交際の申し込みに、リシュティナの顔が真っ赤に染まる。 彼にずっと気に掛けて貰っていて、いつの間にかリシュティナの中でロッゾは気になる存在になっていたのだ。 「わ、私で良ければ……」 「ホント!? やった! これからは恋人としてよろしくね、リシュティナ!」 「は、はいっ」 ロッゾは嬉しそうに微笑むと、リシュティナの手を握る。彼女も照れ臭そうに笑い返した。 久し振りにリシュティナの気持ちが高揚した一日だった。――しかし、その喜びはすぐに無惨にも打ち砕かれる事になる――
泣きそうなリシュティナを無言で見下ろしていたヴィクタールだったが、不意に彼女の両頬に手を添えると、そっと唇を重ねてきた。「っ!?」 突然の口付けに、リシュティナは大きく目を見開くと、アメジスト色の神秘的な瞳と至近距離でバッチリ目が合い、慌てて瞼を閉じた。 ……閉じたはいいが、ヴィクタールがなかなか唇を離してくれない。 息を止めていたので徐々に苦しくなり、息継ぎの為に無意識に開けた口からスルリと彼の舌が入ってきて、更に深く濃厚な口付けがリシュティナを襲う。(っ!?) 経験した事の無い初めてのそれに、彼女はフワフワとした気持ちでただ翻弄されていた。 何度も角度を変えながら口内を攻められ、ようやく唇が離れる頃には、リシュティナの顔は真っ赤に染まり、息がかなり上がっていた。 ヴィクタールは満足気に熱い息を一つ吐くと、リシュティナの頬を優しくなぞる。 「――言っとくけどな、その相手とは何も無かったぞ。裸を見ても何も感じなかったし、その気にもならなかったから帰って貰った。それを知った父上が他の相手を寄越してきたけど、やっぱ同じでさ。元婚約者には、自分から触る気が全く起きなくて。オレって既に枯れてんのかなって心配になってた」「え……」「けど、お前と初めて会った日の夜、お前を押し倒しただろ? その時、初めて“欲”ってモンが出たんだよ。……あの時からもう既に、オレの心はお前に傾き始めていたんだな」 ヴィクタールはフッと目を細めて笑うと、再びリシュティナにキスをする。 「……こういう事をするのも、お前が初めてだ。ずっと触れていたいとか、キスしたいとか、抱きたいと思ったのも、全部お前が初めてなんだよ」「…………っ」 リシュティナの瞳から、ホロホロと透明な涙が溢れ出た。 「不安だったら何度でも言う。お前を誰よりも愛してる、リィナ。――抱いてもいいか? 多分手加減は出来ないが」 その問い掛けに、リィナは濡れたアクアマリン色の瞳を潤ませながら頷いた。 「私も愛してる、ヴィル。手加減なんていらないよ。……思い切り抱いて?」 その彼女の表情と言葉に、何とか踏み留めていた理性がプッツリと切れた。 彼女の寝衣を手早く脱がし、自分も素早く裸になる。「……綺麗だ、リィナ……すごく」 ヴィクタールは恥じらうリシュティナの身
ヴィクタールに手を引かれ、借りた部屋に入ると、ベッドは意外に広くてリシュティナはそっと安堵の息をとついた。「荷物降ろしたら晩飯食いに行くか」「……うん!」 いつも通りなヴィクタールに、リシュティナはホッとしながら頷く。 宿屋の一階の食堂で晩ご飯を美味しく戴き、二人は部屋へと戻ってきた。「リィナ、先に風呂入ってこいよ。この三日間、身体拭くだけだったから早くサッパリしたいだろ?」「うん、ありがとう。じゃあお先に戴くね?」「おぅ」 リシュティナはヴィクタールに向かってニコリと笑うと、浴室に入った。 晩御飯中も今も、やはりいつも通りなヴィクタールに、リシュティナは服を脱ぎながら考え過ぎな自分を窘める。(そうだよ、何も無いよ。私ったら変な想像しちゃって、恥ずかしい……。また寝る時に抱きしめてくれるのかな? 眠れなかったら唄を歌ってあげようかな) 久しぶりの湯浴みに気分が向上し、リシュティナは鼻歌を歌いながら丹念に身体と頭を洗う。 湯船から出ると身体を拭いて寝衣に着替え、歯も磨いたリシュティナは、サッパリと気分良く浴室を出た。「お待たせ、ヴィル。次どうぞ?」「おぅ」 荷物の整理をしていたヴィクタールは立ち上がり、浴室に向かう為にリシュティナの脇を通ろうとした時、不意に身体を屈め彼女の首筋に鼻を近付けた。「っ!?」「……いい匂いだな、楽しみだ」 そう一言言い、ヴィクタールは口の端を微かに持ち上げると、浴室に入っていった。(――“楽しみだ”って、何がっ!?) リシュティナは真っ赤な顔でベッドにうつ伏せで突っ伏すと、布団をポフポフと叩き続け―― ――叩きながらの熟考の末、寝たフリをする事にした。 どんな顔でヴィクタールと接すればいいのか分からなかったからだ。 布団を深く被り、浴室に背を向ける。 すると、後ろから浴室の扉が開く音がした。(えっ? ちょっと早くない!?) リシュティナは驚きつつも、慌てて布団の中で息を潜める。 足音が近付いてきて、ベッドの前で止まった。「………………」 暫く無音の時間が続く。 胸の鼓動がヴィクタールにまで聞こえそうな勢いだ。(し、心臓が破裂しそう……っ)「……リィナ? 寝たのか?」 ヴィクタールの小さな声で質問が飛んできたが、ここで流石に「うん、寝たよ」と返すわけにはいかないので、無言を
『美味しいものを食べる』旅に出てから四日目。 ヴィクタール一行は港町に辿り着いた。「ここは港町だから、様々な地方の食べ物が集まってるぜ。取り敢えずここで一泊して、色々食べてみっか」「大賛成ですわっ!」 ヴィクタールの提案に、フェニクスが紅色の瞳をキラキラと輝かせバッと片手を上げる。「聖獣神サマは『色気より食い気』ですね~」「まぁ失礼な! ちゃんと美にも拘っていますわよ? 見なさいな、この可愛らしく愛らしい姿を!」 フェニクスがドレスの裾を持ち上げ、クルクルと回る。それにリシュティナが黄色い声を上げた。「可愛い、フェニちゃん!」「ウフフッ、でしょう〜?」「……食べ歩きの所為でしょうかね? この数日で太りました? 顔周りと腰回りがぽっちゃりと――」「あらあら“海の悪魔”様? 聖獣神必殺の《業火の炎》を喰らいたいようですわね? この必殺技は特に“悪魔”に効果絶大――」「……すみません何でもありませんきっと空耳ですはい」 今、二人の姿はヴィクタールとリシュティナ以外は見られないようになっている。 こうやってちょくちょく仲良く掛け合いする間柄なので、獣神と精霊という身分の違いはあれど関係は良好のようだ。 それを言ったらレヴァイは嫌がりそうだけれど。「もう日も暮れるし、食べ歩きは明日にするか。宿を探して――」「えぇ~っ!? 嫌ですわ、少し位いいじゃありませんの!」 頬をプクリと膨らますフェニクスの腕を、レヴァイがちょいちょいとつつく。「聖獣神サマ、もしかしてお忘れですか? “アレ”、今夜ですよ?」「え――あぁっ!? そうでしたわ、すっかり忘れていましたわ!」 両目を見開きパンと手を打つフェニクスに、ヴィクタールは首を傾げて問い掛ける。「ん? お前ら、今夜何かあるのか?」「そうなんですの。主様、私とレヴァイアサンはこれから精霊界の“飲み会”に行ってきますわ。明日のお昼前には戻って来ますので」「――へ? “飲み会”?」 精霊界とは似つかわしくない単語が出てきて、ヴィクタールは思わず訊き返してしまった。「はい。一週間に一度、精霊界で開催されるんですよ。そこでは獣神様や精霊の身分関係無くワチャワチャするんです」「わ、ワチャワチャ……」「楽しいので、私は毎週参加していますの。今回はネプトゥーも来るみたいですから、いつもより賑わい
「次期国王はお前に譲るよ、ウェリト。オレの遺書にも書いただろ?『スタンリーが駄目だったら、お前が次期国王になれ』って。お前なら国民に慕われ、立派な王になれるさ」「えぇっ!? アレって本気だったの!? 俺まだ十六だけど!?」「父上元気だし、まだまだ現役いけるだろ。その間にお前は王教育を受ければいいさ。そこの彼女を逃したくなかったらさっさと婚約しろよ?」「はあぁっ!?」(……コイツはすぐに顔に出るから、からかい甲斐があるよな)「にっ、兄さんはどうすんだよっ!?」「オレは『蘇生魔法』の“対価”としてフェニと約束したんだ。『この世界のあらゆる美味しい食べ物を食べさせて欲しい』んだと。だからオレ、行ってくるわ。勿論コイツと一緒に」 ヴィクタールは笑うと、リシュティナの肩を抱き寄せた。「オレはコイツと色んな場所に行きたかったんだ。だから丁度良いぜ」「ふぅん……。少し早い『新婚旅行』ってワケ? 『初夜』はいつすんの?」 ニヤニヤしながらそう言っていたウェリトに、ヴィクタールは耳を真っ赤にさせながらたじろぐ。「おっ、お前……っ。そんなマセた言葉をどこで……っ」「どこがマセてんの。貴族以上の人なら誰だって知ってるって。兄さんはヘンなとこで純情だよな」 吹き出したウェリトは、先程の仕返しが出来て大満足のようだ。「いいよ、行ってきなよ。この国は俺が守ってやるからさ」「おっ、大きく出たな。けど、お前にはその能力と頭脳が十分にある。任せたぜ。たまには帰ってくるからよ」「たまにはじゃなくて頻繁に帰ってきてよ。……寂しいからさ」「……あぁ、分かったよ」 嫌っていたとはいえ、スタンリーがいなくなった事に、ウェリトも思うところがあるのだろう。「父上は……放心してるな。暫くそっとしておいた方がいいか。じゃあそろそろ行くな。元気でな、ウェリト」「うん、兄さんもね」 ウェリトが大きく手を振り、隣の女性が頭を下げる姿に手をヒラリと振り返したヴィクタールは、リシュティナと手を繋ぎながら、毛繕いをしているフェニクスのもとに来た。「おい、フェニ。旅をするにはお前の巨体じゃ難しいんだけど、どうにか出来ねぇのか?」『あら、出来ますわよ? 少々お待ちを』 そう言うと同時に、フェニクスの身体がポンッと煙に包まれ――それが消えると、紅色の巻き毛に同じ色の瞳をした、赤のフリフリ
――そんな幸せな生活が終わりを告げたのは、バレッタが不治の病を患い、リシュティナが十八歳の時に彼女が亡くなってしまった日の事だった。 運良くバレッタの最期に立ち会えたリントン侯爵は、彼女が震える唇で何かを告げようとしている事に気付き、急いで耳を寄せた。「……愛しているわ、あなた……。ずっと――」「……!!」 ――それは、バレッタからの“初めて”の愛の告白だった。「バレッタ……。バレッタ……!!」 息を引き取ったバレッタを強く掻き抱き、リントン侯爵は男泣きに泣いた。 隣で声を出して泣くリシュティナを抱きしめ、二人は涙が枯れ果てるまで泣いた。 ――その後、一人になったリシュティナの様子を見る為、リントン侯爵はちょくちょく彼女のもとへ顔を出していた。 ある日、「働いて、自分の生活費は自分で稼ぎたい」と強い決意を持って言ったリシュティナに、リントン侯爵は自分の家の使用人として働かせる事にした。 自分に全く興味が無い夫人とその娘達だから、リシュティナが実の娘だとは気付かれない自信があったし、自分の屋敷なら、彼女の様子をいつでも確認出来ると思ったのだ。 しかしその思いとは裏腹に、外交の仕事がひっきりなしに入り、リントン侯爵は家を空ける事が殆どになってしまった。 ――そのリントン侯爵のいない二年の間に、リシュティナはヘビリアとシャーロットの苛めを受け、彼女が死ぬ決意をする出来事が起こってしまうのであった――◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇「――お前が侯爵家を辞めさせられたと聞いた時、ヘビリアとシャーロットに酷く苛められていた事を初めて知ったんだ……。だが外交が忙しくて、お前の様子を見に行く事さえ出来なかった……。――いや、それは言い訳だな……。私は、そんな苦しい思いをさせてしまったお前に顔向け出来ず……お前から責められたくなくて、逃げていたんだ……」「お父さん……」「何も出来ず、本当に済まなかった……。バレッタも――お前のお母さんにも辛い思いをさせてしまって……。私は本当に……父親失格だ……」 深く頭を下げるリントン侯爵に、リシュティナは首を横に振った。「お母さんは辛い思いなんてしてないよ。お母さん、いつも言ってたよ。『お父さんと貴女がいてくれて、私は幸せよ』って。本当に幸せそうに微笑いながら。お母さんはお父さんの事、ちゃんと愛していたよ。私もお父さん
妊娠が分かった時、バレッタはリントン侯爵に打ち明けようか迷った。 既婚者で家族のいる男の子供を身籠ったのだ。「堕ろして欲しい」と言われるに決まっている。 けれど、バレッタはお腹の子を産む決意をしていた。 ――父親がいなくても、この子はちゃんと自分が育ててみせる。 「堕ろせ」と言われても、それだけは絶対に聞けない。 バレッタは覚悟を決め、いつものように家を訪ねてきたリントン侯爵に、自身の妊娠を打ち明けた。 彼はそれに大きく驚いた表情を見せ――次の瞬間、パァッと満面に笑顔を咲かせた。「そうか――そうか、そうか! 私の子を身籠ったのか! あぁ……今日はなんて……なんて素晴らしい日だ! ありがとう……ありがとう、バレッタ! 悪阻は大丈夫か? 辛くないか? ベッドに横になっててもいいぞ。何かして欲しい事はあるか? 私が全部するから、遠慮なく言ってくれ」 全くの予想外なリントン侯爵の喜びように、バレッタは思わずポカンと呆けてしまった。 その上、「今すぐ離婚の要求をしてくる」との彼の言葉に、バレッタは大いに慌ててしまった。「今離婚をしてしまったら、不貞をした貴方の評判が地に落ちて侯爵の仕事が難しくなってしまうわ。それに夫人とは政略結婚なのだから、離婚をしてしまったら色々な面で支障が出てしまうでしょう。私は静かで穏やかな生活を好むし、そんな私が侯爵夫人にはなれないし、今の生活を壊したくないの」 バレッタはそのような事を懇々と訴え、リントン侯爵は彼女の言う通りな事に口を噤むしかなかった。 それに、冷静になって思ったが、夫人に離婚を要求したとしても、彼女は絶対に首を縦には振らないだろう。 今までの態度と言動から、あの女は、侯爵家の資産目当てで自分との結婚を承諾したのだろうから。 バレッタとお腹の子の存在が知られてしまったら、あの女の事だ、恐らく彼女に危害を加えてくるだろう。 バレッタと自分の子を守る為にも、あの女には絶対に彼女達の事を知られてはならない―― そこまで考え、リントン侯爵はバレッタの言う事に渋々了承するしか無かった。******** その日からリントン侯爵は、外交で家を空ける日以外は頻繁にバレッタの家に来るようになり、身重な彼女の世話や手伝いを積極的にした。 リントン侯爵が自分の家にいる事が殆ど無くなったが、夫人は彼の事など一切興味