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第375話

Author: シガちゃん
浩輔の指が激しく震えた。身体という檻を破って反論したいのに、声を出せず、ただ涙を堪え、喉の奥からかすれたうめき声を漏らすしかなかった。

その様子を見下ろしながら、歩実は唇をゆっくりと歪める。由奈もきっと同じような苦しみを味わっている――そう思うと、胸の奥がぞくりとするほどの興奮が込み上げた。

次の瞬間、彼女はそっと車椅子のブレーキを外す。緩やかな傾斜に乗り、車椅子はゆっくりと水辺へ滑り出した。

浩輔は、自分がそのまま湖へ落ちていくのをただ見ていることしかできない。どうすることもできず、絶望の中で目を閉じた。

「やめて!」

叫び声と同時に、綾香が駆け寄ってくる。

しかし間に合わず、浩輔は車椅子ごと水へ落ちた。綾香は歩実を問い詰める暇もなく、そのまま湖へ飛び込む。

歩実の顔色がさっと変わる。だが何か言う前に、向こうから美夏が倫也と裕人を連れて走ってくるのが見えた。

まずい――

彼女は慌てて帽子を深くかぶり、振り返りもせず走り出す。

「待て!」裕人がその背中を追った。

歩実は人混みの中へ紛れ込む。もう少しで追いつくというところで、彼女は突然通行人の腕を引き寄せ、裕人の進
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