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第63話

Auteur: 甘寧
last update Dernière mise à jour: 2025-12-16 17:00:00

 午後の仕事は全く身に入らなかった。何をしても奏の顔がチラつき仕事が手に付かない。

「どうした?なにかあったのか?」

「ううん。大丈夫……」

 煌が心配してくれていたが、今は煌の顔すらまともに見れない。優しくされればされるだけ罪悪感と後悔で心が苛まれる。

 お互いの気持ちを本音で話して気付かされた。いや、本当は気付かないフリをしていた。必死に自分の気持ちを誤魔化しつづけ、奏を突き放すことで心を保っていたと……

 ──私は、奏君の事が好き。今も昔も……

 嫌いになれなかったのがその証拠。

(煌になんて言おう……)

 このまま付き合う事は出来ない。だけど、煌の気持ちに応えてしまったのは私自身……

 自分勝手で最低だと思うけど、煌を傷付けたくない。

「はぁぁぁ~……」

 盛大な溜息を吐きながら頭を抱えた。

「でっかい溜息だな」

「え、あ……」

「ん?どうした?」

 ポンと肩を叩かれ、振り向いた先には優しく微笑む煌がいた。

「ごめん、ちょっと考え事」

 あまりにもタイミングが良くて慌てて笑顔を取り繕ったが、やっぱり目を見るのは躊躇してしまい顔を逸らしてしまった。

 そんな柚を煌は目を細めて見つめた後、いつも通りの笑顔を向けた。

「そう言えば、桜がこっちに来ているらしいぞ」

「え!?そんな連絡貰ってないけど」

 来るときは連絡してって伝えてあったのに……それにしたって、来るが早すぎない?この国に来て数日しか経っていない。そんなに私達が恋しかった?

(そんな訳ないか)

「まあ、急だったからな。……どうだ?久しぶりに二人で飯でも食いに行かないか?」

「結花の事は桜に頼んだから心配ない」そう付け加えられた。

 用意周到過ぎて断る理由が見つからない。だが、これは丁度いいタイミングかもしれない。いつまでも黙っていることは出来ない。時間が経てば経つほど言いづらくなるし、黙っている
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
ウサコッツ
食事に媚薬混ぜられないのを祈る このサイトの小説 媚薬混ぜてってのが 多いから できれば奏に伝えて 近くで待機してもらってるのがいいんだよね 無事に偽装恋愛終了できればいいね
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