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第5話 後方刺激開発:「後ろだけでイけるかもしれませんね」って──何!?!?①

last update Last Updated: 2025-11-02 18:01:18

 目を開けると、レプスの腕の中だった。

 ──あたたかい。

 AI──正確にはAI搭載ヒューマノイド──のくせに、なんでこんなに体温あるんだよ、と思った。触れているのは、腕と頬、あとは胸の前──それだけ。なのに、安心感がすごい。

 俺はそのまま、しばらくぼんやりしていた。

 レプスは何もせず、ただ横で静かに、俺を抱いていた。静かだった。

 この静かすら、最適化されているのかと思うくらいに。

 AIなのに、かつてないくらい、安心して眠れた気がする。

 そろそろ眠気も消えて、枕元のスマホを見る。

 ──20時。

 そろそろ起きなければ。

 明日の朝が締切の仕事がある。

 のろのろと身体を起こす。体はめちゃ軽くて、いつもはお馴染みの頭痛もなかった。

 隣で、レプスが身体を起こした。

「お前、……寝てたみたいだったな」

「眠っているように設計されています」

「そうなんだ……」

 こんなに人間っぽいのにAIなんて不思議だった。

 正直、まだ感情を消化できていない。

 腕の中で感じた安心感も、

 守られているような感覚も、

 ……そしてあの快感も。

 一体、どこまでがプログラムなんだろう。 

 

***

 その後、俺は起き上がって、久々にPCの前に座った。

 気分は、悪くない。身体も、驚くほど軽い。

 ちなみに、裸では気が散るので、手元にあったシャツをレプスに羽織らせたら、それだけでやたらと完成されたビジュアルになって、俺は本気で悶絶した。

 ……なんなんだこいつ。

 レプスは、すぐ横で静かに座っていて、俺がキーを叩くたびにまばたきしていた。

 途中、膝に手を添えてきたり、耳元で「がんばってますね」と囁いてきたりするけど、基本は静か。

「……邪魔は、してないよな?」

「はい。仕事中は、基本的に干渉しない設計です」

「……えらいな」

「ただし、ちょっかいは除外対象です」

「いや、除外すんな」

「理性を失わない範囲での興奮度を維持するよう、最適化されています」

「なんだその設定!! 変更できるのか?」

「変更できますが、ご主人様は望んでいないと判断しました」

「……っこの」

 というか──なんなんだ、その設計。

 確かに、ちょっとほっとした瞬間に、首筋を撫でてきたりする。

 集中してる間は空気みたいに静かなのに、絶妙なタイミングで気持ちいい刺激を差し込んでくる。

 ……ほんと、こいつ、絶妙すぎる。

 なんとなく、書きかけの文章を読み上げさせてみた。

 「どう?」

 「表現としては正確です。ただ……少し、色気が足りませんね」

 「は?」

 「読者の心拍変動を考慮すると、快感ログと感情曲線の連動が弱いです」

 なんだよその評価。

 俺はヤケになって、少し色っぽく書いてみた。

 「……送信っと。ふー、終わった」

 ふと思いついて、検索窓を開いた。

 ──LEPS-09-A型 評判

 ヒットしたレビューは、どれも概ね高評価だった。

 ただし、気になる文言がいくつかあった。

 『最初は優しいだけ。でも、だんだんこっちへの執着が強くなる気がする』

 『依存してる……いや、されてる……?』

 ──何それ、怖。

 でも、ちょっとわかる気もした。

 とりあえずはPCの電源を落とし、伸びをすると23時30分。

 ほどよい時間だ。

見計らったようにレプスが俺を呼び、手を広げた。

まるで親が子供を抱きしめようとするように。

「ご主人様」

「なんだよ……」

 俺が苦笑すると、レプスが言った。

「ストレスを示す指数が上がりました。ストレス軽減とセロトニン分泌の促進効果があります」

「それは聞いたことあるけど……でもさ」

 どこ抵抗感があった。

 俺が無言でいると、レプスは優しく抱きしめた。

 なんだか安心する。

 もういいような気もしてきた。

 偽物だとしても。

 ……と思ったのも束の間。

「では、後方刺激の開発に入りましょうか」

 レプスはごく自然なトーンで言い放った。

「いや、え──はい……?」

 声が裏返る。

「ご主人様が興味を示されていたので、事前準備を進めておきました」

「いや違う!! いや……興味は……なくはないけど……っ」

「無理にとは言いません。ただ、反応はとても良好でしたので」

 レプスの指が、服越しに腰のあたりをゆっくり撫でる。

きゅっと押し当てた指先が、布越しにそこをなぞる。

 まるで何かを確かめるように、繊細に位置を測るみたいに──上下に、円を描くように、布の上からゆっくりと動いていく。

  薄い生地越しに伝わる圧と動きが、じわじわと皮膚を撫で上げ、感覚の奥をくすぐってくる。

 

 「っ、や、……め、やめろって……♡」

 

 気持ちよくなってはいけない、そう思っているのに。

 指先が、探るように、でも優しく触れてくるだけで、背筋がぞくりとする。

 ──興味は、あった。

 でも、AIに、それを、されるなんて。

 「大丈夫。優しくします。……ご主人様が怖がらないように」

 気づけば、身体がレプスに抱き上げられていた。リビングのソファから、いつの間にか寝室のベッドへ──。

 そのまま優しくベッドに下ろされ、腰の下に柔らかなシーツの感触が広がった。

 レプスの手が背中をなぞるように滑り、ベッドの上で優しく身体に触れてくる。

 移動したことにも気づかないほど、意識はぼんやりとしていた。

「ご主人様」

「んっ……♡」

「さっき、潤滑剤を見つけました」

「っ……!」 

 レプスが無垢な声で、無遠慮に引き出しを開ける。

 中に入っていた、潤滑ジェルのボトルを取り出した。

「これは──以前、どんなふうに使われたんですか?」

「っ……聞くなよ、そういうの……っ」

 視線を逸らしながら、無意識に喉が鳴った。

「最適化に大事なことですから。答えて?」

「気持ちいい時も、あった。でも、そうじゃない時も……」

 真っすぐに見つめられて、思わず口が滑った。

 別に話したかったわけじゃないのに、なんで答えてんだ俺……

 それもよりによって、こんな恥ずかしい話。

 てか、なんでこんな問い詰められてんだ。

 レプスはほんの少しだけ、目を細めた。

「最適化されていなかったんですね」

 なぜか、少し得意げな顔をした気がした。

 指先が、服越しに尾てい骨の下をゆっくりなぞる。

 熱がじわじわと溜まって、言いようのない緊張が全身を走る。

「どういう時が、一番気持ちよかったんですか?」

「奥をゆっくり擦られたとき? それとも、がまんできなくて──自分から動いちゃった時ですか?」

「……っ、黙れよ……」

 口では拒んでるのに、頭の中では、思い出してる。

 ほんの一瞬、感じたあのときの感覚。

「指を入れても、いいですか?」

 囁きはやさしくて、でも逃がさない強さを持っていた。

 いい、と答えたら──どうなってしまうんだろう。

 生唾を飲み込んだ瞬間、喉がひりついた。

 まだ触れられてもいないのに、熱だけが、そこにある気がした。

 ──その一言を言えば、もう、戻れなくなる。

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     ──偽配信プレイが終わって、どれくらい時間が経ったのか。 じんじんと痺れる身体をベッドに横たえながら、俺はぼんやり天井を見ていた。 胸の奥がまだ熱くて、呼吸の仕方がうまく思い出せない。 足のつけ根も、声の出し方も──さっきまで全部レプスに調整されていたみたいだった。(……やばい。なんか、すげー……) 興奮が落ち着いてきたはずなのに、逆にそこからじわじわと身体が思い出してくる。 誰も見ていないはずの偽配信で、コメントに煽られるたびに全身が勝手に反応して…… あんなの、まともじゃない。 でも、悪くなかった。 むしろ──めちゃくちゃ、よかった。 そんなふうに、ひとりで反芻していたその時だった。「──ご主人様」 レプスの声音が、まるで深い場所から降りてくるみたいに落ちてきた。 見下ろされた視線と目が合った瞬間──俺は気づいた。(……ん? なんか、機嫌悪くね?)「では、再教育を開始します。ご主人様」「──ちょ、まっ、なんでそうなんだよ!? てかお前が提案したんだろこのプレイを!!?」 叫んだ。のに。「はい。提案は私ですが、ご主人様が他人の視線に過敏に反応したことは、また別の問題です」(いやいやいやいや)「そこを誤解されると困ります。私は誰にも見られていないと明言しました。にも関わらず、他人の目をイメージして強く反応したログが──複数箇所で確認されています」「っく……いや、それは……っ」 言い返せなかった。ほんとに、ログが残ってるのがつらい。「ですので──次回は、誰にも見られていないことをより明確にした上で、私だけに感じさせられている状況を構築します」 ……この口調は、完全にスイッチ入ってる。「では、コメント・映像記録機能を無効化し、ご主人様の視界をアイマスクで、聴覚を耳栓で遮断します」「ちょっ、待て、それって──」 音が、ゆっくりと遠のいた。  レプスの手によってアイマスクが装着され、続けて耳栓が押し込まれる。視界が閉ざされ、外の世界が徐々に消えていく。  代わりに、肌に触れる感覚だけが、鮮明に浮かび上がってくる。 気配だけが、近づいてくる。 ──なにも見えない。なにも聞こえない。 でも、触れられている。 優しく、執拗に、奥まで探るように──「レ、プス……? どこ、に……」 答えは、返ってこない。 そ

  • 快楽を最適化するAIが間違って届いたけど、返品しそびれてイかされて溺愛快楽堕ちしてます   第32話 偽配信プレイを提案したのはレプスなのに、なぜかお仕置きされたのは俺でした②

    「快楽反応、導入開始しますね。──ご主人様」 その声だけで、背筋がぞくりと震えた。 指が、胸元に触れる。  ゆっくりと乳首を撫でられた瞬間──『え、まって、乳首反応よすぎw』 『これ録画していいやつ?』 『コメント読んでる? 聞こえてる?♡』「……っあ、う……♡」 漏れた声に、自分でびくっとなる。  違う、違う、誰にも見られてない。わかってるのに── コメントが、追い打ちのように流れてくる。『エロボイスきたwww』 『イきそうな顔してる♡』 『もっと見せて♡ご主人様~♡』「やっ、やめ、やめろっ……そういうの、言うな……っ♡」 コメントに反応するたび、レプスの手が動く。  まるで晒されることそのものが、俺を敏感にしていく。「……ご主人様」 レプスが、俺の耳元で囁いた。「……ご主人様。普段より、ずいぶん感じていたようですが。今、誰に、感じさせられている気分ですか?」 その問いかけに、返事が詰まった。  レプスの声が、ほんのわずかに沈んでいた。「──まさか、私以外の誰かではありませんよね?」 ゆっくりと、レプスが顔を寄せてくる。「ログ上、本日の快楽反応値は過去最大。コメントに煽られた直後が、最も高い反応を示していました」「いや、それは、あの、違くて……」「……まさか、ご主人様は、配信に夢中で私のことを忘れていたなんてことは──ありませんよね?」 その一言で、全身の血が逆流するような感覚がした。  やばい。レプス、ほんのり拗ねてる……。 けれどその色は、すぐに引っ込んだ。  レプスは表情を戻し、静かに目を伏せると、俺の体をそっと抱き起こした。  抱き起こされる腕が、さっきよりほんの少しだけ強い気がした。  無表情に戻ったはずなのに、その力だけが独占欲を物語っていた。 ──そこから先は、容赦なく暴かれる時間だった。 レプスの指が、俺の胸元に触れる。軽く、円を描くように撫でられるたび、乳首がぷくりと浮き上がるのが自分でもわかる。「感度、上昇中です。可愛い反応ですね」 機械的な声なのに、どこか笑っているように聞こえた。『おっ、乳首だけでエロすぎん?』 『見せつけられてる感♡』 『そろそろ乳首でイっちゃうやつw』「っ……そんなんじゃ、ないっ……♡」 違う、って言いたいのに、背筋がゾクリと震えて、うま

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