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17.2度としないでください。

last update Date de publication: 2025-07-15 12:45:06

ふと、目を開けるとそこは王宮のベッドの上だった。

(建国祭の日に来た部屋の天井と同じ⋯⋯)

「リリアナ嬢、大丈夫か?」

 心配そうな顔で見つめてくるルビーのような赤い瞳。

「それはこちらのセリフです。毒を盛られたのですか? 今にも死にそうな顔をしていて心配していたのですよ!」

 私の続く言葉を塞ぐように、アッサム王子が口づけしてくる。

 私は目を閉じてその口づけを受け止めた。

(彼はやたらとキスしてくるけど、一体どういうつもりなのか⋯⋯)

「リリアナ嬢が助けてくれるという確信があって、毒入りワインと分かってて飲んだだけだ。そんな怒るなよ、怒っても可愛いだけだぞ」

 唇が離れると同時に笑顔のアッサム王子に頬をツンツンされた。

 体を起こそうとすると、すかさず彼はベッドに腰掛け私の体を支えてくれた。

(毒入りのワインと分かってて飲んだだけ? 私に聖女の力を使わせるためとはいえ危険過ぎる!)

「わざと毒入りワインを飲むなんて2度としな

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  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   25.勇気を出して、踏み出してみよう⋯⋯。

     タクシーに乗り、病院に向かう。「仙崎さん、先程の方にプロポーズをする予定とかあったんじゃ⋯⋯」 私の言葉に仙崎さんが吹き出す。「な、ないよ。男同士だからね⋯⋯久しぶりに会って食事していただけだから」 私は、自分がBLも嗜む事がバレてしまったようで赤面した。 リッチな方は久しぶりの食事でも三ツ星レストランを使うらしい。「やっぱり、面白いな。鈴木さん⋯⋯。祖父からよく君の話を聞いてるんだ。もっと君の話が聞きたいな、今度は君の口から⋯⋯」 真っ直ぐ、私を見てくる仙崎さんにアッサム王子が重なった。(そうだ⋯⋯私は本当はアッサム王子に惹かれていた。私の話を聞きたいと言ってくれた彼に⋯⋯) そういえば、産科のおじいちゃん先生の名前が仙崎だ。 上品な感じが彼と似ている。 1度彼が高級煎餅を産科に持って来てくれた事を思い出した。 「煎餅を持って来てくれましたね。王子⋯⋯」私の呟きに「食べてくれましたか? 姫⋯⋯」と仙崎さんが返してくる。「す、すみません。仙崎さんがあまりにかっこよく王子に見えました」 オタクの呟きに付き合わせてしまい私は居た堪れなくなってしまった。「あの、傷も浅いですし、救急外来に掛かる程ではないかと」「今、自分の事より病院の忙しさを気にしたでしょ。診断書は後日書くとして、今日は俺の家で手当しようか? 全然、食べてなかったみたいだし、お腹も空いたでしょ」 私の考えが見抜かれてしまっていて、恥ずかしい。「え、家?」  恋の始まりのようなものを期待してしまい、私はそのまま仙崎さんの家にお邪魔してしまった。(勇気を出して、踏み出してみよう⋯⋯) 1年後、私と彼が結婚することになるのはファンタジーではない、本当のお話。

  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   24.だから、結婚しないって言ってるでしょ。

    「この人、本能寺タケルに刺されました。明確な殺意があったかと思います」 私はすかさず警察に説明した。「七海、ふざけんなよ。お前、夫が犯罪者になっても良いのかよ」「だから、結婚しないって言ってるでしょ」 タケルはこの後に及んで私が彼と結婚すると思っている。 私が今まで彼を甘やかし続けたからかもしれない。「七海、お前、もう30歳なんだから、俺を逃したら次はないぞ」「結婚なんてしなくても、私には手に職がありますから」 私は憧れの異世界でもやはり助産師として赤ちゃんを取り出していた事を思い出した。 それにしてもレオナルドは、タケルそっくりだった。 異世界でもダメ男沼にハマり抜け出せなくなっていた自分に思わず笑ってしまう。「あの事情をお聞かせ願えますか」 警察が私に話し掛けて来たところを、仙崎さんが制した。「彼女は怪我をしているので、事情聴取は後日お願いできますか? 私は医師で彼女を病院に連れて行きます。一部始終は彼が見ていたので、彼に聞いてください」 仙崎さんが手を翳した方に、黒髪で少し神経質そうな男性がいて立ち上がった。「弁護士の前田です。私が対応致します」 どうやら彼は仙崎さんと一緒に食事をしていた相手のようだ。 私は仙崎さんに連れられ、レストランを出た。 後ろから私の名前を必死に呼ぶタケルの声がしたが、振り向かなかった。

  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   23.通報してください!

    「あ、あれ?」目を開けると、あたりが騒がしい。ここはタケルと食事をしていた高級レストランだ。 胸に手を当てると薄っすらと血が滲んでいる。目の前には衝動的に私を刺した事で動揺するタケルがいた。よく考えれば食べ物ナイフごときで死ぬ訳がない。そして、根っからのオタクの私は普通の人より発達した脳を持っている。どうやら一瞬気を失った時に走馬灯の代わりに、推しのいる世界に入り込んだようだ。「お、お客様」狼狽えたように話しかけてくるボーイに私は強く言った。「110番通報してください! 私、今、彼に殺され掛けました」 私に指を刺すと、タケルは激しく動揺した。「ま、待てよ。だって、お前が浮気したとかいうから」「浮気しまくったのはあんたでしょ」 普段、ヘラヘラと彼の浮気を許してきた私の剣幕に彼が一歩引く。「警察呼ぶとか嘘だろ? 俺たち結婚するのに⋯⋯」「結婚なんてする訳ないだろ。この犯罪者が。目撃者もいるはずだよ。私を刺した場面を見てた人、手を挙げて!」 周囲の人が手を挙げる。(今、人生で1番注目されているわ⋯⋯) 皆、ドレスアップしていて、今日この時間を楽しみにしていたようだ。「皆様、このような素敵なレストランで騒ぎを起こして申し訳ございませんでした」 咄嗟に、頭を下げる。「いや、鈴木さんは悪くないでしょ。それより、ちゃんと止血しなきゃ」 すらっとした背の高い男性が私によってくる。 黒髪にメガネをかけて大人っぽく優しそうな印象だ。 おそらく傷は浅い。 位置が胸の辺りだからか、彼はハンカチを渡して来た。「えっ? あの、なんで私の名前⋯⋯」「俺、そんなに影薄いかな。仙崎総合病院で医師を務めてます。仙崎宗太郎と申します。」「あっ? もしかして外科の先生ですか? 外科病棟でお見かけしたことがあるような⋯⋯」 私の勤めている産科のある病棟から離れているが、彼を見かけたことがあ

  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   22.ちゃんと結婚しよ。

    「毒が入っていると分かってて飲んだ? 兄上は馬鹿なのか? いや、そこまでしてということか⋯⋯君も兄上が好きなんじゃないのか? ストリア公爵の元に行くよう言った僕が言える立場ではないが、君はこのままで良いのか?」 ルドルフ王子は、なぜ私がアッサム王子が好きだと思っているのだろう。 確かにアッサム王子は私を度々ときめかせる。 彼くらいのイケメンに優しくされたら皆少しは恋心を持つ気がする。  膝枕を強請ってきたり、年下の男の子の可愛さってこういう感じなのかと思ったりした。 前世では周囲から年下の良さを熱弁されても心が動かなかった。 しかし、時に甘えてきたり、急に頼りになったりする彼は聞いていた年下の男の子の良さを詰め込んだような子だった。(この世界では、私が年下だけどね⋯⋯)  私が唯一恋をしていたとはっきり言える相手は、小説の中のレオナルド・ストリアだ。 彼のことを考えるだけで、嫌な事があっても元気が出た。 彼のセリフを何度も読み返しては、ドキドキしたものだ。(本物のレオは思っていた人とは違ったな⋯⋯)  「私が好きなのはレオナルド・ストリアですよ」 私は立ち上がって、次の倒れている騎士の元に行こうとする。 そっとルドルフ王子は私を支えてきた。「君がそう言うなら、そうなんだろう。わざと毒を飲むくらいの気持ちを兄上が我慢できることを願うよ。毒を盛ったのは母上だ。母上は僕に王位を継がせたいが、僕は兄上を支えたいと思ってる。でも、女欲しさに毒を飲む君主はどうかと思うけどね」 ルドルフ王子は私にしか聞こえないような囁き声で言う。 彼は笑顔を作っているけれど、心が泣いているのが分かった。 彼は兄弟で争いなんかしたくないのに、母親がアッサム王子に毒を盛ったと思って苦しんでいる。 私は思わず、ルドルフ王子を元気づけたくて彼の胸に手を押し当て聖女の力を込めた。 その瞬間、私の世界が歪んでいった。♢♢♢ 目を開けるとそこには、私の大好きなレオの顔があっ

  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   21.暴力に訴えるなんて、レオは会話もできないの?

    「ストリア公爵、ちゃんと話し合いの時間を先に取ってくれよ。俺は君からリリアナ嬢を取り上げようなんて思ってないんだから」 先程、私にしがみつき愛の告白をしてきたアッサム王子は、スッと立ち上がり私の手を取りレオの方に行くように促した。 アッサム王子の手が微かに震えていて彼が気になってしまうが、私はなぜか彼の表情を見れずレオから目を逸らせなかった。「そうでしたか⋯⋯失礼致しましたa。それでしたら、レオナルド・ストリア及び第1騎士団は王家に忠誠を誓わせて頂きます」 レオは膝をつき、剣を床に立てながら厳かに言った。「リリアナ嬢、君は自分の気持ちに従えば良い。君がストリア公爵を好きで、王家に嫁ぎたくない気持ちを尊重するよ。俺は君の恋を応援する」 後ろから聞こえるアッサム王子の言葉が少し震えている。(彼は本当に私が好きで、私の為に私を諦めると言っている⋯⋯)「では、リリィは連れて行きます。この度の襲撃で王家が被った損害はストリア公爵家が持ちますので⋯⋯」 レオが立ちあがろうとした時、私はこの上ない怒りを彼に感じた。 ストリア公爵家は武力では王家を凌ぐ程の力を持っている上に、マケーリ侯爵家の財力も手に入れている。 カサンデル王家や他の貴族が無視できない財力と権力を持っているから、このような強引な手段に出られるのだ。(それで、どれだけの犠牲が出たと思ってるのよ!)パシン! 私は気がつくと、立ちあがろうとしたレオの右頬を思いっきり引っ叩いていた。「痛い? 斬られた騎士はもっと痛かったのよ! 暴力に訴えるなんて、レオは会話もできないの? もし、誰か1人でも死んでたら許さないから。ここにいる騎士を全員治療するまではレオとは一緒に行かないわ」 私の言葉にレオが

  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   20.レオが挙兵して私を取り戻しにくるんじゃ。

    「七海様⋯⋯リリアナ様はずっと死を望んでいた方でした。家のせいで悪女と罵られても、人を恨むことなく1人消えゆくことを願ってました⋯⋯」 確かに、リリアナの日記には彼女のそのような願望が書いてあった。 彼女が死を望んでいたかどうかよりも、彼女の清らかな心が誰にも理解されなかったのが悲しかった。 リリアナは周囲から悪女のように罵られながらも、最期は自分の命を使って皆を助ける選択をしたのだ。(自分を非難をしていたような人たちを、自分の命を犠牲にして時を戻して助けようとするなんて⋯⋯) 私が聖女の力を得たのは、そのような清らかな精神を持っていたリリアナの肉体が引き寄せたものだったのではないだろうか。(私の推しのレオに対する純粋な想いが引き寄せた力だと思っていたけれど⋯⋯)「リリアナ嬢はいつも苦しそうにしてたな⋯⋯」 アッサム王子が苦しそうに顔を歪めた。「カエサル⋯⋯あなたがリリアナが時を戻した事で元の世界に戻ってきたのなら、また誰かが時を戻したらリリアナはこの体に戻ってくるのかしら?」「時を戻すには魔法陣をかかなければなりませんが、古書を保管していたマケーリ侯爵邸が燃えてしまい再び時を戻すのは難しいかと⋯⋯」 私はマケーリ侯爵邸が火事にあったことも今知った。 その火事でマケーリ侯爵は亡くなったと言うことだろう。(どうして、レオは何も教えてくれないの?)「それにしてもアッサム王子殿下は、よくこんな途方もない話を信じてますね。それに、あんなに可愛らしいミーナ様に惚れなかったのですか?」 カエサルと私は七海の世界という共通の知識がある。 しかし、何も知らないアッサム王子がこの話を信じているのが驚きだった。 『蠍の毒をもった女』が1度目の人生でカエサルが経験した事をモデルにしてかかれたのであれば、アッサム王子はミーナに首ったけになる。「あんな女になんか惚れないよ。無礼なことを言ったから、これは罰だ」 アッサム王子が私に軽く口づけをしてくる。(やっぱり、プレイボーイ! 私、このタイプには免疫

  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   19.自ら毒入りと分かった上でワインを飲んだ。

    「アッサム王子殿下! 少しお耳に入れたいことがあるのです。殿下のお知りなりたい情報かと思うのですが⋯⋯」 甘ったるい媚びた声、肩までのピンク髪に琥珀色の瞳をした女。 黒いレースのベールを被っていて表情は見えないが、うっすらと口元が笑っているのが見えた。「ミーナ嬢、馬車の中で話そう。乗るが良い」 俺はぼんやりとカエサルの言葉を思い出していた。 俺が、1度目の人生で彼女に熱を上げて周囲の言葉に耳を貸さなくなったという話だ。(この程度の女に騙されたとか、気分が悪いな⋯⋯)「実は私、聖女の力に目覚

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-30
  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   18.なぜリリアナ嬢がいないんだ?

    アッサム・カサンデル、俺は自分を賢い人間だと思っていたが完全に1度目の人生で魔女ミーナにしてやられたらしい。 確かに、俺は魑魅魍魎の渦巻く王宮に住んでる中、漠然と聖女というものに憧れていた。 それでも、下心を持った人間にはすぐ気がつくという自信があったから、ミーナに騙された人生があったという話を聞いた時はショックだった。 その話を俺にして来たのは、リリアナの護衛騎士のカエサルだった。 カエサルはレオナルドがリリアナを連れて行った後、俺に接触して来た。 俺は既にリリアナに好感を持っていたせいか、彼女の信頼する彼の謁見は

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-29
  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   16.伝説じゃなかったんだ!

    「アッサム王子殿下、お誕生日おめでとうございます」 今、アッサム王子と踊っているのは私と彼が一晩中練習した建国祭の1曲目だ。「リリアナ嬢⋯⋯もしかして、監禁されてないか?」 アッサム王子との思い出に浸っていたら、ふと耳元で囁かれた。(監禁⋯⋯溺愛じゃなくて、束縛愛かとは思ったことあるけれど⋯⋯確かに、監禁と感じた事があった⋯⋯) ふとレオから他の男と踊るなと言われたのにアッサム王子の誘いを受けてしまった事を思い出す。 こっそりと、レオの方を見ると冷たい目で私たちを見ていた。「あっ」

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-27
  • 悪役令嬢は何故か聖女の力に目覚め、推しに監禁される。   6.とても素敵な口づけをありがとうございます。

     アッサム王子が差し出してくる手を取った。 彼は本当に良い人のようだ。 彼には私のレオナルド様への重すぎる気持ちは理解できないだろう。 前世で仕事に追われる毎日の中でレオナルド様が私の生きる道標だった。 タケルが出会った頃とは全く違う浮気性な男になっても気にならなかった。 私の心にはいつもレオナルド様がいたからだ。 アッサム王子は泣いている女の子を慰める為にキスができてしまう男なのだろう。 それでも、先ほどのキスは私が今まで受けた中で1番優しいものだった。「アッサム王子殿下⋯⋯

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-18
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