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第5話

Author: キョウフチ
電話を切ったあと、耕平はその場に立ち尽くした。

恐怖に目を見開いたまま、しばらく動けなかった。

耕平には、香奈美との通話を録音して残しておく癖があった。

それを、まさか心未に見つけられる日が来るなんて思ってもいなかったのだ。

香奈美は耕平の異変に気づかず、腕にしがみつくようにして甘えた声を出した。

「耕平、もう仕事はやめて。先にこのドレス見てよ」

そう言って、彼女は耕平の手にあるスマホを取ろうと手を伸ばした。

耕平はとっさに身を引き、腕に絡んでいた香奈美の手を払いのけた。

「ちょっと大事な用ができた。徹はここに残すから、お前は先に服を見ててくれ。俺は先に戻る」

香奈美が何か言うより早く、耕平は背を向け、そのまま足早に店を出ていった。

車に乗り込むなり、耕平はすぐに心未へ電話をかけた。

だが、返ってきたのは、電源が入っていないことを告げる無機質な音声だけだった。

それでも耕平は、立て続けにメッセージを送った。

【心未、どこにいる?】

【一度会って、ちゃんと話したい】

【録音のことは説明する】

けれど、飛行機に乗る直前になっても、心未から返事はなかった。

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