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第2話

Author: 瑶影
桜井は、彼女が私の家を破産させたと言った。

この件は私の中でずっと疑問だった。学業に没頭していたため、父の会社について詳しく知らなかった。

それで今までは、単なる経営不振による倒産だと思い込んでいた。

しかし、葬儀が終わり、私は会社の関連資料を調べたら、読み進めば読むほど、体が震えが止まらなくなった。

桜井は何一つ隠していなかった。

ただ、榊と硯は意図的にそれを見ようとしなかっただけなのだ。

私は車で硯を訪ねた。

彼は大学に通っていたが、家が倒産し父さんと母さんを失ってからは、手綱を切った野馬のように、桜井の後を追いかけ回し、学業もおろそかにしていた。

私はただ、この地を離れる前に、彼に桜井の正体を知ってほしかった。

しかし、私が差し出した資料を、硯は一瞥もせずに引き裂いた。

「姉さん、いつまで咲子さんを誹謗するつもりだ?」

彼は怒鳴り、涙ぐんだ私を見ても微動だにしなかった。

私たちのほうが血を分けた家族なのに。

私は悟った。たとえ証拠が揃っていても、硯は決して目を向けないのだと。

人を愛するとは、心神を乱し、目を晦ますことだ。

彼の桜井への想いは、まさにそんな愛だった。

「咲子のせいじゃない」

榊はウィスキーを一気飲みし、冷ややかに私を見下ろした。

「当時、君の父親は資金繰りに困り、俺に投資を求めてきた。

だが商人は利益を重んじる。損をする商売はしない。それに、あの日君は桜井を不愉快にさせた。煩わしかった」

そう言って彼は涼しい顔で父の何十年もの血と汗の結晶である会社を灰に帰させた。

世の中は不公平だ。

「どうして……?」

涙を浮かべ、私は榊に問いかけた。

いったい何が悪かった?なぜ突然別れを告げられた?

なぜ父さんをここまで追い詰める必要があった?

榊は私の顎を掴んだ。

「君が身の程知らずだからだ」

私は突然理解した。

身の程知らずというのは、私は桜井に跪いて媚びへつらわなかったこと。

愛の中で自分と榊が対等だと思っていたこと。

そして……あの時、最も親しかった頃、私は榊に結婚の話を持ち出したこと。

あの日以来、榊の態度は日に日に冷たくなっていった。

私は彼の人生の選択肢に最初から入っていなかった。だから身の程知らずと言われたのだ。

涙が零れ、彼の手に落ちた。

榊は火傷したように手を引き、一瞬だけ目を泳がせた。

その瞬間、昔愛したあの榊が戻ってきたように感じた。

だが、それはほんの一瞬だった。

「外、すごい雨よ。司、硯くん、誰か送ってくれない?」

桜井の声で、榊は私から視線をそらした。

車のキーを手に立ち上がり、彼は私に一言残した。

「安藤、自重しろ」

自重しろとはよく言ったものだ。

私は雨の中をふらつきながら歩いた。

硯が傘を持って駆け寄ってきてくれた。

「姉さん!本当にどうかしてるよ。雨なのに傘も差さないなんて、風邪引くじゃないか」

やはり血は繋がっている。たった一言の心遣いで、今までの不愉快など吹き飛ぶようだった。

「硯くん、早く!司がこれから食事だって。一緒に行こうよ」

桜井が榊の車から声をかける。

硯はすぐさま振り返り、私が雨に打たれ、彼の傘のしずくを浴びていることにも気づかない。

「うん、今行く!」

桜井に対する硯の態度は、常にこの通りだ。

「姉さん、俺先行くね」

ふと思い出したように、硯は聞いた。

「そういえば姉さん、今日どうして車で来なかったの?」

もう売却したからだ。

この地を離れた後、生活を支える資金が必要だ。

だが彼らに伝える必要はない。どうせ気にも留めないのだから。

「別に。定期点検に出してるだけ。楽しんでおいで」

髪は雨でびしょ濡れだった。今の私はきっと惨めな姿だろう。

桜井の笑顔と視線を感じた。彼女は二人に囲まれ、また一つ勝利を収めたように去っていく。

大丈夫、と自分に言い聞かせる。

あと25日。私はもう待ちきれないほどだった。

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