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第7話

Author: 真夏の猫
「お嬢ちゃん、ちょっと遊んでくれよ?」

梓は一歩後ずさり、恐怖を必死にこらえながら、「あなたたち、何者なの?」と声を震わせた。

二人は顔を見合わせると、左右から梓をがっちり掴み、そばの個室へと引きずり込んだ。

「放して!何する気なの!」梓は激しくもがき、鋭い声で叫んだ。

二人はまったく動じず、彼女の服を乱暴に引き裂くと、両手で彼女の体をあちこち触り回した。

梓が必死に抵抗すると、一人が彼女の頰を強く叩きつけ、彼女は目がくらむほどの痛みを感じた。

「触らないで!」彼女は力いっぱい抵抗した。

「いけすかない真似すんなよ。こんな所に来るんだから、刺激が欲しいんだろ?俺たちがたっぷり楽しませてやるよ」そう言いながら、男は彼女のスカートをずたずたに引き裂いた。

胸元が冷たくなった瞬間、梓の心は奈落の底へと沈み込んだ。両手は頭上で押さえつけられ、足は無理やり開かれ、嫌らしい手が彼女のおっぱいを這い回っていた。

「放して!」

「叫びたいならもっと大声で叫べ。お前の声がたまらんのだ」男は彼女の頬をぽんと叩くと、頬から鎖骨へと貪るように唇を滑らせた。

もう一人の男の手はふくらはぎから這い上がり、じかにスカートの中へと侵入してきた。新婚初夜に翔太から味わった屈辱が蘇り、苦痛と無力感に襲われた。

胃の内容物が逆流するような吐き気に襲われ、一気に嘔吐してしまった。まるで深海に沈んでいくかのように、溺れそうな窒息感が恐怖を増幅させた。

二人の男の吐息が神経を逆撫でし、巨大な恐怖が全身を包み込んだ。体は小刻みに震え、助けを呼ぶ力さえ失っていた。視界も次第にぼやけていった。

彼女の様子がおかしいと気づいて、手を拘束していた男は離し、傍に立った。「藤原社長は脅かすだけだって言ってたんだ。殺せなんて命令はなかったぞ」

「もういい、さっさと行こう。最悪だ、服まで吐きやがって」

梓が意識を失う直前、かすかに翔太の名を耳にしたような気がした……

再び目が覚めると、梓は病院に運ばれており、涼子が泣き腫らした目で付き添っていた。

「梓、びっくりしたわ。死ぬかと思った!アルコールアレルギーなのに、どうして飲んだの!勝手に外出なんかして……二人のろくでなしに絡まれて……全部私のせいだ。もう二度とバーなんか連れて行かないよ」

「涼子のせいじゃないわ。自分でもアレルギーだって知らなかったんだから。あの二人はどうなったの?」彼女はまだ恐怖が消えていなかった。

「翔太はあの二人を殺しかけたけど、結局は刑務所送りにしたわ。こうしてみると、あの人も梓のこと気にしてるみたいね」涼子は顎に手を当てながら言った。

「あなたが昏睡している間、何度も見舞いに来てたわ。顔色がひどく悪かったのよ」

梓は目を伏せた。翔太が気にしていたのは彼女じゃない。彼女が死にかけたことに驚いただけだ。

「彼は私のことなんか気にかけてない。私も彼の心配なんて要らない。翔太とはもう縁もゆかりもないわ」梓がそう言い終わらないうちに、翔太がドアを押し開けて入ってきた。

「もう縁もゆかりもないってどういうことだ?」翔太は梓の青ざめた顔を見て、胸に一抹の違和感が走った。

梓は淡々と首を振った。「何でもないわ」

梓は涼子の方に向き直った。「涼子、先に帰っていいよ。この件、両親には内緒よ」

涼子は二人を見比べると、頷いて退出した。「ゆっくり休んでね。何かあれば電話して。今週はずっと待機してるから」

「うん」

そっと去った後、病室は一瞬静寂に包まれた。

翔太の表情が急に険しくなった。「なぜ雪乃をいじめるような連中を雇った?」

「違うよ」梓が反論すると、翔太は眉をひそめた。

「これで何度目だ?梓、雪乃がお前をかばってくれたから今回は見逃すが、次は絶対に許さない」彼の視線には冷たい殺意が浮かび、梓の胸は締め付けられた。

「翔太、どう説明しても信じてくれないの?」

翔太の目は暗く、感情を読み取れなかった。

「私をいじめたあの二人、あなたが仕組んだんでしょ?雪乃の恨みを晴らすために。私がどうなるかなんて考えもしなかったんでしょう!」心の中にはもう答えが分かっていたのに、彼女はつい口に出してしまった。

翔太は胸が締め付けられるような感覚に襲われ、見知らぬ感情がじわじわと広がっていく。

「翔太、この十数年、私に一瞬でもときめいたことはあるの……?」

翔太ははっとした。そんなことを考えたことすらなかった。

「……もう、帰って」梓が目を逸らすと、彼は黙ってその場を離れた。

病室の前で振り返り、ちらりと中を覗いた。梓のどこか変わった様子が、彼の心に漠然とした不快感をよぎらせた。
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