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第7話

مؤلف: ほねちゃん
公園で日が暮れるまで座り続け、麻美はようやく心を落ち着かせた。

立ち上がって家の中に入ると、リビングのソファでは慎也が独り眠っていた。友人たちは既に帰ったようだった。

慎也はひどく酔っ払っていて、寝言でも莉子の名前を何度も呼んでいるのだった。

麻美は黙ってその声を聞きながら、減点表を取り出し、さらに5点を減点した。

いつもの彼女なら慎也を介抱していたが、今日はそれもせず、黙々と荷造りを始めた。

慎也からの贈り物や、二人の思い出のツーショット写真、お揃いのコップやスリッパまで……

麻美は慎也に関係するものは全て整理して、ゴミ袋へ放り込んだ。

一晩かけて片付けたあと、翌朝、目が覚めた慎也はリビングの変わり様に驚いた。

「退院したのか?なんで家の中がこんなにすっきりしてるんだ?」

「昨日の夜、寝られなくて使わないものを片付けたのよ」

そう答えると、慎也は家中を見回して首をかしげた。「使わないもの?いくらなんでも、キレイに片付けすぎだろ?」

麻美が言い返そうとした瞬間、慎也のスマホがまた鳴った。

「慎也、今日リハビリの付き添いをお願いできる?」

「ああ、分かった」と答えると、慎也は慌ただしく身支度をして、急いで出て行った。

一方、扉が閉まるのを見送ってから、麻美はぽつりと呟いた。

「もうすぐここを離れるから。どれも必要なくなるのよ」

それからの数日間、慎也は姿を見せなかった。

ただ、莉子のメッセージを見ていれば、二人が楽しそうにデートをしているのは明らかだった。

だが、麻美は気になんてしていなかった。彼女はただ深津市への引っ越しに向けて、ひたすら準備に没頭した。

そして、翔の命日。麻美は喪服に着替えて花束を持とうとしたところ、帰ってきたばかりの慎也に声をかけられた。

「今日は青木先生の命日だろ。墓参りに行くぞ」

毎年二人で行っていたことだし、あえて拒む理由もなく、麻美は助手席に乗った。

道中、車内は静まり返っていて、沈黙が続いた。

墓地に着くと、二人は並んで手を合わせた。

麻美は父の墓の前で、何度も頭を下げた。

「お父さん、私、決めたの。慎也とは離婚して、深津に行って夢を追いかけるわ。お父さんも喜んでくれるよね?亡くなる前、ずっと私のことが心配で慎也に託してくれたけど、私ももう大人になったから大丈夫。これからは自分の人生を一人で歩んでいくから、もう誰にも頼らずに」

そう想いを伝えていると、空から雨がポツポツと降ってきた。

二人はそのまま墓地を出た。

帰りの車内、麻美がいつもより静かだと気が付いたのか、慎也が口を開いた。

「青木先生が恋しいのか?先生はもういないけど、俺がそばにいるから、辛いときは話してくれよ」

麻美は慎也と確かに話したかった。

父のことではなく、これからの離婚について。

息を深く吸い込んで言葉を選んでいると、慎也の電話が鳴った。

「佐々木社長、大変です!和田さんが事故に遭いまして!今救急搬送されています!」

それを聞くやいなや、慎也は急ブレーキを踏み、麻美を一瞥した。

「麻美、悪いがタクシーで帰ってくれ」

そんな取り乱した慎也を見て、麻美は静かに視線を落とし、ドアを開けた。

残された彼女は、雨の中疾走していく慎也の車を見送ると、タクシーの配車アプリを開いた。

しかし、この時風が強まり、傘があおられて思うように掴めないでいた。

麻美は必死に雨を避けながら前に進もうとしていると、迫ってくる車に気づけずにいた。

ドーンという衝撃。彼女の体は宙を舞い、そのままアスファルトに叩きつけられた。

そして、冷たい雨に打ち付けられる中、血が止めどなく広がっていった。

激痛の走るお腹を押さえ、麻美の意識は闇の彼方へと薄れていった。
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