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愛ほど深く抉られる傷跡はこの世にない
愛ほど深く抉られる傷跡はこの世にない
مؤلف: すぱんぱん

第1話

مؤلف: すぱんぱん
結婚7年目。夫の谷山恭介(たにやま きょうすけ)は私の両親の骨壺を掘り起こして私の目の前にドンと置き、二つの選択肢を突きつけた。

「君のデザイン原稿を莉奈のコンクール用に渡すか、それとも君の両親の骨を海に撒かれるか。どっちか選べ」

私は描き上げたばかりのデザイン原稿を握りしめ、涙を呑んで従うしかなかった。

翌日、クルーザーの上で嬉しそうに骨を海へ撒く白川莉奈(しらかわ りな)の写真がネットで大バズりした。

恭介はその写真にこうコメントを残していた。

【俺のすべてを捧げて、君を甘やかそう】

写真の隅に写り込んでいる骨壺を見て、私は全身の血が凍りつくのを感じた。

私と亡くなった両親は、恭介が莉奈の機嫌を取るためのただの道具でしかなかったのだ。

こんな男、もういらない。

……

莉奈のSNSを開くと、その投稿にはすでに1万件以上のコメントがついていた。

【私だけへの特別な愛。それが私の、何でも思い通りにできる特権】

短い一文だが、その一文字一文字から、恭介の彼女に対する偏愛が滲み出ていた。

投稿された写真は、ネットでバズって真似する人が続出しているクルーザーでの散骨ショットだ。

だが、誰も知らない。莉奈が撒いているのが、私の両親の遺骨だということを。

私は壁掛けのテレビに目をやった。

画面の中では、莉奈が私のデザイン原稿を使って若手デザイナーコンクールの優勝トロフィーを受け取っていた。

プレゼンターを務めているのは、他でもない恭介だ。

司会者に莉奈へのコメントを求められると、普段は人前で決して口を開かない恭介が、珍しくマイクを握った。

「白川莉奈さんは、私がこれまで見てきた中で、最も才能に溢れたデザイナーです」

莉奈は幸せそうな笑顔で、「私のインスピレーションはすべて、私を世界で一番愛してくれている、この人から貰ったものです」と言った。

会場に響き渡るファンの歓声が、この授賞式を最高潮に盛り上げていた。

頬に手をやると、そこはいつの間にか涙で濡れていた。

かつて月明かりの下で、「命に代えても、君と君の夢を守り抜く」と誓ってくれたあの男の目には、今や別の女しか映っていない。

私は弁護士に電話をかけ、自宅に来るよう伝えた。

そして、金庫から離婚届を取り出した。

これは結婚当初、恭介が署名を済ませて私に渡したものだ。

「もし俺が君を悲しませるようなことをしたら、俺から最愛の君を奪うという最大の罰を与えてくれ」と、彼はそう言っていた。

今の私には、彼を罰してやろうなんていう未練すらない。ただ、この紙切れと引き換えに、残りの人生の自由を手に入れたいだけだ。

署名が終わるやいなや、弁護士がやって来た。

離婚届を見るなり、彼は驚きの声を上げた。

「谷山社長が、離婚に同意されたんですか!?」

だが、緑色の紙に書かれた彼の署名は紛れもない本物だ。

私は説明せず、「最速で離婚の手続きを済ませて、離婚届受理証明書を彼に届けてほしい」とだけ頼んだ。

弁護士が帰った直後、恭介が帰宅した。

玄関を入るとすぐに、険しい顔で私に詰め寄った。

「俺が莉奈のために手作りした指輪、君が盗んだんだろ?」

私は無表情で答えた。

「指輪なんて知らないわ」

恭介の視線が、テレビで再放送されている授賞式のニュースに向いた。

「莉奈のプレゼンターをやったのがそんなに悔しかったか?嫉妬で指輪を隠して、彼女の祝賀パーティーを台無しにする気だな?」

私が弁解する間もなく、彼は傍に控えていたボディーガードに合図を送った。

「こいつを祝賀会へ連れて行け!」

「恭介、ちょっと待って……」

ひどい悪臭のする雑巾で口を塞がれたせいで、残りの言葉は喉の奥に押し込められた。

恭介の細長い指が、私の頬を優しく撫でた。

「穂乃果(ほのか)。いい子だから、莉奈を不機嫌にさせないで」

その冷たい声に、私は体の震えを抑えられなかった。

前回このセリフを聞いたのは、半月前の莉奈の誕生日パーティーの時だった。

恭介に無理やり出席させられた私が会場に着いた瞬間、9段の特大ケーキが大きな音を立てて崩れ落ちたのだ。

莉奈は涙を浮かべ、怒りに満ちた目で私を睨みつけた。

「どうして?普通に誕生日を祝いたかっただけなのに、恭介がプレゼントしてくれたケーキをわざと台無しにするなんて!あんまりだわ!」

その日、恭介は私を床に這いつくばらせ、散らばったケーキを一口ずつすべて舐め取らせた。
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