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第391話

Penulis: ラクオン
言われた瞬間、私は少しだけ目を見開いた。

今回は、いつものような圧のある脅しではなかった。

ただ静かに――先に離婚届を出してから、それから考える時間をくれるという話だった。

らしくないな、と心の中で思う。

あの宏が、こんなふうに順番を譲るなんて。

でも、逃したらきっと次はない。

そう思った私は、迷わず応じた。

「じゃあ、明日で。彼、明日の午後空いてる?」

加藤が一瞬だけ迷ってから、答えた。

「……はい、空いてます」

「なら伝えて。明日午後二時、役所で」

電話を切ったあと、自分でも驚くほど、心が静かだった。

ほっとしたわけでもない。

寂しさも、怒りも、未練もなかった。

まるでただ明日、誰かと約束して、ランチでも行くような。

そんな、日常の一コマみたいな感覚。

むしろ私は考えていた。

あの頃、あんなに深く嵌って、あんなに傷ついて、あんなに苦しんだ私は……

いったい、何をそんなに求めていたのか。

……

電話を切った加藤は、静かに社長室のドアを開けた。

室内では宏が無言のまま資料をめくっていたが、視線を上げるとそのまま冷ややかに問いかける。

「……彼
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