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第998話

Penulis: 楽恩
来依は、一発目の銃声をかろうじてかわした。そのすぐ耳元で、また一発、銃声が炸裂した。

彼女は、突然、ある温かくて懐かしい腕に抱きしめられた。

だが、その懐には、火薬の匂いと血の匂いが混じっていた。

「海人!」

海人は、彼女の頭を軽く撫でながら、優しく言った。

「大丈夫だ」

その声は、かすれていて、全然大丈夫なんかじゃなかった。

来依は手に持っていたものを落とし、慌てて彼を抱きしめ返した。

その前方では、一郎が部下たちを率い、青城や晴美たちを押さえつけていた。

ただ、混乱の中で、谁もが予想しなかったことが起きた。

青城が左手で、さらに一発撃ったのだ。

海人は、それを身を挺して防いだ。

鷹はすぐに駆けつけ、この状況を見て、医者を呼びに走った。移動式のベッドも押してきた。

彼は清孝に連絡を取った。

「高杉医院に繋いでくれ。できれば高杉由樹だ」

清孝は高杉家と親しく、海人が撃たれたと知ると、すぐに自ら動いた。

同時に、プライベートジェットの手配も進めていた。

空港では、偶然にも紀香と出くわした。

紀香は新しい番組の撮影があり、最近は藤屋家に泊まっていたが、彼とは顔を合わせていなかった。

説得に時間がかかると見越し、彼女は先に仕事を選んだ。

まさか、こんな広い空港で、ばったり会うとは思わなかった。

この機会に何か言おうとしたが、清孝は足早にVIP通路へ向かっていた。彼女を一瞥しただけで、言葉はなかった。

清孝がこんなに焦ることなんて、ほとんどない。

彼女の記憶が正しければ、以前、祖父が重病だったとき、清孝の側にいた医者が診てもらった。かなりの腕前だった。

「清孝!」

彼女は後を追って声をかけた。

「何があったの?」

清孝は腕時計を見て言った。

「海人がやられた。詳細は言ってる時間がない。知りたければ一緒に来るといい」

紀香は首を横に振った。

「私はまだ用事がある。終わったら行くわ。住所だけ教えて」

言い終えてから、彼をブロックしていたことを思い出した。

「その……あとで連絡する」

清孝は何も言わず、すぐに背を向けて去って行った。

紀香は来依に電話をかけたが、電源が入っていなかった。

そこで南にかけた。

南は今、来依の傍で、救急室の外にいた。

電話に出る余裕などなく、彼女はスマホを鷹に渡した。

そして来
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