Partager

第6話:幼馴染

Auteur: Kaya
last update Date de publication: 2026-01-25 17:46:26

昨日のオークションから一夜明けた。とにかく、やるべきことはやった。

後は朔夜からの連絡を待つのみ。

時間が空いた私は、事前に調べておいた自身の墓へと足を運んでいた。

墓前に立ったその瞬間――私は、確かに自分が死んだことを実感してしまう。

墓石に刻まれている名は「高遠凛音」。

人目につかない、山の中腹――

冷たい風が木々を揺らすだけで、墓地には静けさが広がっていた。

ここは高遠家の墓所ではない。ましてや、朔夜の家とも無関係の場所。

最初からここは、人々に記憶されないために選ばれた場所なのだと気づいた。

「そう――。さすがに両親も、私の存在を隠したかったのね。」

遺骨を引き取ったのは私の両親だと聞いた。

事故直後の遺体は、かなり損傷していたと……

死んでまでこんな扱いなのかと、思わず自嘲する。

けれど分かっている。実の両親も、わざとこの場所に納骨したわけではないだろう。

恐らく彼らは、そうせざるを得なかったのだ。

凛音は横領を働いた挙句、事故死したとされている。

「婚約者を裏切った女」。「最低な犯罪者」。

世間からそう批判されている娘の遺骨を、先祖代々の墓に納めるのには抵抗があ
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第41話:豹変

    朔夜専用のオフィスに入り、ひとまず愛想良く挨拶をした。「お待たせしました。朔夜さん。」だが、呼び出した本人、朔夜の方は相変わらず無愛想に私を一瞥しただけ。そんな態度をとるなら、一体なんのために呼んだのだろう。私がいつものように呆れた瞬間――「よくきたな。体は平気か?」「え……?」「事故にあったそうじゃないか。それもアパートが半壊するほどの。その姿を見れば無事だったのは分かるが、他に怪我はなかったか?」朔夜が――私を心配して――「月島さん?」「あ、いえ。ちょっと意外で。はい、大丈夫です。この通り無事でした。」「……もはや、あなたの“大丈夫”は口癖だな。たまには、大丈夫じゃないと言ってみたらどうなんだ?」「え……?」朔夜は私に近づき、眉尻を上げた。もしかして、怒っている……?「どうして、俺じゃなく、新に頼ったんだ?運転手があなたを送った直後の事故だろう。頼るのは、新じゃなくて俺だったんじゃないのか?」彼はむっとしたように顔を近づけ、私に迫った。なにが起きているのだろう。私の目的は朔夜に接近し、真実を暴くことだったが、こんなふうに近づかれるためじゃない。それが、なぜ、こんなことに――「今自分がどんな状況にあるのか、分かっているのか?」彼が怒っている理由を見つけないと。私は後ずさりしながら、朔夜を見つめた。「命を……狙われています。」「そうだ。あなたは、鷹司家の家族オフィスで狙われ、俺が招待したレセプションで狙われた。そして――爆発事故に巻き込まれた。爆発事故の詳細はわからないが……確かに

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第40話:警告とチャンス

    朔夜からの電話はひつこく続いた。「はあ。だから、なんだって言うんだ。光咲さんは俺が見てるから大丈夫だって言ってるのに。」新はようやく電話を切ったが、苛立っているようだった。「どうしたんですか?朔夜さんはなんて?」「なんか……光咲さんのことは自分にも責任があるから、迎えに行くだのなんだの。ちょっと怖いくらいひつこかったな。」「そう……なんですね。」 まさか、家族オフィスでの調査のことで、朔夜が罪悪感を?あの冷酷な朔夜が……?新が座っていたソファから立ち上がった。「とにかく、朔夜から何を言われても従う必要なんてないからね。光咲さんは、ここにいればいいんだから。」「ありがとう……ございます。」私の幼馴染は、本気で光咲を心配してくれている。それが嬉しかった。自然と笑みが溢れるほどに。「……その笑った顔。……にてるなあ。」「え?」「ううん、なんでもない。さて、そろそろ俺は行かないと。」名残惜しそうに新は振り返り、やがて部屋から立ち去って行った。一人になった私は、ベッドに仰向けに寝転がった。ここ数日色々なことがありすぎて、なんだか疲れた。命を狙われてるのも分かってる。凛音の事件を追う限り、こういったことはくり返されるだろう。でも私は、知らなければいけない。あの日の真相に辿り着くまで――復讐のために。だから歩みを止めることはできない。「どのみち、やるしかない。花びらが消えていく事実は変わらないんだから……」顔を塞ぎ、目を閉じる。背中のケシが脳裏に浮かんだ。あと一人、アザを持つ人は誰なんだろう?私に死んでほしくなかったのは―

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第39話:守られて

    新が連れてきてくれたのは、超高層のホテルだった。ここも、深瀬リゾートの所有する豪華ホテルの一つで、政府の要人や、政治家がよく利用するという。分厚いコンクリートに囲まれた部屋に入ると、ようやく張り詰めていた緊張が解けた。「ここなら、セキリュティもばっちりだし、警備もいる。狙われることもないと思うよ。」新は私の荷物を運び終わって、振り向いた。彼は、ここにくるまでに、生活に必要なものを買い揃えてくれた。爆発で、何もかもめちゃくちゃになってしまったから。 「何から何まで、ありがとう。新さん。」そう言うと、新は優しく微笑んだ。「気にしなくていいよ、光咲さん。」「そうは言っても、本当に急に電話して迎えに来てほしいだなんて……。 あなたを困らせてごめんなさい。」私は心の底から謝った。巻き込んでごめんね――と。「本当に気にしないで。前にも言ったじゃないか。あなたを放っておけないと。 光咲さんの力になりたいんだ。」彼は本当に何も気にしてないように、爽やかに笑った。相変わらず優しい人。罪悪感で胸が痛くなるくらい。とにかく、ここのホテルは自由に使っていいと言われた。部屋の中にはシャワールームもあるし、飲み物も完備されている。もしなにか必要なものがあれば、フロントに連絡すれば準備してくれるらしい。警察から事情を聞いた新は、私のことを本当に心配してくれているようだった。彼はそっと私に近づき、労るような視線を向けた。 「それにしても大変だったね。立て続けに誰かに襲われた上に、まさか家が爆発するなんて……。爆発の原因はまだ分からないんだろ?」新に、どこまで本当のことを話していいんだろう。 ただ、彼を信頼したいという気持ちと、巻き込みたくないという思いが同時に浮かんでしまう。でも、復讐に必要なら――「もしかすると、鷹司家の家族オフィスで、贋作を見つけたことが原因かもしれません。」

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第38話:迫る危機

    朔夜に説教をされ、燈は焦っていた。「兄さん?」彼女は頼りなげに朔夜の名前を呼び、そっと腕に触れた。あの時みたいに。「とにかく、これ以上凛音のことに触れるな。」「兄さん――」ついには朔夜が燈を黙らせた。燈は言葉を詰まらせたように、それ以上反論しようとはしなかった。まさか、朔夜が燈に怒鳴るなんて。珍しいこともあるのね。絶対的な信頼を築いていたはずの二人。その絆が壊れていく様子は、悪くない。「兄さん、怒らないで。私は兄さんのためを思って言ってるのに。」燈は必死で朔夜の機嫌を取ろうとした。だが、その一方で――私は見逃さなかった。燈が唇を強く噛み締めたのを。あれは燈のくせだ。苛立った時に出てしまう。以前から燈は、表向きは穏やかでも、裏ではなにを考えているのか分からないところがあった。まさに腹の底に、黒い感情を隠しているかのように。燈にとって、本当に朔夜は尊敬できる兄なのだろうか?あなたは、本当に兄想いの妹なの?この違和感はなんだろう。光咲になってから、これまで見えなかったなにかが、徐々に見えてくる。真実。そして、真相――事件の鍵は、案外身近にあるのかもしれない。朔夜が相手をしなくなると、燈は諦めたように去っていった。『とにかく、これ以上兄さんに近づかないでよね!』最後まで私には悪態をついていたけれど。朔夜の母親といい、燈といい、人間の裏の顔は本当に分からないものだ。「すまない。燈は甘やかされて育ったから。」朔夜がぼそっと呟いた。この人が謝るなんて。「いえ……気にしてませんよ。」「悪い人間じゃないんだ。ただ……」なにかを言いかけて、朔夜は口を閉ざした。

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第37話:妹の裏側

    蒼史とのデートから数日後、私は警察の事情聴取に呼び出され、朔夜と共に行動していた。その後、現場検証に立ち会った。聴取は家族オフィスと、レセプションパーティーが開催されたホテルで行われたが―― 結局、犯人につながるような物証はなにも出てこなかった。「それでは、また何か情報が入り次第、ご連絡いたします。」「はい。ご苦労様でした。」朔夜が一礼し、複数人の警察が去っていった。私は朔夜を見上げ、強い口調で告げた。「やっぱり、分からなかったですね。 犯人は、防犯カメラの位置や人の動きを熟知する人物らしいですから。 内部犯で間違いないと思います。」ただやはり、犯人が防犯カメラにまったく映ってないという点が、奇妙すぎる。「ああ、わかっている。はあ。一体どこの誰がこんな真似を……」朔夜は機嫌が悪そうだった。髪をかきあげる仕草も、彼が苛立っている証拠だ。「私が、一つだけ言えるとすればそれは…… 警察内部にもこの件に関わってる誰かがいるんじゃないか、ということです。」――例えばそう。あの警部とか。事情聴取や、現場検証に来た刑事の中にあのケイブはいなかったけれど、もし彼も関わっているなら。回収したカメラを隠蔽したか、もしくは事前に細工をした可能性も考えられる。あくまで可能性だが―― 私はまっすぐに朔夜を見つめた。もし朔夜も共犯なら、動揺を見せるはずだ。だが、そうじゃないなら―― 「警察が……?だが、もしそうなら…… この状況、ありえなくもないな。」彼は顔をしかめ、低い声で答えた。違う。今回の件は朔夜じゃない。そう思った瞬間、なぜかほっとしている自分がいた―― 「兄さん。」遠くから、朔夜を呼ぶ声がした。燈だ。――あのオークション以来、顔を見るのは本当に久し

  • 憑依転生〜私を断罪した男の溺愛に抗う   第36話:デート

    休めと言ったのはどこの誰なんだろう。私は機嫌の良さそうな蒼史を、ぼんやりと見つめていた。「あの、蒼史さん。私たち、なにしてるんですか?」「見てわからないのか?どう考えてもデートだろう?」にこりと笑う蒼史。冗談なのか本気なのか、まったくわからなかった。「デートって……でも、この前はしっかり休めって、言ってませんでした?」「なんだ、デートだって立派な休息だろう。とにかく、何も考えずにただ楽しめばいい。」そうだった。蒼史はあの赤字経営だったキャピタル・マネジメントを、黒字転換させたやり手のCEOだった。このくらい強引じゃないと、務まらない役職よね。今の私には、やらなければいけないことがたくさんあるのに。まだ犯人だって捕まってないのに。 「ほら、光咲、考え込んでないで、次に行くぞ。」「え、ちょっと……待ってください!」仕事の話があると呼び出されたが、実際は私を連れ回すことが目的だったみたいだ。朝から車で迎えに来て、いきなり私を高い服ばかりが置いてある専門店に連れて行った。そこで私に、服を着させるだけ着させて……普段着ないような高い服を購入。 いらないと言ったが、普段のお礼だと言って聞かなかった。 そして、買った服を着たまま、今に至る。強引に私を連れ回す蒼史。なぜか楽しそうだ。 次に着いたのは遊園地だった。「どうせなら、一日遊ぶぞ。」はっきり言って、この男には世界一似合わない場所だと思っていた。 メリーゴーランドとか特に……。こんな時なのに、なんだか笑ってしまう。 私は気を引き締め直して尋ねた。「平日の昼間から、くる場所ではないのでは?」 「そうか?平日の昼だからいいんだろ。」何を言っても、ずいぶんとあっさりとした返事が返ってくる。「あなた、仕事は?」「仕事?そんなもの、今日の

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status