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第706話

Author: 金招き
彼は気にしないと言ったけど。

本当に少しも引っかかっていないのだろうか?

香織は疑い始めた。

圭介を信じたくないわけじゃない。

でも、もしこの出来事が逆だったとしたら——

自分なら、本当に何も思わずにいられるだろうか?

責めるつもりはないし、二人の関係を疑うわけでもない。

ただ、心にわだかまりが生まれるのは、人として普通のことだ。

人間には思考があり、感情がある。

誰かを責めたり、恨んだりはしない。

自分と圭介は、時間が経てばこの出来事を乗り越えられるかもしれない。

彼女はソファに座り、壁に掛かっている時計を仰ぎ見た。

「カチカチ」という音が、静まり返った空間に響き渡った。

彼女は携帯を一瞥したが、少し躊躇した様子で結局手に取らなかった。

彼女は横になり、布団をかけて目を閉じ、眠りに落ちた。

……

憲一は越人に愚痴を聞いてもらいたかったが、越人は忙しくて時間がなかった。

仕方なく彼は会社へ向かい、夕方には家に戻った。

家には松原奥様だけがいた。

由美の姿はなかった。

階段を駆け上がると、前に由美が持ち帰っていた荷物が、またなくなっていた。

彼の
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