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第18話

Penulis: 白団子
瞬く間に基地全体が警戒態勢に入った。

研究チームのスタッフたちは四散して逃げたが、特殊部隊は防弾チョッキと盾を装備して最前線に突入した。

「東雲さん、あなたの目的が何であれ、武器を置いて降伏してください」基地の責任者は冷たい顔で言った。

「あなたはすでに包囲されていて、逃げられない」

それを聞いた一澄は笑った。

「それはどうかな。ここは屋内だ。そちらの狙撃手は俺を狙えない。

そして今、俺が立っている位置からは、お前たちの兵士全員を見渡せる。もし誰かが軽率に撃とうとすれば、すぐに爆弾を起爆して、お前たちもろとも道連れにする」

それを聞いた基地責任者の顔色は一瞬で最悪になった。

なぜなら、一澄の言う通り、室内のスナイパーでは彼を正確に狙えないからだ。特殊部隊の隊員たちは銃を持っているが、いったん動けば一澄にすべて見られてしまう。

そのため、隊員たちは銃を持っていても軽々しく動けない。誰も、一澄が爆弾を爆破する前に一発で仕留められる保証はないのだから。

「条件を言えばいい」しばらく考えた後、基地の責任者は険しい顔で一澄と交渉した。

「お前が敵国のスパイでないことは分かっている。自分を犠牲にする必要はないし、俺たちを道連れにする必要もない」

「やっと分別のある人が現れたな」一澄は笑った。

「そうだ、俺は基地で何を研究しているかには興味がない。ただ慈乃を連れて行きたいだけだ。

慈乃が俺と一緒に去るなら、身に付けた爆弾を解除する。誰も傷つけない」

瞬く間に、全員の視線が慈乃に集中した。

慈乃の顔は少し険しくなり、怒りに満ちた目で一澄を見つめながら、歯を食いしばって言った。

「あんたは本当に恥知らずね。基地全員の命を使って私を脅すなんて」

「慈乃、俺はお前を愛しているから、こうせざるを得なかったんだ」一澄は胸に手を当て言った。

「俺にとって、お前と一緒にいられないなら、死んだほうがマシなんだ!」

慈乃の顔はさらに険しくなった。一澄のやり方は卑劣だったが、確かに効果はあった。慈乃は生真面目で善良な性格なので、一澄が爆弾を起爆して全員を殺すのをただ見過ごすことはできなかった。

そのため、彼女は歯を食いしばって一澄の要求を受け入れた。

「分かった!あなたと一緒に行くわ」

言葉が終わると、一澄の曇った顔に瞬時に生気が戻り、興奮して叫んだ。

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