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3. 「異世界ほのぼの日記」⑱

작가: 佐行 院
last update 최신 업데이트: 2025-02-03 09:00:10

-⑱作戦開始-

 安全の為山道は走り屋チームが登ってから封鎖してあるので安心だった。、サイドブレーキが下がった瞬間光の愛車は勢い良く山道を登って行った。銭湯の駐車場沿いの道をドリフト1発で進んでいく、そして最初の左コーナーを壁ギリギリを保ってドリフトしどんどん登っていく。各々のコーナーを鮮やかなドリフトで抜けて行くとあっという間に山頂に着いた、後続の警察車両たちはついて行くのがやっとだった。光は駐車場の適当な場所に陣取り車を止めた。後続車両も止まり、様子を伺っているとリーダーらしき男が1人『カフェラッテ』に近づいて来た。見た目は誠実そうだ。

 光は窓を開ける、本格的な作戦開始までもうすぐだ。

リーダー「こんばんは、さっき見てたんだけどお姉さん早いね。」

光「そうかな、適当に流しただけなんだけど。」

 あれで適当なのかとドーラはギョッとした、どう考えても全力のアタックだった。光は凛とした顔をしている。

リーダー「後ろの人たちはチームメイトかい?ヘロヘロみたいだけど。」

光「鍛錬が足らないみたいでごめんなさいね、でもご心配なく。」

リーダー「どうだろう、各々2台ずつ出してチーム戦でもしてみないかい?」

光「暇してたからいいわ、楽しそうね。」

リーダー「じゃあ早速準備しよう。」

 リーダーが離れていくと光は窓を閉めた。ドーラに合図をすると、無線機に作戦開始(バトルスタート)を告げた。無線機越しに林田が声を掛ける。

林田(無線機)「あー、あー、光さん聞こえますか?どうぞ。」

光「聞こえてます、どうぞ。」

林田(無線機)「バトル中はここから指示を出しますので宜しくお願い致します、どうぞ。」

光「了解です、どうぞ。」

林田(無線機)「因みに光さん宛の指示は全員の指示だと伝えてますので気にせず聞いて下さい、どうぞ。」

光「しつこいですよ、どうぞ。」

 無線機の向こうで林田が泣きそうなのでドーラはぷっと含み笑いをした、顔が赤くなっている。

林田(無線機)「す、すみません、どうぞ・・・。」

警官たち(無線機)「け、警部・・・、大丈夫ですから、ね?」

 ドーラが無線機のマイクを切ったので光は愛車を動かしながらドーラに聞いた。

光「林田さんっていつもこうなんですか?」

ドーラ「日常茶飯事なんで気にしないで下さい、警部涙もろいので。」

光「あ、そうだ・・・、次は下りなんでさっきより速いと
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    -⑲あっけない最後と暴露- 排気音を聞き林田は覆面パトカーを横に並べた、リーダーの車のヘッドライトが見え始める。 林田達は車の後ろから叫んだ。警官達「止まれー、止まれー!!!」 リーダーや光、そして後続車はドリフトして止まった。林田「お前ら迷惑防止条例違反だ、逮捕するぞ!!!」リーダー「父さん待ってよ!!!俺だよ、利通(としみち)だよ!!!」林田「なんだと?!」 林田はリーダーの顔を懐中電灯で照らした。林田「利通!!!すまん!!!」 リーダーこと林田利通警部補は先程の会話から分かるように林田警部の息子で警部の別動隊として動いていた。 どうやら今回は林田警部の聞き違いらしく、作戦を遂行しようとした息子一行を捕まえてしまったらしい。というより車を見て分からなかったのだろうか。 一先ず全員で下山する事にした。 夜が更ける、大きな一仕事を終えた光は空腹で仕方なかった。今日は自分へのご褒美に何かいつもと違う美味しい物を食べよう、明日は有給にしているからいつもより多めにお酒を煽っても問題はない。とりあえず『カフェラッテ』を地下に入れておかなきゃ、それか明日洗車してからにしようか、愛車を転がしながらどうしようか考えていた。 ルンルンとした気分で家路を急ぐ、5速から4速に下げると光の気持ちに応える様に愛車は加速した。新しく買った軽乗用車の横に駐車し玄関のドアを開けようとしたら服に忍ばせていた携帯が鳴った、林田だ。かなり出来上がっててご機嫌らしい。林田(電話)「もしもしぃ、光さんですかぁ?今日の主役が来てないなんて駄目でしょう、早く早くぅ!」利通(電話)「俺はあなたの走りを見て感動したんですぅ、吞みましょうよ~。」 その瞬間、車のハイビームが光を照らした。ネスタが軽トラで迎えに来たのだ。ネスタ「ごめんね、うちの人がどうしても連れて来いって言うから・・・。」光「良いですよ、食費が浮くから行きます行きます。」ネスタ「あ、そうそう、今日のテーマ『皆平等』だってさ。出前が来ちゃうから早く帰らなきゃ、私も早く呑みたいし。」 『皆平等』ってどういう事だと思いながら軽トラの助手席に乗り込み林田家に向かった。林田家の和室に入ると警官達が陽気に・・・、いや口喧嘩しながら呑んでいた。テーブルには唐揚げ、カキフライ、アジフライ、カニクリームコロッケ、そして明

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    -⑳嵐の飲み会の後-ネスタ「今更何言ってんだよ、私だってドワーフだっての!」利通「母さん?!って事は俺人間とドワーフのハーフなのかよ!」 まさかの事実が暴露されていく、夜はまだまだ長い、今日は楽しくなりそうだ。 皆何故か1本のウィスキーでハイボールを作って各々作って呑んでいた、テーブルには鶏の唐揚げが高く積まれている。やっぱりハイボールには熱々の唐揚げだ。唐揚げが無くなったときは光が『作成』でお代わりを作っていた。ネスタ「あんたそんな魔法が使えるなら自炊する必要無いんじゃないかい?」光「あんまりこれに頼らないで出来るだけ自分で作りたかったの。料理が出来なきゃ彼氏なんてできないと思ってさぁ。」 全員がごもっともと言わんばかりに頭を下げた、でもすぐに分かり合い結局どうでもいいやと再び呑みだした。今日は頑張ったんだ、楽しんだって良いじゃないか。 夜は賑やかなまま過ぎて行った。 朝の10時が来た、全員酔い潰れて知らぬ間に寝落ちしていたらしい。有給休暇だから大丈夫なのだが。 インスタントの味噌汁を勧められ光は若布入りを飲んだ、五臓六腑に染み渡る。警官達はまだ眠っている。 光は家へ帰り家庭菜園の水やりをし、シャワーを浴びて牛乳を一気飲みする。テレビをつけ誰もいないリビングで髪を手早く拭いた。姿見を見ながら思う、髪伸びたなと。久々に美容室に行こうかと考えたがこの世界に美容室なんてあったのだろうか、光は街を散歩がてら探しに行く事にした。 街の駐車場のいつもの場所に車を止め歩いて街に入って行った。店前の市場を抜け街の中心部に出る、ただ美容室らしき店はどこにもない。きっといった事のない裏小路にあるんだろう、今日は時間がたっぷりあるからぶらぶらと歩いて見てみよう。テラスのあるカフェは何軒か見かけたがやはり美容室らしき店は無い、ネスタにでも聞いてみるかと思ったが番号を知らなかった。という事で旦那の林田に聞いてみる事にしてみた。 10コール程電話してみたが出ない、まだ寝ているのだろうか。そうこうしているうちに雑貨屋の前に着いたので、ゲオルに聞いてみる事にした。店員「店長今日休みですよ。」光「あらま、そうなんですね。」店員「何か御用ですか?」光「実は髪が伸びてきたので店を探しているんですが見つからなくて。」店員「店?いやいや、髪などはリッチの人に頼むのが定

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    -㉒いよいよ収穫- 光は朝一、庭先の家庭菜園を眺めポロっと一言呟いた。光「そろそろ収穫できるかな・・・。」 今日になるまで水やりや草抜きなどのお手入れを欠かさず行い丹精込めて大事に大事に育ててきた野菜たちが美味しそうに実っている。 朝日が照り付け絶好の収穫日和、先日買った麦わら帽子にTシャツ姿になり光は笊を片手に収穫に臨んだ。 まずは真っ赤に熟したトマト、沢山あるので1つ取って試しにつまみ食いしてみる。1口齧るとそこから爽やかで甘酸っぱい果汁がたっぷり口に流れ込み幸せにしてくれる。 そして細長く育った茄子やオクラも収穫、今日は夏野菜カレーにするかとルンルンさせてくれる。完成した料理を想像し腹を空かせながら収穫を進めていった。 胡瓜も育っているのでサラダを作るため収穫することに、お陰で今日のランチは豪華なものになりそうだと微笑んだ。 川沿いの小さな切り株に結んだ紐に持っていた笊を結び付け、そこに胡瓜とトマト、そして缶ビールをおいて川につけ収穫後の楽しみとして冷やしておくことにした。 ニヤニヤしながら収穫していると家の前をたまたま通った新聞屋のナルが声を掛けてきた。以前ゲオルからナルがヴァンパイアだと聞かされたが午前中でも平気でおきているし、普通にカジュアルウェアを着こなしているので実感が湧かない。ナル「光さんおはようございます、収穫ですか?」光「あ、おはようございます。そうなんです、この野菜でカレーを作ろうと思いまして。」ナル「いいですね、僕トマト大好きなんですよ。」 これもゲオルが言っていた様な・・・。ナル「良かったらお手伝いさせて頂けませんか?」光「勿論です、カレーを作った後にあそこで野菜とビールを冷やしているのでご一緒にいかがですか?」 光は川の水で冷やしている野菜の入った笊を指差した。ナル「最高ですね、俄然やる気がしてきました。」光「では、手早く収穫しちゃいましょう。」 2人は手早く、しかし果実を傷つけないように丁寧に収穫を進めてきた。ナルのお陰で思っていた以上にかなり早く収穫が終わった。キッチンに移動して光は収穫した野菜を切っていき、その横でナルは寸胴でお湯を沸かし始めて別に用意したガラスの容器に切ったトマトと胡瓜を入れ冷蔵庫で冷やしておいた。 寸胴にカレールーを入れ溶かしてその横でフライパンで切った野菜を炒めて一

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㉓

    -㉓続く食事会- 光はカレーが、そしてナルはトマトが好きすぎて数日に分けて食べる予定だった夏野菜カレーを1日、しかも1食で食べ終わる勢いであった。ただ日本から持って来て『アイテムボックス』に保存しておいたお米が無くなりそうな勢いだった。ナル「ごめんなさい、貴重な食料なのに。美味しすぎちゃってつい・・・。」光「大丈夫ですよ、代用品を作りましょう。」ナル「ご飯以外にカレーに会うものってあるんですか?」光「ずっと米だけじゃ飽きるでしょ、私に任せて下さい。それに私の故郷ではカレールーだけ食べてビールを呑む人までいますので大丈夫ですよ、では作りますか。」 そう言うと光は小麦粉などの材料、そしてヨーグルトを混ぜたパン生地を作り外へ持って行った。光「見よう見まねにDIYで作ったこの子が役に立つ日が来るとはね。」 家の裏に筒状の窯があった、底で薪炭を火属性魔法で燃やし内部は500度ほどになっている。内側に生地を貼り付け数十秒経つと焼きあがりだ。ナル「何ですかこれは。」光「『タンドール』って言う窯なんです、これでパンを焼きます。」ナル「パンですか、それ用の窯なんですか?」光「いや、鶏肉や魚も焼けますよ。外はパリパリ、中はふっくらと焼けるんです。」 ナルが数十秒経過し焼きたてのナンを取り出す。ナル「薄っぺらなパンですね。」光「『ナン』って言うんです、確かゲオルさんのお店にも売ってた様な気がしますが。」ナル「ああ、これですか。結構手軽にできるんですね。」 気を取り直して、あと数枚ナンを焼き家に持ちこんだ。温めなおしたカレーにつけて1口。ナル「これは初めてです、美味しいですね。」  それを聞いて光はナルに微笑みかけた。 一方、トマトと胡瓜のサラダはドレッシングで味変し楽しんでいたが流石にそのまま食べることに飽きてきた。そこでナルが歩いて5分ほどの自宅で手作りしたチーズを加えオリーブオイルとジェノベーゼソースで作ったドレッシングをかけてカプレーゼにした。光の勤め先の店で買ったフランスパンを切ったものに乗せて食べる、これにはナルも驚きを隠せない。ナル「こんな食べ方があるんですね、初めて知りました。」光「『カプレーゼ』って言うんです、簡単に出来るので今度また是非作ってみてください。」ナル「良いですね、ただ母がチーズが苦手なんですが、その場合はどう

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㉔

    -㉔休日を楽しむ- 銭湯の帰り道、2人は缶ビールを買って歩きながら呑みなおした。ビールを一気に煽ったナルが一言。ナル「いや、幸せです。こんなに楽しい日が待ってるなんて思わなかったな。」光「えっと・・・、どういうことですか?」 光の顔は温泉とビールのお陰でほんのり赤くなっている。ナル「実は初めて会ったあの日、僕仕事が休みだったんですが元々の担当者が急に出れなくなって店長に呼び出されたんです。」光「そうだったんですか・・・、あの日は何か仕事の時間を延ばしたみたいですみませんでした。」ナル「いえ、気にしないで下さい。楽しかったから。」 一瞬シュンとしてしまった光をナルは一言で慰めた。 光はずっと気になっていた事を聞いてみる事にした。光「そう言えば、ナルさんは休日いつも何してるんですか?」ナル「そうですね・・・、ゲオルさんとよく休みが合うので一緒に遊んでます。」光「次、私もご一緒してもいいですか?」ナル「いいですが・・・、休み合いますか?一応、来週の火曜日ですが。」 光はパン屋のシフト表を確認して答えた。光「大丈夫です、行けます。」ナル「では、来週の火曜日に。お楽しみいただければ幸いです。」 そう言うとナルは光を家まで送り自宅へと帰った、本人はルンルンと飛びながら家路を急いだ。 次の火曜日の朝、ナルは光を家まで迎えに行きゲオルの店へと向かった。ゲオルは店の前で待っていた。 光の家は街から北に向かった所にあり、反対にいつもの銭湯は街から南にあった。ただ今日はいつもと違い西の方向に向かって行った、西側にはいつもゆったりとした川が流れていたが街から歩いて行くとけたたましいエンジン音が響き始めた。ゲオル「さぁ、今日は勝たせてもらいますよ!!!」 ゲオルとナルの目が見たことない位に燃えている、看板を見てみると『ネフェテルサ王国レース場公園』とあった。横に場内マップを見ると競輪場、競馬場、ボートレース場、オートレース場が1つの公園に一緒になっていた。 ゲオルとナルはいつもボートレースを選んでいた、2人は出走表を取ると赤ペンを耳に挟み入場料の100円を改札に入れて入って行った。因みに光も日本にいた時やった事があるので違和感は無かった。 場内にはテレビ画面が並びオッズ倍率や先程行われたレースの結果、そして別の画面には展示の結果やリプレイが流れ

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㉕

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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㉖

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    -137 人事部長の悪事- 夫婦は重い頭を上げヒドゥラにソファを勧めた、先程の入り口前にいた女性にお茶を頼むとゆっくりと話し始めた。夫人「初めまして、普段は学園にいるからお会いするのは初めてですね。私は貝塚結愛、この貝塚財閥の代表取締役社長です。隣は主人で副社長の光明です。」光明「初めまして、これからよろしく。」ヒドゥラ「しゃ・・・、社長・・・。そうとはつい知らずペラペラと、申し訳ありません。」結愛「何を仰いますやら、貴重なお話を頂きありがとうございます。」 実は最近の異動で人事部長が変わってから、やたらと人件費が削減されているので怪しいと思っていたのだ。削減された人件費の割には利益が昨年に比べて悪すぎると思っていた折、ヒドゥラの話を聞いた結愛は人事部長が怪しいと踏み、部の社員数人にスパイを頼み込んで調べていた。光明の作った超小型監視カメラを数台仕掛けて証拠を押さえてある。 調べによると金に困った人事部長が独断でありとあらゆる部署から人員を削り、余分に出た利益を書類を書き換えた上で自らの口座へと横流ししていたのだ。結愛「今回発覚した事件により貴女を含め大多数の社員に迷惑を掛けてしまった事は決して許されない事実です。人事部長は私の権限で以前の者に戻し、迷惑を掛けた皆さんには賠償金を支払った上で私達夫婦からお詫びの温泉旅行をプレゼントさせて頂きます。」光明「そしてヒドゥラさん、貴重なお話を聞かせて下さった事により我々にご協力下さいました。我々からの感謝の気持ちもそうなのですが、業務に対する責任感を感じる態度へと敬意を表し今の部署での管理職の職位を与え、勿論貴女にもお詫びの温泉旅行をプレゼント致します。」 ヒドゥラは今までの苦労が報われたと涙を流すと、全身を震わせ崩れ落ちた。2人に感謝の気持ちを伝えると自らの部署に戻り暫くの間泣いていたという。 問題の人事部長についての調査なのだが、以前から魔学校の入学センター長を兼任しているアーク・ワイズマンのリンガルス警部に結愛が直々にお願いしていた。そしてこういう事もあろうかと様々な魔術をリンガルスから学んでもいたのだ、屋台で使用した『変身』もその1つである。そのお陰でネクロマンサーとなり、多くの魔術が使える様になった結愛は魔法使い特有の念話も使える様になっていた(光は『作成』スキルで作ったが)。結愛(念話

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」136

    -136 優しく頼もしき老夫婦- 先程まで抱えていた悩みなどどうでも良くなってしまったと周りに思わせてしまう位の笑顔で拉麺と銀シャリを楽しむラミア、その表情に安堵したのか渚は屋台の業務に戻る事にした。でもその表情には何処かまだ疲労感がある、そこで冷蔵庫からとあるものを取り出してヒドゥラに渡した。ヒドゥラ「あの・・・、頼んでいませんけど。」渚「いいんですよ、疲れている時は甘い物です。貴女この後も頑張らなきゃなんでしょ。」 ヒドゥラは手渡されたプリンを食後の楽しみにすると、より一層笑みがこぼれた。ヒドゥラ「ありがとうございます。」 その数分前、渚が屋台を構える駐車場の前を1組の男女が通りかかり、その内の女性が小声で男性に一言ぼそっと呟くと、2人は頷き合いその場を離れた。 それから数分後、ヒドゥラがプリンを楽しんでいる時に1組の老夫婦が屋台を訪れ席に座った。老夫人「よっこらしょ・・・、お姉さんここ良いかね?」ヒドゥラ「勿論どうぞ。」ご主人「ありがとうよ、昼間にやってる拉麺屋台なんて珍しいから食べてみたくてね。」ヒドゥラ「美味しいですよ、お2人も是非。」老夫人「嬉しいねぇ。店員さぁ~ん、拉麺2つね。歯が悪いから麺は柔らかめにしてもらえるかい?」渚「はい、少々お待ちを。」 渚が老夫婦の拉麵を作り始めると夫人がヒドゥラを見てお茶を啜り、声を掛けてきた。老夫人「そう言えばこの辺りでラミアを見かけるなんて珍しいね。」ヒドゥラ「あ、これ・・・。普段は魔法で足に変化させて人の姿で働いているんです。」ご主人「それにしてもお姉さんどこか疲れているね、何かあったのかい?」 老夫婦の柔らかで優しい笑顔により安心したのか、先程渚に語った会社における自らの現状をもう1度語った。老夫婦は親身になってヒドゥラの話を聞き、時に涙を流しつつまるでそのラミアが自分達の孫娘であるかの様に優しく手を握り頭を撫でた。 ヒドゥラは涙を流し老夫婦に感謝を告げると、手を振りながらその場を後にして会社へと戻って行った。 老夫人がご主人に向かって頷くと、残った拉麵を完食してすぐお勘定を払ってその場を去っていった。渚「ありがとうございました、またどうぞ!!」 老夫婦が去ってからは昼の2時半頃までお客が絶えず、ずっと皿洗いと調理を繰り返していた。正直こんなに大変とは思わなかったと感

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」135

    -135 大企業の事実- 以前の職場で噂されているとは知らない2号車の渚はシューゴに手渡された地図で指定された販売ポイントの駐車場に到着した、シューゴとは逆回りでこの後渚にとって懐かしきダンラルタ王国の採掘場での販売をも予定している。渚「この辺りだね・・・、よし。」 本来はとある職場の職員が使う駐車場で、管理人とシューゴが特別に月極契約している端の⑮番の白線内にバックで止める。何があってもすぐに対応できる様に「必ず駐車はバックで」と言うのがシューゴとのお約束だった。 渚は運転席から降車し、少し辺りを見てみる事にした。渚「ここはどこの駐車場なのかね・・・。」 駐車場から数十メートル歩いた所に大きな建物が2つ並んでいた、1つは大企業の本社ビルで最低でも20階以上はありそうだ。また、隣接する建物は15階建てのものらしく横に大きく広がっている。2つの建物は数か所の渡り廊下で繋がっていて窓の向こうから行き来する人々がちらほらと見えている。渚「大きいね・・・、何ていう建物なんだい?」 入口らしき門が見えたのでその左側に書かれている文字をじっくりと読んでみた、見覚えのある文字がそこにある。渚「「貝塚学園高等魔学校 貝塚財閥バルファイ王国支社」ね・・・、貝塚財閥ってあの貝塚財閥かい?!確か向こうの世界で教育系統に力を入れているって聞いた事があるけどこっちの世界にお目見えするとはね、こんな所で屋台をするのかい?贅沢だねぇ・・・、ありがたやありがたや。」 渚はハンカチで汗を拭いながら軽バンへと戻り営業の準備を始めた、屋台キットを展開しスープの入った寸胴を火にかける。暫くしてスープの香りが漂い始めると先程の建物から昼休みを知らせるチャイムが聞こえて来た。すると女性が1人、疲れ切った様子で屋台へとやって来た。へとへとになりながら渚が差し出した椅子へと座る、お冷を手渡すと砂漠を彷徨っていたかの様に一気に喉を潤した。目にはクマがあり、酷い寝不足らしい。聞くと人件費の削減でかなりの人数を減らされ毎日酷い残業らしく、今日みたいに昼休みを過ごせない日もあるそうだ。せめて今日の昼休みくらいは美味しい物をとスープの匂いに誘われてやって来た。女性「えっと・・・、拉麺を1杯お願いします。麺は硬めで。」 疲れ切った表情で渚に伝えると懐から手帳を出し、午後からの仕事の確認をし始めた。渚

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」134

    -134 懐かしの味- 常連さんの注文に応じ、新メニューである「特製・渚の辛辛焼きそば」を作り始めた1号車の担当・シューゴ。まずは豚キムチを作っていくのだがここで必ずお客さんに聴いて欲しい事があるそうだ。シューゴ「辛さはどれくらいがお好みですか?」 判断基準の為、ラミネートされた用紙を渚から手渡されていたのでそれをブロキントに見せる。辛さは5段階まで表示されており、それに応じて各々の辛さのキムチを使用する事になる。キムチはこの調理用に全て渚が特製で漬けていたのだが、シューゴには5種類とも試食する度胸が無かった。最高の5辛のキムチは色が尋常じゃない位に黒く、恐怖心をあおる様に唐辛子の匂いがやって来る。5辛以上の辛さを求められた場合は5辛の物に特製ペーストを加えて作る。 因みに最初のお客さんには1辛を勧める様にと伝えられており、1辛のキムチは多めに作られていた。シューゴ「最初は1辛をお勧めさせて頂いているのですが。」ブロキント「せやね・・・、丁度刺激が欲しかったんで敢えて3辛でお願いできまっか?」シューゴ「3辛で・・・、分かりました。お好みで辛さ調節できますのでね。」 3辛用のキムチを加え調理にかかる、後で炒めなおすので最初は軽く火を通す程度に。一度皿にあけ少し硬めに茹でていた麺をソースと辣油で炒め先程の豚キムチを加え一気に煽る。それを見た瞬間、ブロキントが何か思い出したかの様な表情をして聞いた。ブロキント「店主はん・・・、それまさか赤江 渚はんのレシピちゃいますのん?」シューゴ「はい、なので「渚の」が付いているんです。」ブロキント「渚はんって、ホンマにあの渚はんなんですか?」シューゴ「ど・・・、どうされたんです?」ブロキント「いやね、以前ここで事務と調理の仕事をしとった人がおったんですけどね、その人と同じ作り方やなぁと思っとったんです。」 そういうと幸せそうに、そしてどこか懐かしそうに微笑みながら調理を眺めていた。シューゴ「渚さん・・・、多分今日中にこの場に来るはずですよ。実は今日からウチの2号車としてデビューする事になったんで。」ブロキント「ほんまでっか?!ほな夕飯に渚はんの作った拉麺を食べてみます!!」シューゴ「ふふふ・・・、お楽しみに。さぁ、出来ましたよ。」 皿に炒めた麺を盛り付け辛子マヨネーズを振りかけて出来上がり、お客の

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」133

    -133 お仕事開始- 夜明け前、弟・レンカルドの経営する飲食店の調理場を借り、毎日継ぎ足して使っている秘伝の醤油ダレをシューゴが仕込んでいた。 自らの舌で選び抜いた素材と独自に調合したスパイス、そして黄金比をやっとの思いで見つけ出し配合した調味料を沸騰させない様にゆっくりと火入れしていく。 幾度となく納得のいくまで味見を繰り返し、完成しかけたタレに煮込み前の叉焼を入れ肉の脂を混じらせつつ双方を仕上げていった。 シューゴ「これは味見・・・、味のチェック・・・。」 出来たばかりの叉焼を1口、十分納得のいく味付けと全体的にトロトロの食感が織りなす絶妙なハーモニーを口いっぱいに頬張って首を縦に振った。その味に堪らなくなってしまっていたのか数秒後には白飯に手を出していた、こうなると予想していたレンカルドが気を利かせて用意してくれていたのだ。シューゴ「うん・・・、これは仕事終わりにビールだな。」 数切れ程タッパーに残し楽しみに取っておき、屋台2台分の準備をし始めた。そう、これからは屋台が2台だから味付けの責任も2倍だ。 2台分の醬油ダレ、叉焼、そしてその他の具材を用意し終えた頃に裏の勝手口から渚が声を掛けた。渚「おはようございます、良い匂いですね。」シューゴ「おはようございます、宜しければ味の確認も兼ねて出来立てを如何ですか?」 そう言って1口サイズに切った叉焼を小皿に乗せて渡すと渚は目を輝かせながらパクついた、目を閉じてその味を堪能する。シューゴ「その表情だとお口に合ったみたいですね。」渚「これビールの肴としての叉焼単品や叉焼丼でも売れるんじゃないですか?折角辛子マヨネーズも持っていくのでそれをかけて。」シューゴ「そのアイデア・・・、採用しても良いですか?」 シューゴは調理場に渚を残しパソコンのある部屋に向かい、急ぎ電源をつけた。どうやらメニュー表や注文用のメモの改定と魔力計算機(レジ)のボタン設定を即座に行っている様だ、因みに値段は原価等を考慮して即席で決定した。渚「シューゴさん、いくら何でも早すぎないかい?私でも焦りますよ。」シューゴ「いや、折角のアイデアです。是非採用させて下さい、容器はまたいずれ作りますので今日は取り敢えず今ある分でお願いします。」渚「了解しました。」 新メニューが即席で誕生した所で屋台への積み込みだ、忘れ物

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」132

    -132 出来立ての屋台と焼きそば- 秘伝の醬油ダレとスープ、そして叉焼を含む営業用の商売道具を説明の為に一通り外に止めてあった新しい屋台に積むと一緒に積んでいた丼を1つ取り出し拉麺の作り方説明し始めた。シューゴ「まず最初に注文を取ってメモに書き、丼の底にゆっくりとこの醬油ダレを入れて頂きます。次に箸で溶かしながらスープを入れていくのですが、それと同時並行で別の鍋にて麺を茹でていきます。各硬さに対応する茹で時間はメモしてありますのでこれを見ながらやって見て下さい。」 茹で上がった麺を取り出し上下に振って湯切りする、これがきっちり出来ていないと折角のスープの味がゆで汁で薄くなってしまう。シューゴ「予め切ってある叉焼などの具材を乗せて完成です、提供する時に必ずお箸を一緒にして下さい。」 経費の削減の為、今回の屋台では割り箸ではなく洗って使う塗り箸を用意してある。しかし希望する客がいれば割り箸を提供する。 お箸と割り箸を入れている引き出しの真下にドリンク用の冷蔵庫が設置されていた、中ではグラスも冷やせる様になっており、固定して運ぶ為に移動中割れる心配がない。 この屋台には魔力計算機(レジ)が標準装備されており、各ボタンに値段が登録されているので記憶する必要が無い。トッピングや白飯、またドリンクのオーダーにも対応出来る様にもなっている。 因みに注文用のメモには各商品の名前が記載されていて、「正」の字を書けばいいだけになっているので大助かりである。各席の厨房側にメモを挟めるようにピンが付いていて、すぐに調理にかかれるシステムだ。 渚がメモをじっくり読み込んでいると「特製・辛辛焼きそば」の文字が。渚「シューゴさん、これ・・・。」 渚がメモ用紙の「特製・辛辛焼きそば」の箇所を指差しながら聞くと、シューゴは懐から看板らしき板を取り出した。シューゴ「そうそう・・・、これは私からの開店祝いです。それとこれからは渚さんにお教え頂いたあの焼きそばを新メニューとして取り入れる事にしました。」 シューゴがプレゼントの看板を裏返すと、全体的に黒の背景に赤い文字で「新メニュー 特製・渚の辛辛焼きそば」と書かれていた。右下には唐辛子や辛子マヨネーズの絵が描かれている。渚「いつの間に・・・、それに私の名前入りで・・・、良いんですか?」シューゴ「勿論です、渚さんの拘りのお

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