Se connecter-190 優先すべきは店舗か個人か- 自分の屋台と同じチェーン系列である1店舗のオーナーである好美のまさかの行動に慌てて『念話』を飛ばした、別の店舗に食材を探しに行けば良いじゃ無いかと俺は個人的に思ったのだがこのまま国王を待たせたままだと「暴徒の鱗」の信用を落としかねないし何より好美の為にならない。しかし今の好美には仕事を忘れて折角の卒業旅行を楽しんで欲しい、一先ず理由及び動機を聞いてみる事にしてみた。渚(念話)「好美ちゃん、どういう事なんだい。バルフでこんなに食材を買い占めてどうするつもりなんだい?」 いち経営者として、そして先輩として好美のこの行動は許す訳にはいかない。しかし好美サイドにもそれなりの理由があって・・・、欲しかった。好美(念話)「え・・・、何の事ですかぁ~?」渚(念話)「あんたね、いくら「ビル下店」を好きな様にしていい権利を有しているからってこれはあんまりじゃないのかい?店の皆がびっくりしちゃうじゃないか。」 確かに好美は「ビル下店」のオーナーであるがその様な権利をいつの間に持っていたのだろうか、ただ先日の「鮪1本事件」と「大量の白菜・胡瓜事件」という前科があるので流石にイャンダやデルアもこの様な事態は懲り懲りだと思うはずだ。可能であれば買い占めた大量の食材を突然店内に出現させて驚愕させるという事態は未然に防いでおきたい。渚(念話)「何だい・・・、もう出来上がっちゃってんじゃ無いか。なのに酒を中心に買い占めているだなんて改めて聞くけどどういう了見なんだい?」好美(念話)「いや・・・、店を出た後に適当に何処かで呑もうかと思いまして。」渚(念話)「まさか・・・、あんた個人的な吞みの為に買い占めたのかい?ここは一応業務用食材の店なんだから私が来るって思わなかったのかい?」 こんなに買い占めてどうやって運ぶつもりなんだろうか、どう考えてもカペンには乗りそうにもない量なのだが今はそれ所では無い。冷静な表情をしながら好美の隣で2人の『念話』を聞いていた守が割って入って来た。好美(念話)「ネフェテルサ王国のゲオルさんの店で買って『転送』か『アイテムボックス』を使えば・・・。」守(念話)「すみません渚さん、こいつ最近酔ったら馬鹿買い癖が出てしまう様になっちゃうんですよ。この前も八百屋さんから「暴徒の鱗」の名前でピーマンを馬鹿みたいに買い占
-189 必要なのは人同士の繋がり- ただただ呆然と立ち尽くすロラーシュを横目に、「バルフ酒類卸」にて一般客が利用する表側の小売り用の店舗とは打って変わった様に薄暗い倉庫の部分へと渚はゆっくりと進んで行った。ロラーシュ「お姉さん・・・、ここ私達は入って良い場所なんですか?」渚「大丈夫だって、私は以前からここで屋台の食材を仕入れているんだ。それに表向きの店舗はつい最近出来た場所で元々はこんな倉庫だけでの営業だったんだ。」 と言うよりこの世界では渚の屋台以外にもあらゆる外食産業の店を経営する会社達が必ずと言って良いほどこのお店との付き合いをすると言っても過言では無い、その為に先程赤鬼が言った「倉庫」には酒は勿論だがあらゆる食材が取り揃えられていた。 ロラーシュがきょろきょろと辺りを見廻す中、2人に向かって男性の声がした。男性「「倉庫」とは何ですか、可能な限り多くの食材等を取り揃えるのに予算をつぎ込むために敢えて施設をこの様にしているんです。」 突然の声に驚きを隠せない2人は焦りながら声の方へと振り向いた、まだ焦りが残っていたのか2人の息は少し荒くなっていた。渚「誰なんだい、全く気配を感じなかったよ。」男性「すみません、ごく偶に癖が出ちゃうんです。狭い店の中で『瞬間移動』を使うなって友人にいつも怒られているんですが。」渚「まぁ私も人の事を言えた立場じゃないから構わないさね、歩くのが面倒な時ってつい『瞬間移動』に頼っちゃうんだよね。」男性「あらま、気が合いますね。ネクロマンサーか何かで?」渚「ただの転生者だよ、ネクロマンサーって何なのかを全く知らないって言ったら嘘になるけどね。」 「転生者」という言葉を聞いた男性は薄暗い中で渚の赤い髪と相も変わらず男勝りな姿を見た後、必死に何かを思い出そうとしていた。男性「あの・・・、恐れ入りますがもしかしたら赤江 渚さんではないですか?」渚「あらま、私も有名になったもんだねぇ。」 因みに普段渚には別の店員が対応しているので2人には全くもって面識が無かった、ただどうして男性は渚を知っていたんだろうか。渚「ただどうして私の事を知っているんだい?生前から雑誌とかの取材なんて受けた覚えなんて無いんだけどね。」 確かに生前の渚は表向きではただのOLだったから思い当たる節など無い、それにこっちの世界でも八百屋の仕
-188 大丈夫?- 改めて食材リストを睨みつける渚はあまりにも高額だった為に再び震えていた、これだと今日の経費を全部使うどころか数日分の売り上げを返上しても払える訳が無い。渚「あんたね、うちは見ての通り屋台の拉麺屋だよ。こんな大金払える訳が無いじゃ無いか、いくら後で返金があるって分かっていても買い出しになんて怖くて行けないよ。」 確かに渚が言っている事は正論ではあるが転生者達は元から1京円の資産を与えられているはずなので問題無いがやはりいち経営者としてしっかりとした話し合いをすべきだと簡単に引く訳に行かない様だ、きっと王城からの信用を得て売り上げのアップを見込んでいるのだろう。デカルト「では予算を王城の方から先に出しておきましょう、渚さんは後から御釣りと領収証を渡してくれればそれでいいですので。」 冷静に考えていればデカルトの言う通りだ、しかしその方法だと王城の使用人を買い出しに出せば良いだけなので渚が良く必要性は皆無となる。ただこれは王城と屋台の両方が絡んだ話なので双方でしっかりと話しをつけるべきだと言えるし、俺としては全ての責任者をロラーシュにするべきだと思うのだが。渚「ロラーシュを預かる身とすればやはり王城からの信頼にちゃんと答えないといけないじゃないか、私だって1人の経営者である前に人間なんだからね。」デカルト「すみませんね、ではこちらのお金でお願いします。」 ただ屋台に予算が無いのは事実だ、デカルトの言う通りに王城(と言うよりデカルトのポケットマネー)から予算を受け取って買い出しに行く事にしたが実はそれ以上の問題が浮上していた。 長々とした国道を進む中、渚はロラーシュの運転する軽バンの助手席で渚は1人頭を抱えていた。渚「参ったね・・・、買い出しに行くったってもこんな高級食材を扱う店なんて何処にあるってんだい。ただでさえ店の無いダンラルタ王国だってのにどうすれば・・・。」 そんな店主に運転しながらも横から小声で話しかける大臣。ロラーシュ「あの・・・、今はバルファイ王国なんですけど・・・。」渚「あんたは余計な事を言ってんじゃ無いよ!!」 ただでさえイラつく渚、そこに一言告げるのは火に油を注ぐ様な物だと思われるのだが渚は深呼吸して冷静になった後に腕組みしながら考えていた。渚「あんた、今さっき「バルファイ王国」って言ってなかったか
-187 拘っているが故に- 大臣の無責任な行動と発言に怒りがピークに達した国王はロラーシュを自宅謹慎処分にしようとしたがそれは流石に渚が許さなかった、屋台で修業をしている時のロラーシュの表情を一番間近で見ていた店主はぐんぐんと伸びる本人の実力を認めていたし買っていた。渚「待っておくれ、国王様の気持ちは分かるけど私はどうなるんだい。もうすぐ自分の店を持てるまでの所までやっと来れたんだから最後までやらせてあげてくれないかい?」デカルト「渚さん、これは王城内での話なんです。申し訳ありませんがもう少々お待ち頂けませんか。」 大臣に対する怒りを露わにしつつもお世話になっている渚への敬意を忘れない国王、やはり何よりも国民を大切にしたいという信念が垣間見える。ランバル「あの・・・、私が聞いて良いのか分かりませんが兄のお店はどうされるおつもりなんですか?」 これに関してはロラーシュ本人も知らなかった様だ、正直腹が立って仕方が無いがそれが故の今回の行動だと思うと納得がいく。デカルト「こうなってしまっては仕方がありませんね・・・。」 国王が深くため息をついて落ち着きを取り戻して飲み水を求めたので素直に従うランバル、今自分に出来る事はきっとこれしかないと言わんばかりの様子と言った所か。デカルト「ふぅ~・・・、ありがとうございます。さて、本題に入りましょう。確かにロラーシュには拉麵屋の修業をして来る様に申し上げたのは他でも無く私であります、しかしこんなに早く事が進んでしまうと思いませんでしたので新店の建設を未だ行っていなかったのです。実は王城の脇に随分前から使っていなかった物置代わりの平屋があるのですがそちらを改装して拉麵屋にしようと考えていたんです、しかし拉麵屋の修業は困難な物だとお伺いしておりましたのでまだ建設業者を呼んでいなかったのです。それが故に店の完成予定も未定でしたのでしびれを切らしたロラーシュの下に弟さんのお店の情報が入って今回の騒動になってしまった様です、本当に申し訳ございません。」 改めて水を1口飲んだ後に深々と頭を下げる国王に物怖じしてしまう洋食屋の店主、まさか自分の夢だった店の開店が本当に国王を巻き込んでしまう騒動に発展してしまうとは思いもしなかった。デカルト「あの・・・、恐れ入りますがお店の従業員は採用されているんですか?」 確かに店を開
-186 普段優しいコッカトリスは怒ると怖い- 好美にこれ以上飲まれてたまるかと言わんばかりに焦った様子で手に持っていたコーラを一気に口にした守は国王の前だという事にも関わらず大きなゲップをしてしましった、第三者として様子を見ているだけの俺からすれば原因は好美にあるのか守にあるのかが分からない。しかし仲睦まじい恋人達の様子を見ていたデカルトは好美を乗せて地上に降り立った後にただただ笑うだけだったが顔が引きつっていない事を願うばかりであった。守「王様、大変失礼致しました。申し訳ありません。」 頭を深々と下げて謝る守、それに対して腰の低さに定評がある国王は全てを笑って許してくれた様だ。デカルト「ハハハ・・・、楽しそうで何よりじゃないですか。私も学生時代に妻と付き合っていた頃の事を思い出してしまいましたよ。」 デカルト達の学生時代が何年前の話なのかは全くもって想像がつきそうにも無かったが今はハッキリ言ってどうでも良い話だ、と言うよりあんたらここには遊びに来た訳じゃ無いだろう?守「分かってるよ、好美がいけないんだぞ。ずっと王様の背に乗って遊んでいたから。」デカルト「まぁまぁ守さん、良いじゃないですか。誰だって何もかもを忘れて無邪気に楽しみたい時だってあるはずです、今回は私の顔に免じて許してあげて頂けませんか?」守「王様がそう仰るなら・・・。」 致し方なく好美を許した守、でも心中はずっともやもやしているままだった。デカルト「一先ず入りましょう、このままだと大臣の弟さんに迷惑をかけるだけですから。」 店に何の用事も無い訳では無いがこのままだとただの迷惑駐車だ、早く店に入った方が賢明だと皆が思うだろう。好美「分かったよ・・・、早くこの問題を解決して旅行に戻りたいもん。」 ビジネストークをしている時が多いので2人がまだ卒業旅行の最中だった事をついつい忘れてしまっていた俺、作者からすれば恋人達にはもっとほのぼのとした異世界ライフを楽しんで欲しいのだがそうは問屋が卸さないらしい。 そんな中、店の中からずっと様子を伺っていたランバルは店にも入らずにずっと遊んでいる者達にしびれを切らして外に出て来た。ランバル「あの・・・、うちの店の前でずっと何をされているんですか?」デカルト「すみません、本当はすぐにお店の中に入ろうと思っていたのですがついつい楽しくなって
-185 店には着いたけど・・・- ダンラルタ王国にて連なる山々を眺めながら国王の背で笑顔を見せる好美は美しい景色によりすっかり空腹を忘れてしまっていた、これは台風が来かねない位の事態と思われたが今はそれ所ではない。しかし、2人共に(?)今から向かう目的地における問題の当事者では無いのでゆったりとした空の旅を楽しみながらずっと笑い合っていた。ただ転生者達、いや住民達にとっての貴重な経験は長くは続かなかった。守「王様、こちらです!!非常に申し上げづらいのですがずっとグルグルと回ってないで降りて来て頂けませんか?」 いつの間にか目的地についていた事に気付いていないフリをしていたデカルトは後ろを追う守達が来るまで好美に特別サービスを行っていた、どうやら王城で延々と家事をこなしていた為に外で遊びたかった様である。デカルト「すみません、お気遣い感謝致します。すぐに降り・・・、へ?」 突如好美に背中を数回タップされた国王は好美へ耳を貸す事にした。好美(小声)「あの・・・、敢えてずっと旋回を続けて頂けませんか?もう少しだけ遊びません?」デカルト(小声)「貴女も悪いお方ですね、彼氏さんを無視しちゃって大丈夫なんですか?」好美(小声)「折角の旅行なんでもう少しだけ楽しみたくて、駄目ですか?」 好美の質問に優しく微笑みながら返答したデカルト。デカルト(小声)「ハハハ・・・、好美さんが良いなら私は構いませんよ。それにしても折角のご旅行中に私共の大臣がご迷惑をお掛けして申し訳ありません、お詫びと言ってはなんですがサービスさせて頂きますね。」好美(小声)「私自身は大丈夫です、ランバルさんには悪いですけどお陰でそれなりに楽しませて貰っていますので。」 そう言うと速度を上げて空中を旋回するデカルト、何処からどう見ても好美の悪戯心による行動だという事が分かる。地上から2人の様子を見ていた守はため息をつきながら好美に『念話』を飛ばした、元の世界にいた頃と合わせたらこういった放置プレイは何度目だっただろうか。守(念話)「好美、勘弁してくれよ・・・。それにその人国王様だろ?大丈夫なのか?」好美(念話)「良いじゃん別に、本人が「良い」って言ってくれたんだから。」守(念話)「だからって他の人を待たせたら駄目だろ、特に渚さんに変なイメージを持たれたらまずくねぇか?」 時すでに
-117 笑顔を呼ぶ甘味とレストランの裏側- 危うく修羅場になりかけたその場を治めたのはやはり真希子だった、もう守1人の母親ではなく転生者全員の母親役を担っていると言っても過言では無い。真希子「こらこら、あんた達はこんな所で何を始めようとしているんだい。あんたらの言い争いは好美ちゃんの部屋で終わったんだろう、ここではもうやめないか。」 守が好美の自室に引っ越して来た時から、実は2人の様子をずっと『察知』していた真希子。やはり母親としては1人息子の事が心配なのだろう。好美「いや・・・、だって・・・。」真希子「「だって」じゃないの、2人共互いの事を理解し合った上で同棲を始めたんじゃない
-114 本当の理由と記念日- とにかく結愛は真希子に頭が上がらなかった、言い出したら聞かない(思い立ったら即行動派)の性格だからという事もあるが、やはり貝塚財閥の筆頭株主なので実質、会社の実権を握っているのが真希子だという方が大きな理由だろう。ただ筆頭株主であるが故にあの「最悪な高校時代」が幕を閉じるきっかけとなったあの緊急株主総会で真希子が貝塚財閥や貝塚学園を義弘の魔の手から救ったのも事実なので、結愛は真希子にずっと感謝していたのだ。 そんな中、2人が今いるレストランの副店長でもある筆頭株主はずっと会社の事で頭を抱える社長に切望する事が有った。真希子「結愛ちゃん、あんたね、折角の祝
-112 スイーツは別腹と話のきっかけ- 街の中心部で1番大きなビルの所有者、そして15階建てのマンションの大家は会場にある全員の為にスライムが丹精を込めて作ったケーキを半分程食べ尽くしてしまったが故にその場に倒れ込んでしまった。はっきり言って自業自得・・・。真希子「好美ちゃん、いくら「デザートは別腹」とは言っても酷すぎやしないかい?ちょっとは周りの皆の事も考えなよ。」 恋人の母親に正論を言われてシュンとしてしまった好美から少し離れた所から、再び歓声が沸き起こった。何があったのだろうか。ナルリス「私の予想通り、こう言う事もあり得ると思っていたのでプルちゃん本人にお願いしてあちらのケー
-110 憧れの人物に抱く「イメージ」- 美麗はとにかく嬉しかった、元の世界にいた頃から憧れていた結愛が自分の事を見てくれていた事を。一番嬉しい形で努力が報われた瞬間、一生に一度来るかどうかも分からない瞬間。結愛「美麗って優秀なデザイナーとしても活躍していたんだろ?実は読者モデルとして共演出来たら良いなって思っていたんだよ、会社でも管理職だったんだろ?十分主任として働いてもらえる根拠になるぜ。」 過去、実家や喫茶店で会う事はあったが職場での話をしたのはあっただろうか。しかし着眼点はそこでは無い、実は美麗には密かに夢見ていた事があった。美麗「結愛・・・、いつか私のデザインした服を着てみ