Share

第111話 現場を知るために

Penulis: 花柳響
last update Tanggal publikasi: 2026-01-23 18:00:16
 奏くんはもう、こちらを見ていなかった。私も資料を開く。さっき話していた未来へ行くためには、今日、自分の言葉で答えなければならない。

 とにかく、強力なライバルの出現に、私の就職活動は波乱の幕開けを迎えることになったのだった。

 面接会場のビルを出た頃には、冬の陽はすでに西の空へと傾きかけていた。

 極度の緊張から解放された身体は鉛のように重いけれど、胸の奥には確かな熱が残っている。

「……終わったぁ」

 大きく伸びをすると、冷たい空気が肺いっぱいに満ちた。

 隣にいた奏くんは、「少し頭を冷やしてくる」と言って、近くの大型書店へと消えていった。

 彼なりのクールダウンなのだろう。去り際に見せた、今までになく晴れやかな横顔が印象的だった。

 私はといえば、ふと、ある場所へ足が向いていた。

 私のもう一つの居場所であり、大切な後輩がいる場所。

『Caffe Felice』だ。

 輝くん、プレゼンどうだったかな。そろそろ終わってる頃かも。

 スマホを取り出すが、輝くんからの連絡はない。

 まだ戦いの最中なのかもしれない。

 邪魔をしてはいけないと思い、私はそのまま
Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi
Bab Terkunci

Bab terbaru

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   最終話 写真の中のヒロイン

     (……感動してくれてるんだ。嬉しいな)  そう思った瞬間だった。  私の脳内で、長らく休眠状態にあった『腐女子フィルター』が、カチリと音を立てて誤作動を起こした。  世界が、歪む。  待って。  あの涙の意味は、本当に純粋な「祝福」だけなのだろうか?  奏くんが、輝くんを見る目。  どこか悔しげで、それでいて相手の実力を認めざるを得ないといった、複雑で熱っぽい感情が入り混じった眼差し。  陽翔くんが、輝くんを見る目。 「先を越された」という男としての敗北感と、それでも「あいつなら任せられる」という友情、そして断ち切れない切なさが同居した濡れた瞳。  そして、輝くんが二人に向けて送った、勝ち誇ったような、けれど揺るぎない信頼に満ちたアイコンタクト。  (……はッ!!)  脳天に電撃が走った。  もしかして。  もしかして、これは『ライバル×輝』の……。  そこまで考えて、私は唇を噛んだ。違う違う。今、自分の結婚式ですから。披露宴の席順で相関図を作っている場合じゃありません。  奏くんも陽翔くんも、私に気持ちを伝えてくれた。その言葉を、都合のいい筋書きに書き換えたくはなかった。  目が合った奏くんに、小さく頭を下げる。陽翔くんは泣いたまま、くしゃくしゃの笑顔で手を振ってくれた。 「……し、栞?」  隣で輝くんが、不審そうに私の顔を覗き込んだ。  奏くんと陽翔くんを見ていた時間が、思ったより長かったらしい。私は慌てて、隣に立つ彼へ向き直った。 「……ううん。なんでもない」  輝くんはまだ少し疑わしそうだ。分かってます。その顔をされても仕方ない人生でした。  私は言い訳を探すのをやめ、自分から彼の手を取った。 「輝くん。私、今、すごく幸せ」  彼の目が、ふっと和らぐ。それを見たら堪らなくなって、背伸びをして頬に口づけた。すぐ近くから歓声が上がり、そこでようやく会場中に見られていることを思い出す。 「あ、いや、今のは……!」 「取り消しはなし」  輝くんが笑い、私の腰を引き寄せる。今度は目を逸らさずに、その顔が近づくのを待った。  カラン、カラン、と祝福の鐘が高らかに鳴り響く。  青空に吸い込まれていくフラワーシャワーの中で、私は輝くんの腕の中にしっかりと抱きしめられていた。その体温が、私を確かな幸福の中心に繋ぎ止

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第143話 誓いの口づけ

     父の手から輝くんの手へ、私の手が託される。  触れた輝くんの手は、大きくて、温かくて、そして少しだけ震えていた。 「……待ってたよ、栞」  彼が誰にも聞こえないほどの小声で囁く。  その声の響きに導かれるように、私は彼の隣に並んだ。  牧師様の言葉が続き、私たちは誓いの言葉を交わす。  指輪の交換。  私の左手の薬指に、ひやりとした金属の感触と共に、永遠の約束が滑り込んでくる。  そして。 「それでは、誓いのキスを」  牧師様の言葉を合図に、輝くんがそっとベールを上げる。  隔てるものがなくなり、至近距離で見つめ合う。  彼の瞳の中に、緊張で強張った私の顔が映っている。 「……愛してる」  唇が触れ合う直前、彼が音のない言葉でそう言ったのが分かった。  私も、心の中で答える。  私も、愛してる。世界で一番。  チュッ、と柔らかい音がして、唇が離れる。  その瞬間、会場中から割れんばかりの拍手が巻き起こった。  私たちは皆の方へと向き直る。  色とりどりの花びらが舞うフラワーシャワーの中、たくさんの笑顔が私たちに向けられていた。  最前列には、見慣れた、そして大好きな顔ぶれが揃っている。  まずは、氷室奏くん。  彼は今、売れっ子のゲームシナリオライターとして第一線で活躍している。私と同じ会社に所属し、時には喧嘩し、時には背中を預け合いながら、一緒にゲームを作り上げている戦友だ。  今日の彼は、隙のない礼服姿で、眼鏡の奥の瞳を和やかに細めてこちらを見ていた。その表情はどこまでも穏やかで、まるで手のかかる弟と妹の晴れ姿を見守る兄のようだ。  その隣には、七瀬陽翔くん。  彼は大学卒業後、厳しい修行期間を経て、念願だった自分のカフェをオープンさせた。今では雑誌やSNSに取り上げられるほどの人気店のオーナーだ。  相変わらずの人懐っこい笑顔で、大きく手を振ってくれている。「先輩、おめでとう!」という口の動きが見えた。  そして、乃亜の隣には……まさかの人物。  西園寺エリカ様だ。  彼女はあれから、持ち前の驚異的なバイタリティと深いオタク知識を武器に、なんとイベント運営会社の社長になっていた。  今日の彼女は、いつもの真紅のドレスではなく、上品なシャンパンゴールドのドレスを身に纏い、扇子で口元を隠しながら優雅に

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第142話 扉の向こうの彼

     そして今日、私たちは誓いを立てる。  多くの人に見守られ、祝福されながら、これからの人生を共に歩んでいく約束を。  コンコン、と厚い扉越しに控えめなノックの音が響いた。 「失礼いたします。……新婦様、そろそろお時間です」  式場スタッフのよく通る声に、心臓が跳ね上がる。  いよいよだ。 「よし。行ってきなさい、栞」  乃亜が私の背中をバン、と景気よく叩いた。  少し痛いくらいのその衝撃に、竦みかけていた足に力が戻る。私は肺いっぱいに空気を吸い込み、深く吐き出した。 「うん。……行ってきます!」  ずしりと重いドレスの裾を爪先で蹴り上げ、私は控室の扉を押し開けた。◇ チャペルの大きな扉の前。  父の腕に手を添えながら、私は震えそうになる膝を必死に叱咤していた。  この扉の向こうには、たくさんのゲストたちが待っている。  大学時代の友人たち、会社の同僚、輝くんの仕事関係の方々。  そして何より、私たちがここに辿り着くまでの道のりを、時に厳しく、時に温かく見守ってくれた、かけがえのない仲間たち。 「栞。……綺麗だぞ」  隣で父が、少し湿っぽい声で囁く。  普段は無口で不器用な父の、絞り出すような言葉。危うく涙腺が緩みそうになり、私はぐっと奥歯を噛み締めて堪えた。  今泣いたら、時間をかけて作ってもらったメイクが台無しになってしまう。輝くんに、一番綺麗な私を見てもらいたいから。  厳かなパイプオルガンの音色が、高い天井に響き渡る。  重厚な扉が、ゆっくりと左右に開かれていく。  溢れ出すまばゆい光。  そして、視界いっぱいに飛び込んでくる、祝福の拍手と温かな笑顔の海。  まっすぐに伸びるバージンロードの先、祭壇の前で待っているのは、白のタキシードに身を包んだ私の最愛の人。  天王寺輝。  彼と目が合った瞬間、周りの景色からふっと色が抜け落ちたような気がした。  彼だけが、鮮やかに、圧倒的な存在感を持ってそこに立っている。  (……かっこいい)  付き合い始めてもう何年も経つのに、未だに彼の姿を見るたびに胸が高鳴ってしまう自分がおかしい。  今日の彼は、いつにも増して「王子様」だった。  仕立ての良いタキシードを完璧に着こなし、綺麗に整えられた茶色の髪が光を弾いている。そして何より、私を見つめるその瞳。蕩けるよ

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第141話 ドレスに包まれて

     あれから、いくつもの季節が巡った。  窓の外には、目に痛いほどの新緑が広がっている。初夏の陽気を含んだ風が、木々の葉を揺らす音が聞こえてくるようだ。  雲ひとつない突き抜けるような青空の下。  私は今、人生で一番高いヒールの上に危なっかしく立ち、人生で一番重たい布の塊に全身を包まれて、人生で一番強張った顔で鏡と睨めっこをしていた。 「……うぅ、苦しい。ねえ乃亜、これちょっとコルセット締めすぎじゃない?」 「何言ってんの。一生に一度の晴れ舞台でしょ? 内臓の位置なんて気にしてる場合じゃないって」  私の背後で、親友の神崎乃亜がテキパキとドレスの裾をさばいている。  今日の彼女はブライズメイドとして、淡いレモンイエローのドレスを身に纏っていた。相変わらずの切れ長で美しい瞳と、凛とした立ち振る舞い。主役の私の方が霞んでしまいそうなほどの美人っぷりだ。 「ほら、できた。……うん、悪くない」  乃亜が満足げに頷き、私の背中を鏡の方へとぐいと押した。  そこに映っていたのは、純白のウェディングドレスに身を包んだ、見知らぬ誰かのような自分の姿。  繊細なレースが鎖骨のラインを縁取るオフショルダー。ふわりと空気を含んで広がるAラインのスカートには、無数の小花が散りばめられ、動くたびにさざ波のように揺れる。プロの手によって丁寧に編み込まれた髪の上には、照明を受けてキラキラと瞬くティアラが鎮座していた。 「……私、本当にお嫁に行くんだね」  鏡の中の自分と目を合わせ、ぽつりと漏らす。  なんだか、足元がふわふわとして実感が湧かない。まるで、スクリーンの向こう側で繰り広げられる物語を、客席から眺めているような不思議な浮遊感がある。 「何寝ぼけたこと言ってんのよ。ここまで来て夢オチでしたなんて言ったら、私が許さないからね」  乃亜が呆れたように笑い、私の肩にぽんと手を置いた。  その掌から伝わる確かな体温と重みに、ようやく少しだけ、ここが現実なのだという感覚が戻ってくる。  そう。今日は、私の結婚式だ。  机を紙で埋め、送信ボタンの前で固まっていた日が、今も時々夢に出てくる。二次募集で内定をもらった『株式会社アルカディア・ワークス』で、私は今、プランナーとして走り回っている。好きだけでは済まないことばかりだけれど、会議に出す企画書の最初の読者は、相変

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第140話 祭りの帰り道

    「え? うん、いいけど……」  三人は私から少し離れた、広場の片隅へと歩いていく。  夕陽を背にして立つ三つのシルエット。  何か重要な話をしているようだけれど、ここからでは風に流されて声は聞こえない。  胸騒ぎがする。  でも、不思議と不安はなかった。  彼らの背中から漂う空気が、決して険悪なものではないと分かっていたからだ。  しばらくして、話が終わったのか、三人がこちらへ戻ってきた。  その表情は、どこか吹っ切れたような、清々しいものだった。 「……終わったよ、栞」  輝くんが戻ってきて、再び私の手を取る。 「何の話だったの?」 「ん? ……男同士の、秘密の話」  彼は悪戯っぽく笑って、教えてくれなかった。  奏くんと陽翔くんを見ると、二人は何かを納得したように、満足げな顔でこちらを見ていた。 「……月詠。俺は先に行く」  奏くんが、私に近づいてくる。  そして、そっと手を差し出した。 「え?」 「握手だ。……今日の記念に」  戸惑いながらも手を出すと、彼は私の手をギュッと強く握りしめた。  その手は意外なほど熱く、そして優しかった。 「……幸せになれよ」  ボソッと呟かれた言葉に、目頭が熱くなる。 「奏くん……」 「それと、天王寺」  奏くんが輝くんへ向き直った。 「式の日取りが決まったら、早めに知らせろ。仕事を空ける」 「……ああ」 「さっきも言ったが、知らせるのは月詠任せにするなよ」  輝くんが頷いた。その顔を見届け、奏くんは鞄を肩に掛け直した。 「じゃあな」  奏くんはひらりと手を振り、雑踏の中へと消えていった。 「俺も帰ります!」  陽翔くんが元気よく手を挙げる。 「先輩! またバイトで!」 「うん、お疲れ様!」 「あ、輝先輩。……約束、忘れないでくださいね」  陽翔くんが意味深な言葉を残し、輝くんに拳を突き出す。  輝くんも拳を合わせ、コツンとぶつけ合った。 「ああ。分かってる」  陽翔くんもまた、笑顔で去っていった。  二人を見送った後、私は輝くんを見上げた。 「……ねえ、本当に何の話だったの?」 「内緒」  輝くんは人差し指を唇に当て、ウィンクする。 「式の話をされた。……あいつら、来てくれるって」 「え……」 「ちゃんと招待状、送ろうな。……二人で

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第139話 彼女からの言葉

     会場の外へ出ると、空は茜色に染まっていた。冷たい風が頬に触れ、ようやく自分がどれだけ泣いたか分かる。  入口から少し離れた場所で輝くんが手を挙げた。隣には奏くんと陽翔くんもいる。私はエリカ様とそちらへ向かい、まず輝くんの前で足を止めた。 「一緒に来てくれて、ありがとう」  彼は一瞬驚き、それから笑った。 「うん。楽しそうだったね、栞」  差し出されたハンカチを受け取ると、私の手ごとそっと握られた。 「物語もよかったけど。あとで栞が何を話すか、そっちが楽しみだった」  また泣きそうになってしまう。舞台の二人に感動した気持ちを、この人に話したくてたまらなかったことまで、見抜かれた気がした。 「……長くなるよ?」 「知ってる」  後ろから陽翔くんがティッシュを差し出す。 「先輩、まず鼻。話す前にそっちです」 「う、うるさいっ。これは感動の涙なの!」  笑いながら受け取ると、奏くんが静かに眼鏡をかけ直していた。その目元も少し赤い。からかう気にはなれず、私は何も言わずにティッシュの袋を差し出した。 「ふぅ……。魂が浄化されましたわ」  エリカ様が、満足げに溜息をつく。  その顔は憑き物が落ちたように晴れやかで、いつもの棘々しさが嘘のようだ。 「ええ。……最高のイベントでした」  奏くんも頷き、受け取ったティッシュをそっとポケットへ収めた。 「また、イベントがあったらご一緒しましょうね、同志よ」  答えようとした時、彼女が扇子を閉じた。 「その前に。……あなたに、謝らなくてはならないことがありますわ」  急に改まった声に、私も背筋を伸ばした。 「あの日、召使いだの、平民だのと。知らない方を、あんなふうに呼ぶべきではありませんでした」  彼女は私を見ていた。言葉を急いで継ぎ足すことも、笑い話にすることもなかった。  あの日の痛みが少し戻った。それでも、今日、隣で同じ台詞に泣いた人の顔を、私はもう知っている。 「……嫌でした。あれは」 「ええ」 「でも、今日は楽しかったです。また、一緒に見たいと思いました」  エリカ様が小さく息を吐いた。扇子を持つ手が、胸元から下りる。 「……では、次の抽選も、二人で申し込みましょう」  私とエリカ様は、固い握手を交わした。  かつての恋敵が、今や最強のオタク仲間。  人生、何が起

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第70話:最強のライバル令嬢・エリカ登場②

    「……新しい召使い?」 エリカ様のその言葉が、秋の冷たい風に乗って私の鼓膜を震わせた。 普通なら、ここでショックを受けたり、怒ったり、あるいは自分の不甲斐なさに俯いたりする場面なのだろう。ヒロインなら「そんな、ひどい……」と涙を浮かべ、ヒーローが「彼女に謝れ!」と怒鳴るのが王道の展開だ。 けれど、今の私の脳内は、それどころではなかった。 エリカ様の後ろで、微動だにせず控える執事さん。その、主人の一挙手一投足を、まるで精密機械のように見守る瞳。彼女が不機嫌そうに扇子を広げれば、絶妙なタイ

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第69話:最強のライバル令嬢・エリカ登場①

     ゼミ合宿という名の、私の人生史上最大かつ最も高密度な逆ハーレム・イベントから戻って数日が経った。 大学のキャンパスを吹き抜ける風は、ほんのりと秋の気配を孕み始めている。けれど、私の首筋に残った微かな熱——輝くんが刻んだ、あの独占欲の証——は、どんなに冷たい風に晒されても消えてはくれなかった。 鏡を見るたびに顔が火照り、指先でそこをなぞっては、あの嵐の夜の、彼の熱い吐息と低い声を思い出してしまう。「(……ダメ、落ち着け月詠栞。日常に戻るんだ、日常に。私は壁、私は空気、私はただの

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第68話:ライバル協定締結③

     翌朝。 小鳥のさえずりと、窓から差し込む眩しい朝日で目を覚ました。けれど、体を起こそうとして異変に気づく。 重い。物理的に、体が動かない。「…………え?」 恐る恐る目を開けると、そこには絶句するような光景が広がっていた。 右腕を枕にして、天使のような寝顔で眠る輝くん。 私の肩に頭を乗せ、眼鏡をずらして幼子のように眠る奏くん。 そして足元では、私の太ももにしがみついて「むにゃ……」と寝言を漏らす陽翔くん。 (ぎ

  • 攻略対象は私じゃない! ~腐女子が神視点で推しカプ見てたら、いつの間にか逆ハーレムの中心にいた件~   第67話:ライバル協定締結②

     どれくらい眠っていただろうか。 ふと、意識の端が浮上した。まどろみの中で聴覚だけが鮮明に世界を捉える。 雨音はいつの間にか止み、深い静寂が満ちていた。その静止した世界に、ぽつり、ぽつりと、低い話し声が落ちてくる。「……寝たか」「ああ。……穏やかな寝息だ」「すげえ無防備な顔。……襲っちゃいたいくらい可愛いっすね」 おどけた調子の中に、隠しきれない熱を含んだ陽翔くんの声。 私は動くタイミングを完全に失ってしまった。私の寝顔を

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status