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14.誘う灯

ผู้เขียน: 中岡 始
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-09-06 09:58:19

夜の帳がゆっくりと桂木邸に降りるころ、彰人はそっと私室の扉を閉めた。外の廊下とは区切られた空間が、その一枚の襖の向こうにある。行灯の光はまだともされておらず、室内は淡い闇に包まれている。白檀の香炉を幾筋か焚き、ゆらりと上がる香気が障子の紙を揺らす。呼び名を待つように、沈黙が静謐の色を添えていた。

彰人は障子をそっと開き、外の空気を室内に取り込む。夜の空気は湿り気を含み、白檀の甘さが混じり合って重く身体を覆う。襖の向こう、廊下には誰もいない。そこで、そっと女中を呼び寄せた。

「すぐに、書生さんをお呼びしてください」

声は平静だった。だが内側では、鼓動が跳ねている。震えることなく命じた姿勢の奥に、期待と緊張が潜んでいた。女中は軽く頭を下げ、静かに立ち去っていく。扉の隙間からかすかな灯りが廊下へもれている。女中の足音はごく小さく、やがて遠ざかって消えた。

室内に再び残されたのは、白檀の香と胸の奥を撫でる鼓動だった。彰人は一歩床を踏みしめて、行灯の元へ進む。行灯の芯を整え、火を灯す。揺らりと灯る炎は、はじめ弱く、やがて安定した光を放った。畳の目が柔らかな光で浮かび、障子に映る影が揺れる。行灯の明かりは、まるで小さな太陽のように、世界の重要な一点を照らしているかのような錯覚を添えた。

彰人は香炉へ近づき、白檀の香を一度深く吸い込んだ。胸の奥が、瞑りたくなるほど甘く熱くなった。いけないと思いながら、それが欲望の一端であることを自覚し、そのたび羞恥が頬を染めた。

行灯の隣には、小さな硯と半紙、筆が整えてある。その奥に、そっと椿油の瓶が置かれていた。夕べ整えた記憶とともに、指先がふとそちらへ伸びる。瓶の表面は冷たく、しかし内側から静かな熱をもっているように感じられた。灯の光に透けて、浅い琥珀色の液体が揺れていた。

彰人は瓶を静かに抜き、掌に少し取った。香りは、甘く湿っぽい。椿油を手に取り、そっと手首に、指先に、撫で含ませる。自分の身体の隅々に、この匂いが染み込んでいくようで、思わず吐息が漏れた。

その瞬間、襖の外で、静かな足音が近づいてきた。彰人は手を引き、姿勢を正した。行灯の光で背の輪郭が映え、緊張の陰影が深まる。

「お待たせしました…

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