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第6話

Author: やまごま
退院の日、諒は自宅でささやかな宴を開いた。

数人の栄養士が腕を競い、長いテーブルには色とりどりの料理がずらりと並んでいた。

背後からそっと近づいた彼の掌が、愛乃の腰に触れた。

「今日の料理は、全部君が先に味見してからじゃないと、誰も手をつけられない」

「気に入った一品を選んで、君の近くに置いておこう」

柔らかな声音だったが、愛乃の胸はもうときめかなかった。

ただ、手を引かれるまま会場の中へと歩を進めた。

姿を見せた瞬間、視線が一斉に彼女へ集まった。

楓は隅に追いやられていたが、その眼差しは愛乃を射抜くように離れなかった。

――かつては、自分もこういう場で主役だったのに。

今は、愛乃の「残り物」しか口にできないのか。

瞳に宿る冷たい光が溢れそうになったその時、栄養士が新しいデザートを運び込み、それを楓の隣に置いた。

カチン――

皿が触れ合う小さな音が、宴の空気を裂いた。

楓の前にあるミルフィーユの一角が、すでに欠けていた。

「麻生さん、奥様はまだ召し上がっていませんよ」

誰かがそう指摘した。

楓は落ち着いた様子でフォークを置いた。

「すみません、お腹が空いていて」

そして、ゆっくりと次の一切れを口に運んだ。

周囲にざわめきが広がった。

「この子、誰?」

「行儀も礼儀もない……」

「どうやって入ったんだ?」

場の空気が固まり、愛乃は疲れを覚えながら人混みをかき分けて進んだ。

「皆さん、どうぞご自由に……私は少し疲れたので――」

「あっ――!」

言い終える前に、なぜか楓と一緒にケーキの中へ倒れ込んだ。

起き上がった時、ドレスも髪も生クリームでべっとりと汚れていた。

「どうしたんだ?」

駆け寄った諒は、すぐにハンカチを取り出し拭こうとした。

しかし力が強すぎ、手の甲の針跡に触れた瞬間、愛乃は思わず声を上げた。

その声に眉をひそめた彼は動きを止め、ゆっくり楓へと顔を向けた。

「そんなに好きなら、このデザート作った栄養士、君にやる」

「解雇は禁止だ。三年間、毎日欠かさず食え。一日でも抜いたら……俺が直接監視する」

驚きの声があちこちから漏れた。

「これ、海外で三ツ星のミシュランシェフじゃない!?どうやって払うのよ!」

「泣きながら食べることになるんじゃない?」

楓の顔は徐々にこわばり、目を赤くして退席した。

――もし、諒が追いかける眼差しにあんな未練と心配がなければ、愛乃は芝居だと気づかず信じただろう。

力が抜け、席へ戻ろうとした瞬間、愛乃は彼に腕を引かれ人目のない場所へ連れて行かれた。

「どうしてあんなことで怒るんだ?子供じみた食い意地だけだろ」

「怒ってないわ」

その平静さが、かえって彼を苛立たせた。

「怒ってない?じゃあ、あれは何だ。あの場で彼女を懲らしめただけって言うのか」

愛乃は顔を上げ、彼の鋭い眼差しを見つめた。

そこには宴で見せた優しさの欠片もなかった。

「何を言ってるの?わざと彼女を巻き込んで転ばせたとでも?」

「監視カメラを調べてみて」

諒は眉をひそめた。

「俺は絶対に君を疑わない。だが愛乃、嫉妬まじりの小細工はやめろ。君らしくない」

彼の瞳に映る、自分の歪んだ影を見て、愛乃は急に滑稽に思えた。

――かつて「会いたい」と言えば十二の時差を飛び越えて来た男が、今は説明すら聞かない。

「私を信じていないのね」

それは問いではなく、静かな宣告だった。

ポケットの携帯が震え始め、諒は振り返りもせず車に乗り込んだ。

主役がいなくなり、宴は白けて終わった。

席に戻った愛乃は、ナイフとフォークを手に取り、無心に咀嚼し飲み込んだ。

二口、三口……

やがて吐き気に襲われ、トイレへ駆け込み吐いた。

便器に流れたのは、先ほどの料理とともに、感情を抑えるための白い錠剤だった――

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