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第30話

Auteur: フカモリ
片桐家の家柄は高く、かつて哲男は、ただ当主・由紀夫の運転手に過ぎなかった。

その後、自分でもいくらかの事業を興し、孫娘のために財産を築いたが、家柄が釣り合うはずもない。

だから今、信行に離婚を勧めるにあたり、哲男は彼の非を一切口にせず、孫娘のために一言の不満も漏らさず、責任を全て自分に引き受け、「わしが真琴をうまく躾けられなかった」と言う。

ここまで来て、誰が正しくて誰が間違っているかなど、もはや重要ではない。重要なのは、二人がこれから新しい生活を始め、お互いに苦しめ合い、傷つけ合わないことだ。

哲男が離婚を勧めるとは、信行は全く思ってもみなかった。

その言葉を聞き終え、向こうの自責の念が、遠回しに自分を辱めているようにしか感じられなかった。

なぜなら、この結婚において不誠実だったのは、自分の方だからだ。

たとえ強制された結婚であっても、夫としての義務と責任を果たしてこなかったのは、事実なのだから。

じっと哲男を見つめながら、老人が何も言わなくなったのを見て、信行は朗らかに笑って言う。

「お爺さん、私と真琴のことは、私たち二人で解決します。お体がお悪いのですから、あまりご心配なさらず、考えすぎないでください」

真琴に対しては不機嫌な顔をすることもあるが、年長者に対して無礼を働くほど、彼は無作法ではない。

その程度の教養は、持ち合わせている。

哲男の先ほどの言葉には確かに驚いたが、あまり気にはしていなかった。

何しろ、それは自分で決める問題だから。

信行の笑みに、哲男は将棋の駒を指し続けながら言う。

「分かった。とにかく、わしはもう態度を表明した。これからは、そんなに多くのことを気にする必要はない」

その口調は穏やかで、しかしきっぱりとしていた。

――とにかく、お前という孫婿は、わしにはもういらん。孫娘にお前と一緒にいるようにとは、もう勧めん。今後、うちの孫娘がお前にどんな態度をとるか、それがわしの態度だ。お前自身で、よく考えるがいい。

信行はにこやかに笑って何も言わず、駒を進め続ける。

しばらくして、真琴が祖父の着替えなどを持ってやって来た。

信行がまだ病室で祖父に付き添っているのを見て、彼女は言う。

「まだ帰っていなかったのですね。もう帰って休んでください。ここは私がいますから大丈夫です。もし何かあれば、電話しますので」

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