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第609話

Author: フカモリ
今の信行は、真琴に対して随分と距離を詰め、馴れ馴れしいほどの親しげな態度を崩さなかった。

その距離感に、真琴はコートのポケットに両手を突っ込んだまま冷ややかな視線を向ける。

「いくら友達だとしても、そういう付き合い方はしないわよ」

三日に一度の頻度で顔を合わせたり、昼休みにアポ無しで待ち伏せしたりする友達がどこにいるのか。

真琴のツッコミに、信行はフッと笑った。

「友達の付き合い方じゃないなら、どうやって付き合うのが正解なんだ?」

言いながらずんずんと歩み寄り、信行は右手で真琴のうなじを軽く押さえた。

「真昼間に飯を食うだけだろ。ごちゃごちゃ言うな。お前だって、下にご飯を食べに来たんだろうが」

反論する隙も与えず、信行は助手席のドアを開け、真琴を半ば強引に車の中へと押し込んだ。

そのまま身をかがめて彼女のシートベルトを締めてやり、右手を伸ばしてその頬を優しく撫でる。

眼差しはひどく甘く、優しい。

だがその行動はどこまでも強引で、真琴には拒絶する隙すら与えられなかった。

頬から手を離すと、信行はバタンとドアを閉めた。

その動作は流れるようにスムーズだ。

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