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第76話

Author: フカモリ
向かいの席で、紗友里はその言葉を聞き、真琴を見て言う。

「絶対に、父さんや母さんのせいじゃないわ。信行は、そんなに素直に言うことを聞くような人じゃないもの。もし彼がそんなに聞き分けが良かったら、あなたたち、ここまでこじれたりしなかった。父さんと母さんは、とっくに孫の顔を見ているわ。

それに、プロジェクトのことだけど、信行が抱えてるいくつかの大きな案件は、とっくに契約済みよ。彼、数年は仕事しなくても大丈夫なくらい。お役所との提携だって、たぶん、この二、三日で記者会見を開くはずよ」

紗友里の言葉を聞き、真琴は茶碗と箸を持ったまま、顔を上げて彼女を見つめる。

つまり、人を信行のそばに置いて、あれほど長く監視させていたのは、全て無駄だったのだ。彼のプロジェクトは、とっくに契約済みだった。

それなのに、彼は数日前、まだ終わっていない、まだ半月以上かかると言っていた……

その驚きの視線に、紗友里は気だるげに言う。

「また信行に騙されたのよ」

紗友里を見つめ、真琴は何も言えなくなる。

その無垢な顔に、紗友里はまた言う。

「きっと、真琴が扱いやすいと思って、また離婚したくなくなった
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