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第13話

مؤلف: 藤永ゆいか
last update آخر تحديث: 2025-12-29 20:00:00

「……明日も、頼む」

そう言って──彼は、私に向かって初めて笑った。

あまりに不意打ちで、心臓が跳ねるのを通り越して、一瞬止まった気がした。

ほんの一瞬。口角がわずかに、本当にわずかに上がっただけ。

それは、まるで冬の朝日のような、儚い笑顔だった。

ドアが閉まり、私はその場に立ち尽くす。

そして──堪えていた涙が一筋、頬を伝った。

「……ありがとうございます」

誰もいない部屋で、私は呟いた。

食べてくれた。全部、食べてくれた。そして、笑ってくれた。

「嬉しい」

これが、私の最初の勝利だった。

小さな、けれどとても大切な一歩。彼の心を溶かすための、確かな一歩だ。

私は、空になった皿を持ってキッチンに向かった。

食器を洗いながら、自然と笑みがこぼれる。

明日も、美味しい朝食を作ろう。氷室様が喜んでくれる料理を。

そう、心に誓った。

窓の外、冬の朝日が東京の街を照らしている。

新しい一日が、始まろうとしていた。

午後。インターホンが鳴った。

「森川さん、突然すみません」

やって来たのは、神崎さんだった。

「少し、お時間よろしいですか?」

その真剣な表情からは、緊急性を感じた。

彼をリビングに通し、私たちは向かい合ってソファに座った。

神崎さんは、少し迷うような表情をしてから口を開いた。

「森川さん、氷室様のことで……お話があります」

「はい」

私は身を乗り出す。

「実は……氷室様には、過去に──」

神崎さんが何かを言いかけた、その時……。

ガチャンという、玄関のドアが開く音がした。

え?こんな時間に?

氷室様が、予定よりも遥かに早く帰ってきた。

「ただいま」

低い声がリビングに届き、神崎さんはピタリと口を閉ざした。

氷室様がリビングに入ってくる。私と神崎

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