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第19話

Penulis: 藤永ゆいか
last update Tanggal publikasi: 2026-01-03 19:00:00

氷室様は、仕事の書類を抱えたまま。穏やかな寝息を立てている。スーツも脱がず、ネクタイも緩めず。

珍しい光景に、私は足を止めた。

疲れ果てて、そのまま眠ってしまったのかな?

私は、そっとリビングに入った。

彼の寝顔を見るのは、初めてだった。長い睫毛に、整った鼻筋。いつもの冷たい表情とは違う。

眉間の皺も消え、穏やかな顔をしている。まるで、少年のような。

氷室様って、こんな顔もするんだ……。

私は、クローゼットからブランケットを取り出した。

起こさないように、契約違反にならないように。慎重に、そっと彼にかけようとした、その瞬間──。

氷室様の目が、パチッと開いた。黒い瞳が、まっすぐ私を捉える。

「……っ!」

手が、触れる寸前で止まる。息が止まりそうになった。

私の顔が、彼の顔の真上にあった。吐息が届くほどの距離。

私たちは数秒、見つめ合う。

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