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第3話

Author: ほどほどに
私は目隠しをされ、車に押し込まれた。

車はずっと走り続けた。あまりに長くて方向感覚がわからなくなった。

再び目を開けると、私は薄暗い部屋の中にいた。

鼻を突く消毒液の匂いと、目に刺さる冷たい光、錆びついた手術器具がある。

そして、粗末な手術台が置かれている。

「横になれ」

私は手術台に押し上げられ、背中から全身にかけて冷たい感覚が広がった。

医師は中年の男で、マスクをしており、目にはまったく感情がなかった。

痩せこけた私の体を見て、彼は眉をひそめた。

「小娘よ、麻酔は一回500円だ。使うか?」

500円ね。

私は一銭も持っていなかった。

しかも返済用の残りの500円は、直接城士の口座に振り込まれることになっていた。

それが彼らのルールだ。腎臓を売る人が後悔しないよう、金は必ず家族に渡さなければならない。

私は首を振った。

「いいえ、結構です」

医師は一瞥して黙った。

メスが皮膚を切る瞬間、私は口の中の白い布を必死で噛みしめた。

痛い。

骨の隙間から突き出るような痛みだ。

私はメスが体内を這う感触を感じ、臓器が剥がされていくのを痛みとともに知った。

白い布は噛みちぎれた。歯茎に歯がぶつかり、口中は血だらけになった。

真っ白な天井灯を見つめていると、幻覚が目の前に浮かんだ。

桜が満開の木々が目の前に広がる。

城士が木の下に立ち、微笑んでいた。

「君がいれば、たとえボロアパートに住んでいても、そこは天国だ。

君がいなければ、俺の世界は廃墟だ。

この一生、俺は君だけを欲しい」

私は笑った。

笑っているうちに、涙が流れ落ちた。

これは天国にいる感覚なのか。

死にたいほどの痛みだ。

麻酔のない手術で、メスが私の心を一刀ずつ切り刻む。

私の愛する人は、どこかで酒を飲み、楽しんでいる。こんな事態が起きていることに、全く気づいていない。

時間がどれだけ経ったかわからないが、手術は終わった。

私は手術台から押し下ろされた後、車に乗せられ、ボロボロのアパートに放り戻された。

腰の傷口はまだ血を滲ませ、包帯はすぐに染みた。

私はそのままソファに寄りかかり、意識が徐々に曖昧になった。

どれくらい経ったか分からないが、私は興奮した叫び声で目を覚ました。

城士がドアに立ち、手に袋を提げていた。

その顔に興奮の笑みを浮かべ、私の前に駆け寄った。

「聡花!見て!」

彼は袋を私の目の前に差し出した。

中にはカップ麵があった。

「君の大好きなカップ麵を買ってきた!」

彼はカップ麵を私の手に押し込み、さらに説明した。カップ麵は、大物社長が約束した収益、500円で買ったものだ。

「たった500円だけど、これは始まりだ!これから、良い日がやってくるぞ!」

彼は興奮して話し、私の異変には全く気づかなかった。

私は彼を見つめた。

半生をかけて愛したその顔を見つめた。

そのお金は、大物社長の約束の収益ではなく、私が腎臓を売って残した500円だ。

私はゆっくりと座り直すと、腰の包帯を引き剥がして、思い切り城士の顔に投げつけた。

包帯は血まみれで、彼の顔にべっとりと貼り付いた。

「城士、目を覚まして!このカップ麺は、私が腎臓を売って手に入れたお金で買ったものよ!」

城士は呆然とした。

血まみれの包帯を見つめてから、私を見た。

そして笑った。

「聡花、それは笑えない」

彼の口調に叱責が混じった。

「まだ俺がカップ麺を食べたことに怒ってるだろう。それでも、腎臓を売ったなんて嘘をついて俺を騙すな。

もうすぐ出世するんだ!もうすぐ俺は億万長者だ!その時、カップ麺いくらでも食べていい!」

彼はますます興奮し、目が恐ろしいほど輝いた。

私は私の腎臓を一つ奪ったこの狂人を見つめた。

私は半生をかけて彼を愛したのに、彼は私を地獄に叩き落とした。

そして、私はそんな彼を見ながら泣いた。その後、全力で彼の頬を平手打ちした。

彼は殴られてよろめき、顔を押さえながら、信じられないという表情で私を見つめた。

私はソファの下から離婚協議書を取り出し、床に投げつけた。

「離婚だ」

その書類が、私たちの間に叩きつけられた。

城士は呆然とした。

そして彼の表情が変わった。

「離婚したければ勝手にしろ!」

彼は叫び声を上げ、その声は狭いアパートの中で響き渡った。

「もうすぐ億万長者だぞ!俺が君なんか気にすると思うか?

泣くことと文句を言うことしかできない女が、俺から離れたらどうやって生きるか見てやる!」

彼は離婚協議書を手に取り、見ずに署名した。

そして書類を私の顔に投げつけ、振り返らず去っていった。

私の世界は、ついに完全に静まった。

回想は終わった。

隣で私の話を聞いていた運転手の小林が泣きじゃくっていた。

「社長、なんでこんなに苦しい思いを……

あの木村城士、ほんとクズです。思いっきり殴ってやりたいです」

言い終わるか終わらないかのうちに、車が城士に無理やり止められた。

雨が激しすぎて、彼の顔がよく見えなかった。

しかし、ふと先ほどの彼の言葉を思い出した。

それは……
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